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第十章
Ⅱ
しおりを挟む「いもうと…さん?
琥珀さんが?龍海さん、の?」
「…あぁ」
妹。好きな人っていうのは勘違い、だった…?
『こんなのさぁ、ちゃんと相手に聞けば良いのに~誰?その女、ってさ』
ドラマを見ながら紅が話していた。
『漫画とかでもこんな展開よくあるよねぇ、なんか、
この前私じゃない女の人と歩いてた!浮気?!
と思ったら、実は彼女の誕生日プレゼントをお姉ちゃんと買いに行ってた~
みたいなシナリオ。』
『本当にこういうことあるのかな?』
『無いでしょ~
だから聞けば良いんだって!
誰?その女、って!』
『ふ~ん…』
『まぁそんなベタな展開、なかなか無いって!
そんな場面にあって勘違いに走るのは恋愛偏差値低すぎ!
つまりこのヒロインは恋愛下手すぎ!
まぁ、少女漫画や恋愛ドラマはファンタジーだもんね。
現実ではこんな女いないって!
あはははは…』
顔がかっと熱くなる。
思わず両手で顔を覆った。
「お、おい…」
いやでもちょっと待て。本当か?
本当かどうか分からない。
「本当、ですか…?」
「あ、あぁ」
「証拠は?」
「え?」
本当だったら私は凄く失礼な女だ。
でも信じて嘘だったらもう耐えられない。
これ以上、龍海さんに振り回されたくない。
「まだ、信じられない」
そう言う私を見て、龍海さんは携帯を出す。
そのままどこかに電話をかけた。
「…もしもし、琥珀か」
相手は、琥珀さん。
「あぁ、会えた。
……いや、それは…」
こんな時間に、本当に妹さんだったら失礼な女に付け加えて、非常識な女だ。
「…………うるさい。
…いや、俺がお前のことを好きだと…
は?こっちの台詞だバカ。」
凄く砕けた感じで話をしている…
「あぁ…あぁ、わかった。…翠。」
龍海さんに名前を呼ばれる。
「…琥珀が代われと…」
「…はい。」
龍海さんから電話を受けとる。
「…もしもし。」
『もしもし?翠さん?』
琥珀さんの優しい声が電話越しに耳に響いた。
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