本当は、愛してる

双子のたまご

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第十章

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「お待たせいたしました。」

私の目の前に紅茶が、龍海さんにはコーヒーが置かれる。
あの後、すぐそばのチェーン店に入った。
もうすぐ日付が変わる時間。
店内には勉強をしている学生と、仕事帰りのような様子のサラリーマン、二人組の大学生くらいの女の子達。
私たちはずっと無言のまま。
有線の音楽が流れる中で、時々女の子の笑い声が聞こえる。

「…」

「…」

「…話したいことって何ですか。」

「…」

「何もないなら帰ります。」

「駄目だ。」

「…」

「…」

「話したいことって何ですか。」

「…さっきの奴は、君の、恋人、なのか。」

「…はい?弥鶴君が?」

弥鶴君の名前が出たとき、龍海さんの眉間の皺がいっそう深くなった。

「違います、けど」

「なら、君はあいつのことが好きなのか。」

「それは、友達なので、」

「違う!
…れ、恋愛感情は、あるのかと聞いている。」

「…ないです」

「そうか…」

話したいことって、これ?
何これ。

「それだけですか?」

「あ、いや…」

「そういえば、琥珀さんと話をしました。」

「は…」

そうだ、この人には琥珀さんがいる。
それを私は知っている。

「龍海さんの好きな人ですよね」

「は?」

「実は前の街に住んでいたとき、お二人でショッピングモールにいたところを見たことがあるんです。
龍海さん、恋してるって言ってたから、あぁこの人だって思って」

「いや、」

「凄く素敵な人ですよね。
先週ちょっとお話しする機会があって、外見も内面も綺麗な人でした。」

「あ、」

「だから…あの時、」

…キス、された時。

「なんでこんなことするのって、言ったじゃないですか…」

「…っ、」

「好きな人だけ大事にしてって、言ったじゃないですか。
あんな素敵な人がいるのに、今日だって何なんですか。」

「あいつは、」

「龍海さんのこと、好きな人がいるのに他に手を出すような人だと思いたくなかったのに。
あれは気の迷いなんでしょう?
なのに引っ越し先にまで来て…やっぱりそういう人だったんですか」

「違う、」

「何が」

「あ、あいつは…」

「…」

「あいつは…ぃ、」

「?何ですか?」

「…ぃもうと、だ。」

もうと?

「…琥珀は、俺の、妹だ。」

…いもうと?妹?








「…え?」
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