本当は、愛してる

笹 司

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第七章

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「お姉さん、普段はどんな服着てるんですか?!」

お客様からお姉さんに呼び方が変わり、情報を聞き取りながら合う服を選ぼうとしてくれる。
店員さんのコミュ力、凄い。

「黒ばっかり、ですね…」

「黒似合いますもんね!
普段も綺麗めな感じがお好きですか?」

「まぁ、シンプルなのが多いですね…」

「スカートよりはパンツスタイル?」

「そうですね」

「なるほど、当日はどこに行くか決まってます?」

「舞台鑑賞に…」

「わ~!大人って感じの素敵なデートですね!
いつですか?
始めてのデートですか?」

龍海さん、ごめんなさい。
デートで話が進んでいます。

「えっと、来月末で…
舞台鑑賞は前も一度、一緒に行ったことはあります。」

「前はどんな服で行ったんですか?」

「黒いワンピースで…」

凄い、店員さん凄い勢い。

「ふむふむ、なるほど…
舞台は昼公演?夜公演?」

「夜、です」

「了解です!
相手の方はどんな服が好きそうですか?」

「え…わからない、です。」

こちらの情報が少なすぎて申し訳なくなってくる。

「…お姉さん」

流石に呆れられただろうか…

「…はい…」

「イメチェンしましょう!!!」

「…はい?」

そこからの店員さんは凄かった。
この店員さんに凄いという感想以外、出てこない。




「いつも黒なら今回は白か、赤…
夜公演ならセクシーに赤で行きましょう!」

せ、せくしー?

「来月かぁ…まだまだ夜は寒いですね…
ニットにしましょう、ピタッとしてるやつ。
お姉さんダボッとしてるのより体にちょうどフィットするものの方が良いと思いますよ!」

そ、そうなんだ…

「やっぱり今うちにあるのの中だとワンピースが一番のおすすめですね…
でも前もワンピースでしたもんね…
お姉さんはトップスとスカートあわせた感じとどっちが良いです?!」

あ…

「ま、任せます…」

「はい!!
じゃあこれ着てください!試着室行きましょう!」





「いや~いいわ~、いい感じだわ~
もうこんなの悩殺ですよ。相手の男、死ぬ。」

だんだんこの店員さんの素が見えてきた。

「えっと、でもこれはちょっと…」

渡された深い赤色のニットワンピース。
店員さんのいう通り、体にピッタリのデザイン。
丈はふくらはぎくらいまであるが、右側にそこそこざっくりとしたスリット。
え、大丈夫?
こんなにピッタリで、むちむちしてない?
え、スリット、これ座ったら足ほぼ見えない?
というか、赤に着られている、感じがする。

「いーえ!お姉さん、凄く良いから!
保証します!」

「でもこういうの、本当に着たことないから…」

「だからですよ!ギャップ萌え!」

「…恥ずかしい。」

「…!お姉さん!可愛い!
今確信した!絶対行ける!」

…ファッションの店員さんは、褒めるのが上手だなぁ。

「…せっかく、店員さんが選んでくれたから…
これ、いただきますね。」

「あ、ありがとうございます!
お着替え、ゆっくりなさってください!」

試着室のカーテンを閉めて鏡に向き直る。
いつもと違う自分が恥ずかしくて、すぐに目をそらした。
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