本当は、愛してる

双子のたまご

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第七章

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「ありがとう。」

「いえ。」

後日、本が手元に返ってきた。

「今度、舞台化すると言っていただろう」

「あぁ、そうでしたね。」

「また、知り合いが出るらしい」

「え!そうなんですか、凄い。
誰の役ですか?」

「ベラだ。好きだと言っていただろう。」

そうだった。
ライラが好きだと言えず、そう言った。

「そ、うでしたね。はい。」

「…」

「どうやって舞台化するのかなって気になってたんです。
関わりあわない登場人物もいるし…
観に行こうかな。」

「…チケットを貰っている。
一緒に行かないか。」

「…いいんですか?また…」

「気にするな。」

「ありがとうございます。」

「あぁ。」

人生二回目の舞台鑑賞の予定が決まった。







「僕は翠ちゃんとご飯に行くことが減って寂しいよ。」

「またそんな…」

「あ、ひどい。嘘だと思ってるね。」

今日は本当に久しぶりに獅音さんがお迎えだった。
ご飯はお好み焼き。

「今度また、龍海と舞台鑑賞に行くんでしょ?」

「えぇ。獅音さんと龍海さんの知り合いの方からまたチケットをいただいたみたいで…
ありがとうございます。」

「ん?あぁ、違うよ。」

「違う?」

「今回は別に招待じゃなかったよ。
龍海がその、知り合いに掛け合ったの。」

「え、」

「というか、その前から凄く圧をかけてた。」

「誰が誰にです?」

「龍海が、知り合いに。」

「何故…?」

「舞台化決まったーみたいな時に、ちょうどキャストオーディションだったみたいで。
で、その知り合いが狙ってた役が、べ、ベム…?ベロ?」

「ベラ」

「そう、それ!
それを聞いて、絶対に合格しろって。」

「…」

「凄い勢いだったなぁ。取り立てかと思ったよ。
あ、本業と当たらずも遠からずか。あはは。」

笑えない。
私が、ベラが好きと言ったから?
ごめんなさい、ベラ役のお知り合いの方…

「龍海は、翠ちゃんと一緒にいるのが凄く嬉しいみたいだ。」

「…」

すぐに私も嬉しい、と思った。
でも同時に、彼には好きな人がいるのだと、嬉しいなんて思ってはダメだと、思い直す。

「舞台、楽しんできてね」

「…はい。」

何故か獅音さんの方が、楽しみだなぁ、と呟いた。
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