本当は、愛してる

双子のたまご

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第六章

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「はい、好きなの選んでくださいね。」

「あ、あぁ…」

ドーナツの箱を開いて、中身を見せる。

「コーヒーか紅茶、どっちがいいですか?」

「あ…コーヒー、で。」

「はい。」

龍海さんはソファに座って、じっとドーナツの箱の中身を見つめていた。

「はい、お待たせしました。」

「あぁ…」

龍海さんの目の前にコーヒーを置き、隣に座る。
龍海さんの体がビクリと動く。
あ、隣に座られるのは嫌だったか…
…その反応はなんかショックかもしれない。
少し離れた床に座ろうと腰を浮かすと、

「っ、ど、どこへ行く。」

龍海さんに腕を掴まれる。
腕に触れられるくらい、そんなに動揺しなくなった。

「えっと、少し離れて座ろうかと」

「なぜだ」

「ち、近いと龍海さん、嫌かなって…」

「嫌ではない!」

何をそんなに必死になっているんだ。

「そ、うですか…」

「……」

「あの、ドーナツどれにしますか?」

「…先に選べ。」

「え、私はどれでも」

「これじゃないのか。」

中にクリームが入ったドーナツが指差される。
ば、ばれた?
実はそのドーナツは食べないで欲しいと思っていたのが伝わっていた?
恥ずかしい…

「え、なんで、」

「クリームたっぷり、が、好きなんだろう」

そういえば、ケーキを買った日にそんな話をした。

「覚えていたんですか」

「……」

「ふふっ、そうなんです。これが一番好き。
ばれちゃって恥ずかしい。」

「……」

「お言葉に甘えて、いただきますね。
龍海さんはどれにしますか?」

「…これで。」

龍海さんが手に取ったのはチョコレートのドーナツだった。
見るからに甘そう。

「龍海さん、甘いもの好きなんですか?」

「…そうだな」

「クリームとかは?」

「…嫌いじゃない」

少し恥ずかしそうだ。

「そうだったんですか。
じゃあ私の、半分こしましょう」

「え、いや、」

「まぁまぁ」

「……」

ドーナツを二つに割る。
クリームが溢れる。
少し大きい方をはい、と龍海さんに渡した。

「いただきます」

「……」

ドーナツにかぶりつく。
溢れたクリームが頬に少しついた。
ぬぐい取ってクリームがついた指先を舐める。
龍海さんの視線を感じる。
…まずい、行儀が悪い女だと思われたかもしれない。
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