本当は、愛してる

笹 司

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第四章

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「ご馳走さまでした。」

「あぁ。」

結局ご飯代は龍海さんが出してくれた。
テイクアウトします、と口を挟む間もなく、食事が終わったかと思うとさっさと会計に行ってしまった。

「家まで送る。」

「えっ、いや、もう遅いですしそんな…」

「また絡まれたら面倒だろう。」

「でも…」

「いいから行くぞ。」

龍海さんが駅の方へ歩き出す。
後ろを着いていく。






自宅の最寄り駅に着いた。
改札を出る。

「…あ。」

駅前のお店が変わっている。
最近は電車に乗る機会が無かったから気づかなかった。
サンドイッチ屋さんだったそこは、ケーキ屋さんに変わっていた。

「どうした。」

「ちょっとあそこ、寄ってもいいですか?」

「…あぁ」

ここで龍海さんと獅音さんのお礼を買おう。
甘いものが好きなのかは知らないが、甘さ控えめを買えば問題ないか。
獅音さんは甘いもの好きそうな雰囲気だが、龍海さんはそうじゃなさそうだ。
完全な偏見だが。
お店の窓には一番人気らしいショートケーキの写真が貼られていた。




「あの、すみません。」

はい、とバイトらしい女性が答えてくれる。

「この中で甘さ控えめなのってどんなのがありますか?」

店員さんの話を聞いて、チーズケーキとフルーツタルトを買った。




「お待たせしました。」

「あぁ。」

龍海さんが歩き出す。
後ろを着いていく。

「…ケーキが好きなのか。」

「えっ」

一体今日の龍海さんはどうしたんだ。
しばらく会わない間に何がどうしてこんな…?
帰り道はいつも無言だったじゃないか。

「二つも買っていただろう。」

寿司を食べておいてこれからケーキを二個も食べる女だと思われている…?

「甘いものが好きなのか。」

でもここで二人の分です、なんて言ったら、いらないと言われてしまいそうだ。
龍海さんが帰る直前で押し付けよう。
今渡すと、荷物にもなるし。
それまで不名誉だが、ケーキを食後に二個も食べる女だと思われるしかない。

「…好きですよ。」

「何を買ったんだ。」

この話題続くの?!

「チーズケーキとフルーツタルト、です…」

「あっさりした甘さが好きなのか。」

「う~ん…それよりはクリームたっぷり、とかの方が好きですね…」

「あの店はショートケーキが一番人気みたいだが、買わなかったのか。」

確かに、甘いものが好きと言っておきながら買ったのは甘さ控えめのものばかり。

「えぇ、まぁ…」

「……」

次の曲がり角を曲がれば、もうすぐ家に着く。
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