本当は、愛してる

笹 司

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第二章

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「え~?翠ちゃんのお迎え?
全然負担じゃないよ~」

獅音さんがメニュー表に目を通しながら答える。
今日は和食の気分だったらしい。
よく分からないが、高級そうな店に連れていこうとする獅音さんを引きずってチェーン店に入った。
なんだかんだこの人は私に食事代を払わせてくれない。
それならせめて、心が痛みにくいお店に行かせて欲しい。

「いや…もう、本当に…申し訳なくなってきたので…
お迎えだけでもそうなのに、獅音さん、ご飯まで…」

「弟とはご飯行かないの?」

メニュー表から視線を外し、チラリとこちらを見てくる。

「龍海さんは獅音さんに言われて来てくださってますよね?
早く帰りたいだろうなと…
いや、そもそも!獅音さんとのご飯だって私が誘ってるわけじゃ…」

「僕は生姜焼定食にするよ。翠ちゃんは?」

いつも、のらりくらりと かわされる。

「…うどんにします。」

獅音さんが呼出ボタンを押す。

「…大丈夫だよ。龍海は僕に言われて翠ちゃんを迎えに行ってるわけじゃない。」

何が大丈夫なのか、よく分からない。
どうすれば、この人達との関わりを断てるのか。
この人達がいなくても、私は平穏に生きていけるのに。
この人達は何から私を守っているのか。

「……」

「あいつも難儀なやつだよねぇ…」

あなたも難儀な人ですよ、とは言えなかった。
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