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第二章
Ⅲ
しおりを挟むそれから暫くして、私は仕事に復帰した。
仕事をしている間は余計なことを考えなくていい。
仕事終わりはほぼ毎日、獅音さんか龍海さんが迎えに来た。
初めて職場の前に二人がいるのを見たときは目眩がした。
あんなに怒鳴ってしまった後は流石に気まずい。
気づかないフリをして帰ろうとした。
結局龍海さんに捕まったけど。
そもそも何で職場を知っているんだ。
いや、この人たち自宅も知ってた…
これもマフィアの力?
「お疲れ様~翠ちゃん。
今日は何食べに行こうか。」
今日は獅音さんが来ていた。
初めは二人に構わなくていい、やめて欲しいと言った。
妹が死んだ事件の関係者にしてもらうことなど何もない。
しかし二人は頑なだった。
『これから翠ちゃんを守るからさ』
獅音さんはそう言った。
何に狙われるでもないのに。
守られることになれていない私には、居心地が悪い。
何度拒否しても返ってくるのは守るという言葉だけ。
龍海さんに至っては返事をしない。
獅音さんに言われて渋々迎えに来ているのか。
サボればいいのに。
「僕はね~ピザの気分。翠ちゃんは?」
獅音さんとはたまにご飯に行くようになってしまった。
断っても最後には流されてしまう。
あの圧の強さはなんなんだろうか。
「何でもいいですよ。
何でもいいから今日はお金、出させてくださいね。」
「ダメだよ~
女の子に出させるわけにはいかないよ~」
「もう…」
獅音さんは人の懐に入るのがうまい。
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