本当は、愛してる

双子のたまご

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第一章

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紅の葬儀後はベッドに横たわったままの毎日だった。
今まで特に使うことのなかった有給休暇を使った。
職場の同僚たちは皆優しかった。
落ち着くまで休んで欲しいと言ってくれた。

両親が死んでから紅と一緒に生きてきた。
たった一人の妹。
もう何のために生きていけばいいのか分からなかった。

何度、昼と夜が過ぎていったのだろうか。
雨が降っている。
いつの間にか梅雨入りしたようだった。
雨の音を、ぼんやり聞いている。

携帯が光った。
同僚が、今日も気を遣って連絡してくれたらしい。
確認しようと体を起こしたところで
インターホンが鳴った。




「こんにちは。はじめまして。
千歳 獅音チトセ シオンと言います。
よろしくね。」




スーツの男性が二人、立っていた。
獅音と名乗った男性は柔らかい笑顔で挨拶した。
若く見えるが、どこか貫禄がある。
もう一人は仏頂面だった。

「…どちら様、でしょうか…」

紅の知り合いだろうか。
葬儀には居なかったと思う。

「…紅のお知り合いですか?あの、紅は…」

「あー、うん。中に入って話してもいい?」

普通だったら、見知らぬ男性二人を家に入れるようなことは絶対しない。絶対。
でもこの時、私は普通じゃなかった。

「あ、はい、どうぞ…」

「うんうん。ありがとう。」

私と紅の家に他人が入ったのは、初めてだった。
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