上 下
31 / 61

31話 アリアの苦戦

しおりを挟む
「ユウくん……どうしよ?魔力をこれ以上、上げるとダンジョンが壊れちゃうかも」


 アリアは、多分あの魔獣を倒せるだけの魔力、威力はあるが……問題は弾かれるという問題で、弾かれると放った魔法がダンジョン内の壁に当たりダンジョンの崩壊に繋がるので高威力の魔法を放てなかった。


「交代するよ」
 
「うん……ごめんね」
 
「アリアは、倒せるだけの威力のある魔法を放てるんだから気にするなよ」


 アリアと場所を交代して、涎を垂らしこちらを威嚇をしている巨体の魔獣が飛び掛かってきた。

 バリアを張ってあるし、結界も張ってあるので問題ないが迫力があり思わずバリアで首を切断をしてしまった。

 あ、ヤバイ……これは誰にも見せたことがないスキルだった……まぁ、良いか。アリアとミーシャだし……

 切断されたオオカミの頭と胴体が地面に落ち、ズシンっと重量感のある音をダンジョン内に響かせた。


「わぁっ! すごい。1撃で倒しちゃったね!」

「咄嗟に放った魔法と相性が良かったみたいだな」


 またレベルが急上昇をし始めて、うるさく頭の中に響いている。
 1体を倒しただけだぞ? そんなにレベルが急上昇をする程の魔獣だったのか? 
  

「ちょっと対処するから動くなよ」

「え? わ、分かったぁ……」

 
 討伐を終えたので、アリアの胸元にあるネックレスに手を翳すと……

   
「ユウくん……それ……恥ずかしいよぉ~……」
 
「えっと……多分、今の魔獣は、精神系、威圧系の耐性をを使っていたんだと思うから、それに対応する付与しようと思ってさ」

 
 頬を赤くして言っていたアリアが、今度は顔を赤くして俯いた。

 
「そ、そっか……えへへ……♡」
 
「あーッ! ずるーいー! わたしもー」

 
 それを見ていたミーシャがいつものズルい! が始まった。当然、ミーシャにも付与をしようと思っていたのでネックレスにも同様の付与を加えた。

 
「よし、終わったぞー」


 アリアが頬に指を当てて可愛いポーズをして考え事をしている様で、小さい声で「うぅ~ん……」と唸っていた。考え事をしているアリアの邪魔をしないように、ダンジョンの壁に寄りかかり地面に座った。
 そこに当たり前の様にミーシャが膝の上に座って来るので、俺はミーシャの頬を触って癒やされた。


「ユウちゃん~ひまー」

「ちょっと休憩を取らないとだし、アリアが考え事をしてるしな」

「あっ! 思い出したよっ! わたし達の村から北の方向に幻のダンジョンがあるって! 探索しても、なかなか辿り着けなくて幻って言われてるんだよ。」

「そんな場所があるんだな?」

「うん。多分、その場所がここだよっ」

「はぃ? 幻って直ぐに見つかったけど?」

「ここは、普通は見つからない場所だよ」

 
 あぁ……そう言えば結界の境目にあるダンジョンだったか。そりゃ結界で滅多に見つからないかぁ……。魔物もウジャウジャいるし、やっと見つけたとしてもダンジョンに入れば魔物、魔獣、トラップで無事に帰れるパーティも少なくて幻と言われてるのも納得だな。

 
「そうだな。幻って呼ばれてるのも納得できるな」

「それもなんだけど、このダンジョンにはね……魔物の聖域を守る3魔獣の大森林を守護する犬獣がいるんだって。この犬獣は、出会うと恐怖に支配されて体が動かなくなってヤバイから姿を察知したら全力で逃げろって……」


 ん? ダンジョンで犬獣って……しかも動けなくなるって、えっと……今倒したヤツじゃないのか? アリアが知っている程に有名なダンジョンと魔獣だったのか……どおりでレベルが急上昇をするわけだな。そんなヤツを倒しちゃって良かったのか? まぁ……魔獣だし良いだろ。

 その後は、特に変わった魔物や魔獣が現れず順調に探索が進み財宝を大量に手に入れた。帰りは……ズルをして転移で帰宅をした。
 

 今回の、初のダンジョン攻略は拠点のある村の大森林の結界堺にあるダンジョンへ入ってみると大量の財宝、魔物や魔獣もいっぱいだった。おかげでレベルが、また急上昇をしてレベルの上限を超えて限界突破の状態へとなってしまった。


 帰宅すると、ダンジョンにいると時間の感覚がおかしくなり深夜くらいかと思っていたら朝になっていた。


「もう朝になってたな」

「うん。眠いわけだね……ふぁぁ~」

「ねむぃ~」


 丁度、朝だしギルドに行って売りにって買い物を済ませてくるか。


「先に寝てて。ギルドに行って帰りに買い物をしてくるな」

「ユウくんも寝てからにすれば? 疲れてるでしょ?」

「そうだよ~。一緒に寝よ~?」

「急いで返ってくるから待ってて」


 そう言うと、その場で転移をして村の近くに移動をしてきた。まっすぐにギルドに行き、魔石と素材、薬草を売った。

 用事が終わり出ようとすると、シャルが数人とギルドへ入ってきた。
 うわっ。面倒なシャルと会っちゃったよ……。気まずいじゃん。

 シャルも気付き、ニヤッと笑い近寄ってきた。


「久しぶりっ。わたし他のパーティに入ったから! 今のパーティすごいんだから! タンジョンにも入ってるの!」


 うわっ。面倒……だなぁ。でも、シャルを入れてくれるパーティがあって良かった。ダンジョンね……

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

異世界に行けるようになったんだが自宅に令嬢を持ち帰ってしまった件

シュミ
ファンタジー
高二である天音 旬はある日、女神によって異世界と現実世界を行き来できるようになった。 旬が異世界から現実世界に帰る直前に転びそうな少女を助けた結果、旬の自宅にその少女を持ち帰ってしまった。その少女はリーシャ・ミリセントと名乗り、王子に婚約破棄されたと話し───!?

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...