転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

２２話 アリアに杖のプレゼント

　ミスリルの素材も結構集まってきたし使っちゃお……。魔力の伝導率が良いらしいし、強くて丈夫だしな。でも、目立たないように見た目は鉄製に見せて、青い魔石を杖の上部へ嵌め込んで、魔力効率上昇、魔法効果上昇、物理攻撃上昇、耐久性上昇、打撃でステータス異常の気絶などを付与した。ネックレスの効果と被ってるけど別に良いよな？

　
「はい。アリアの武器ね」


　杖を渡すと驚いた表情をして受け取った。毎回、嬉しそうなリアクションをしてくれるので渡す方も嬉しくなる。　
　
　
「へ？　わたしにですか？　わぁ……素敵♪　あれ？軽い……」
　
「あぁ……それ……えっと……ミスリルを使ってるから」
　
「えっ！？えっと……かなり高価な物だよね……」
　
「あ。でも買った物じゃないしさ。遠慮しないで使ってよ。有り得ないとは思うけど魔獣が近くに来た時に打撃にも使えるでしょ？」
　
「嬉しいっ♪大切にするよっ」
　
「見た目も目立たないように鉄製にしてるし」
　
「う、うん……ミスリルだと目立っちゃうよね……」

　ミスリルは希少で金や宝石と同等以上の価値があり、高値で取引されているらしいけど詳しくは知らない。高価過ぎて俺には関係ないと思っていたし、俺は魔術士なので杖が無くても問題がなく魔法で戦えていたので武器屋に行く用事も無かったし。

　
「……ユウくんは？」


　え？　俺は、これ以上威力を上げちゃ不味いでしょ。武器も収納に剣もあるし。

　　
「俺は……必要ないかな」

「だよね～」
　
「アリアも必要ないと思うけどさ……」
　
「ううん。格好いいしユウくんのプレゼントだし嬉しいよっ♪」

　今更だけどアリアには必要ないよな……今まで不意討ちをされて攻撃を受けた事は無いんだし。最近も余裕で魔力弾を１発で討伐してたし。

「そう言えばさぁ～魔獣って夜に活発になる種類がいるんだよね？」

　まぁ……そう言われてるけど実際に確認はしたこと無いな……水のタンクのパイプを探しに森に入った事があったけど、そこまで多いとか凶暴なヤツが現れたって感じは無かったけどな……

　
「まぁ……そう言われてるよなー」
　
「夜に討伐に行ってみない？」
　
「危ないんじゃないか？」

　
　おいおい……ここにシャルみたいな事を言ってる人がいるんですけど。っていうかアリアは止める方じゃなかったのか？ミーシャは、どうするんだよ？討伐にも馴れてないんだぞ？夜なんか危ないんじゃないの？

　
「ミーシャ、夜に討伐だって。コワイんじゃないか？」
　
「わぁっ。夜に討伐ー？行きたーい」
　
「はっ！？　夜だぞ？　真っ暗な森に入るんだぞ？　オバケとか出てくるかもだぞー？」
　
「あはは……なにそれー。ユウちゃんコワイのー？　手を繋いでてあげようかー？　にひひ……♡　はいっ」

　
　うっ……ミーシャにバカにされてる……
　
　おやつの片付けが終わったミーシャが向かいのソファーでゴロゴロして話をしていた。
　
　
「ミーシャちゃん……ユウくんが心配してくれてるのに、そんな事を言っちゃダメだよぉ」


　アリアに注意をされ、キョトンとして自分が言った事を思い出したのか慌てて俺の膝に座ってきて謝ってお礼を言ってきた。

　
「えっ。あ……ごめんなさいぃー。心配してくれて……ありがとっ♡　 ちゅっ♡」


　え？　こんなに堂々と頬にキスをされると反応に困るって……。毎回だけど、アリアの反応が気になりチラッと見るといつも通りで安心した。
　
　
「あー大丈夫だって。でも、まぁ……手は繋いでもらうか」
　
「うん♪繋ぐー」
　
「あぁ～ズルいよぉ。わたしも繋ぎたい♪おばけ、こわいー」

　
　俺が言ったことに反応したアリアまで隣に座ってきて、怖がっているフリをして俺の腕に抱き着いてきた。

　夜の討伐か……魔獣の種類は変わるんだろうな？　それに視界が暗闇で悪くなるくらいじゃないのか？　暗闇はライトの魔法で対処出来るし……問題があれば今のうちに、対処しておきたいけど、夜の討伐の経験があるヤツいないしな。

　
「夜の討伐で気を付ける事ってあるのかな？」
　
「えっと……ユウくんなら問題ないと思うよ？わたしだけなら問題はあるけど……。ユウくんは、ライトの魔法が使えるし探索魔法も使えるから問題ないと思うよ」

　
　あの地底に落ちた時も真っ暗だったけど、ライトと探索魔法とバリアと転移で切り抜けられたしな。

　いつも通り一休みをしてから夕食の準備をアリアとミーシャが始めて食べ終わると、いつもとは違う夜の討伐に向かった。

　
「わぁ……真っ暗だねぇー」

「わぁーまっくらー♪」

　
　ミーシャが外に出ると嬉しそうに駆け回っていた。

　
「ミーシャ、そんなに暗い中駆け回ってると危ないぞー」
　
「ちゃんと見えてるよー。大丈夫ー♪」

　
　あぁー夜目ってヤツか……猫族だもんな。

　
「魔獣には気を付けろよー」
　
「ミーシャちゃん、危ないよー」

　
　家から離れると段々と薄暗くなってきたのでライトの魔法に自動追尾を付けて上空に浮かばせた。

　
「えぇ……何ですか……それは……？」
　
「ん？　ライトの魔法でしょ？　見たこと無いの？」
　
「あるけど……それはライトの魔法じゃないですよ？　ライトの魔法は……これですよ？」
　

　アリアが杖の魔石の上部の部分が光りだした。

「それはフローライティングライトの魔法で、上級魔法で移動させながらというと……最上級の魔法ですよ。移動させるコントロールも必要になってきて、移動させるのに集中をしなければいけないですし……。夜の討伐には不向きで、魔獣の不意討ちに対応が出来なくなりますよ。そもそも浮かせる為に魔力が消費されるので、滅多に使われないですよ？」


　アリアが魔法を詳しく説明をしてくれるが、難しくて良くわからない。出来てしまうのだから仕方がないだろ？　それにラクで明るくて良いじゃん。不意打ちにはバリアもあるし問題ない。

　　
「そうなんだ……まぁラクで良いじゃん」
　
「ラク……ですか？」
　
「両手が空くし、勝手に付いてくるしさ」
　
「勝手に付いてこないよっ」


　珍しくアリアからツッコミが入った。それも必死になった顔が可愛い。

　　
「ほら……」