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第12話
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気絶してしまい、もう一度目を覚ました時リリアナはルシファーと目が合い小さく心臓が跳ねた。
ルシファー様?
リリアナは無意識に彼の頬に手を添えていた。
そして、「どう、されたのですか?」そう声をかけていた。
ルシファーはリリアナの行動に固まり、理解できないと言われたが自分でもどうしてそう口にしていたのかわからない。ただ、いつもの無表情なその顔が迷っているように見えたのだ。
「辛そう、です。私に何かできることがあればお話しください。」
しかし、ルシファーは「…随分余裕そうだな。」とリリアナの至る場所に牙をたて血を吸い始めたのだ。
「おやめください…!っあ。っんっっっ~。」
毒が抜けないままさらに毒を入れられリリアナは目の前が白くチカチカと光がはしったような感覚におちいる。
また、意識を失ってしまいます。
それに、このままでは本当に…。
いつもなら続けて吸うときはこんなに牙も毒も入れてこない。
しかし、今のルシファーはただ獣ようにリリアナの血を吸う。
「あっ!だめっ…これ以上吸わないでください……。」
その瞳には全てを喰らい尽くすような熱を感じる。
これでは本当に獣のようだ。
なのにどうしてそんなに…。
リリアナは力の入らない手をルシファーの頬になんとかあてる。
「…ルシファー様。」
少し悔しいです。
貴方の本当に気持ちを、貴方の心を私はまだ本当の意味で理解できていません。
リリアナはゆっくりと目を瞑る。
その目からは一雫の涙が垂れる。
すると、生暖かいなにかがリリアナのそれを拭き取った。
リリアナがそれを理解するよりも先に耳元で「甘いな…。」という声が聞こえた。そして目を開ければルシファーがリリアナの傷口を綺麗に舐めていった。
リリアナはただその行動を黙って見ていることしかできずかたまっていた。
終わったのか、ゆっくりとルシファーが離れて行きそして、ルシファーは目が合い気まずそうに視線をそらす。
「ルシファー様…ありがとうございます。」と笑うとルシファーは「…聖女様は馬鹿なのか?今俺に血を吸われて死にかけたばかりだろう。」と怪訝な顔をする。
私は女で人間で、きっとルシファー様にとって弱い生き物なのでしょう。
それでも、ルシファー様は…。
「…でも、ルシファー様はそれをしませんでした。いつでも、殺せるはずなのに、貴方は私を殺さない。」
リリアナは強く言いきる。
証拠があるわけじゃない。それでもリリアナは強く思うのだ。
「だって、ルシファー様はこんなにも心が暖かく優しい方です。」
しかし、ルシファーはそんなリリアナを嘲笑う。
「俺は、覚えがある程度には人間を殺してきたそれでも、そんな呑気なことが言えるか?」
その瞳は鋭く、冷たい。
こんなルシファー様は知らない。
怖い。それでも、私は…。
「…罪は消えません。私も昔、大きな罪をおかしました。しかし、主は私を見捨てませんでした。ルシファー様、一緒に乗り越えましょう。私も主も決して見捨てません。」
綺麗事だと言われても構わない。
それでも、私はルシファー様と助けたいと思うのです。
「…頭がお花畑だな。」と馬鹿にしたように笑う。
「同情は身を滅ぼす。いつか、聖女様も逃げるだろう。」
リリアナにはその姿がまるで怯える子供に見えた。
どうして、気づかなかったのでしょう。
ルシファー様のその感情は私のよく知るものなのに、どうしてわかろうとしなかったのでしょう。
「ルシファー様は寂しかったのですね。」
貴方はすっと…家族を求めていたのに。
「とんだお花畑だな。」
たとえそれが、間違っていたとしても。
「私にルシファー様の御心をお救いすることはできませんか?私がルシファー様の側にいてはダメですか?」
私は貴方の家族になりたいのです。
沈黙が続き、突然「…くくくっ。」と可笑しそうに笑う。
そして、いつものようにニヤリと怪しく笑うのだ。
「お前はもう俺のものだ。だが、そこまで言うのなら吸血鬼を側に置く事がどういう事なのかたっぷり教えてやる。リリアナ。」とルシファーはリリアナのおでこにキスを落とす。
リリアナは肩を震わせ口を抑える。
それは、恐怖や恥じらいからではなく、心の底からくる喜びだった。
今、初めて…!
「名前!初めて呼んでくださいましたね!」
「本当に、飽きないな。お前は。」
ルシファーはトンチンカンなことに喜ぶリリアナを見て笑った。
一瞬だったが、優しく笑ったのだ。
しかし、リリアナは嬉しそのあまりルシファーのその変化に気づかなかった。
「ご褒美にたっぷり可愛がってやりたいが、人間は脆いからな今日はこれで我慢してやる。」とルシファーはリリアナを腕の中に閉じ込め抱きしめる。
いわゆる、抱き枕状態である。
リリアナは初めこそもぞもぞと抜け出そうとするが直ぐに諦める。
吸血鬼の彼はきっと私の力なんて必要ないでしょう。それでも主よ、私は強く優しいこの人を守れる存在になりたいのです。
どうか、ひとりぼっちだった、彼のそばにいさせてください。
ルシファー様?
リリアナは無意識に彼の頬に手を添えていた。
そして、「どう、されたのですか?」そう声をかけていた。
ルシファーはリリアナの行動に固まり、理解できないと言われたが自分でもどうしてそう口にしていたのかわからない。ただ、いつもの無表情なその顔が迷っているように見えたのだ。
「辛そう、です。私に何かできることがあればお話しください。」
しかし、ルシファーは「…随分余裕そうだな。」とリリアナの至る場所に牙をたて血を吸い始めたのだ。
「おやめください…!っあ。っんっっっ~。」
毒が抜けないままさらに毒を入れられリリアナは目の前が白くチカチカと光がはしったような感覚におちいる。
また、意識を失ってしまいます。
それに、このままでは本当に…。
いつもなら続けて吸うときはこんなに牙も毒も入れてこない。
しかし、今のルシファーはただ獣ようにリリアナの血を吸う。
「あっ!だめっ…これ以上吸わないでください……。」
その瞳には全てを喰らい尽くすような熱を感じる。
これでは本当に獣のようだ。
なのにどうしてそんなに…。
リリアナは力の入らない手をルシファーの頬になんとかあてる。
「…ルシファー様。」
少し悔しいです。
貴方の本当に気持ちを、貴方の心を私はまだ本当の意味で理解できていません。
リリアナはゆっくりと目を瞑る。
その目からは一雫の涙が垂れる。
すると、生暖かいなにかがリリアナのそれを拭き取った。
リリアナがそれを理解するよりも先に耳元で「甘いな…。」という声が聞こえた。そして目を開ければルシファーがリリアナの傷口を綺麗に舐めていった。
リリアナはただその行動を黙って見ていることしかできずかたまっていた。
終わったのか、ゆっくりとルシファーが離れて行きそして、ルシファーは目が合い気まずそうに視線をそらす。
「ルシファー様…ありがとうございます。」と笑うとルシファーは「…聖女様は馬鹿なのか?今俺に血を吸われて死にかけたばかりだろう。」と怪訝な顔をする。
私は女で人間で、きっとルシファー様にとって弱い生き物なのでしょう。
それでも、ルシファー様は…。
「…でも、ルシファー様はそれをしませんでした。いつでも、殺せるはずなのに、貴方は私を殺さない。」
リリアナは強く言いきる。
証拠があるわけじゃない。それでもリリアナは強く思うのだ。
「だって、ルシファー様はこんなにも心が暖かく優しい方です。」
しかし、ルシファーはそんなリリアナを嘲笑う。
「俺は、覚えがある程度には人間を殺してきたそれでも、そんな呑気なことが言えるか?」
その瞳は鋭く、冷たい。
こんなルシファー様は知らない。
怖い。それでも、私は…。
「…罪は消えません。私も昔、大きな罪をおかしました。しかし、主は私を見捨てませんでした。ルシファー様、一緒に乗り越えましょう。私も主も決して見捨てません。」
綺麗事だと言われても構わない。
それでも、私はルシファー様と助けたいと思うのです。
「…頭がお花畑だな。」と馬鹿にしたように笑う。
「同情は身を滅ぼす。いつか、聖女様も逃げるだろう。」
リリアナにはその姿がまるで怯える子供に見えた。
どうして、気づかなかったのでしょう。
ルシファー様のその感情は私のよく知るものなのに、どうしてわかろうとしなかったのでしょう。
「ルシファー様は寂しかったのですね。」
貴方はすっと…家族を求めていたのに。
「とんだお花畑だな。」
たとえそれが、間違っていたとしても。
「私にルシファー様の御心をお救いすることはできませんか?私がルシファー様の側にいてはダメですか?」
私は貴方の家族になりたいのです。
沈黙が続き、突然「…くくくっ。」と可笑しそうに笑う。
そして、いつものようにニヤリと怪しく笑うのだ。
「お前はもう俺のものだ。だが、そこまで言うのなら吸血鬼を側に置く事がどういう事なのかたっぷり教えてやる。リリアナ。」とルシファーはリリアナのおでこにキスを落とす。
リリアナは肩を震わせ口を抑える。
それは、恐怖や恥じらいからではなく、心の底からくる喜びだった。
今、初めて…!
「名前!初めて呼んでくださいましたね!」
「本当に、飽きないな。お前は。」
ルシファーはトンチンカンなことに喜ぶリリアナを見て笑った。
一瞬だったが、優しく笑ったのだ。
しかし、リリアナは嬉しそのあまりルシファーのその変化に気づかなかった。
「ご褒美にたっぷり可愛がってやりたいが、人間は脆いからな今日はこれで我慢してやる。」とルシファーはリリアナを腕の中に閉じ込め抱きしめる。
いわゆる、抱き枕状態である。
リリアナは初めこそもぞもぞと抜け出そうとするが直ぐに諦める。
吸血鬼の彼はきっと私の力なんて必要ないでしょう。それでも主よ、私は強く優しいこの人を守れる存在になりたいのです。
どうか、ひとりぼっちだった、彼のそばにいさせてください。
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