1 / 26
プロローグ
しおりを挟む
新しい話始めました。舞台は地球と似て非なる場所です。現代と似ている場所など出てくるかもしれませんが、まったくの別物であり、実際の場所、モノ、人などとは一切関係がありません。
*∽*∽*∽*∽*
昔々、とある科学者が、究極の生物を造ろうと腐心しておりました。
何が究極か。あらゆる攻撃に耐えうることか。傷の再生能力が異常なまでに高いことか。不死であることか。そのすべてか。
科学者もわかりませんでした。だから造りました。造って造って造り続けました。結局科学者は、生涯をかけても自分の理想がわからないまま、死んでしまいました。大量に造られたキメラを残したまま。
キメラは科学者の研究所から逃げ出し、人間の脅威となりました。独自に進化し、自然界のものと交わり、その数は減ることはありません。世界は人々を守るため、人の住む場所をシールドで囲いました。
各国の軍隊が、定期的にシールド外のキメラを討伐するので、人々は再び安心して暮らせるようになりました。
-出典:科学者の過ちとシールドの成り立ち-
*~*~*~*~*
可もなく不可もなく。いたって普通の外見、普通のどこにでもいるような、派遣のOL。日向透子は、そんな女性だった。仕事もすごく出来るわけではないが、そつなく熟し、誰かとトラブルを起こすこともない。口数が少なく大人しいが、誰とでも普通に会話はする。ここ火の本国ではありふれた黒髪黒目の外見。だが、その黒髪はとても艶やかで美しいことは、誰もが認めるだろう。背は少々低めで少々やせ気味。
だが、ふとしたときに、彼女から目が離せなくなることがある。窓の外を見つめているときだ。時々、ジッと窓の外を見つめることがある。その姿を見た者は、微かな違和感があるのだ。いつも通りに見える。ただ窓の外を見ているだけ。そう思うのだが、何かが違う。言葉では表せない何かに、微かな引っかかりを覚えるのだ。けれど、彼女が窓から目を離すとその雰囲気も霧散する。気のせいだと思う程度の、違和感。
そんな彼女に、まさかこれほどまで驚かされるとは、誰も予想だにしなかった。
*~*~*~*~*
世界には四大財閥と言われている財閥が存在する。
ファブリティッシュ王国のロベロニア財閥、ラフランス国のミュゲル財閥、ドイツェルン国のヴァンタイン財閥、リタイア国のアスカーノ財閥。
そんな四大財閥が、密かに一つの協定を結んでいた。
「秘宝は今、火の本国だろう」
ヴァンタインがそう言うと、その場の全員が頷く。
「約束の期限まで三ヶ月を切りましたね」
「一年は長いよね。やっと四分の三消化か」
ミュゲルの言葉に、ロベロニアは苦笑してそう続けた。
「みんな諦めていいんだよ。秘宝は私が貰い受けるからさ」
アスカーノが人懐っこい笑みを浮かべながらそう言うと、他の三人から冷たい視線を受けた。
「協定を破棄することはない。秘宝は私が貰い受けるよ」
ロベロニアが冷たい笑みを浮かべた。
「諦めが肝心だよ?」
「ではあなたが諦めるとよろしい」
アスカーノにすかさずミュゲルが冷たく言い放つ。アスカーノはおどけたように肩を竦めた。
「簡単に諦められるものなら、最初から協定など結ばないよ」
あの美しさ、一度でも目にしたら手放せない。ロベロニアは憂えるように溜め息を吐いた。
「とにかく、あと少しだ。全力で取りに行く」
ギラギラとした目で、ヴァンタインは獰猛な笑みを浮かべた。
*つづく*
*∽*∽*∽*∽*
昔々、とある科学者が、究極の生物を造ろうと腐心しておりました。
何が究極か。あらゆる攻撃に耐えうることか。傷の再生能力が異常なまでに高いことか。不死であることか。そのすべてか。
科学者もわかりませんでした。だから造りました。造って造って造り続けました。結局科学者は、生涯をかけても自分の理想がわからないまま、死んでしまいました。大量に造られたキメラを残したまま。
キメラは科学者の研究所から逃げ出し、人間の脅威となりました。独自に進化し、自然界のものと交わり、その数は減ることはありません。世界は人々を守るため、人の住む場所をシールドで囲いました。
各国の軍隊が、定期的にシールド外のキメラを討伐するので、人々は再び安心して暮らせるようになりました。
-出典:科学者の過ちとシールドの成り立ち-
*~*~*~*~*
可もなく不可もなく。いたって普通の外見、普通のどこにでもいるような、派遣のOL。日向透子は、そんな女性だった。仕事もすごく出来るわけではないが、そつなく熟し、誰かとトラブルを起こすこともない。口数が少なく大人しいが、誰とでも普通に会話はする。ここ火の本国ではありふれた黒髪黒目の外見。だが、その黒髪はとても艶やかで美しいことは、誰もが認めるだろう。背は少々低めで少々やせ気味。
だが、ふとしたときに、彼女から目が離せなくなることがある。窓の外を見つめているときだ。時々、ジッと窓の外を見つめることがある。その姿を見た者は、微かな違和感があるのだ。いつも通りに見える。ただ窓の外を見ているだけ。そう思うのだが、何かが違う。言葉では表せない何かに、微かな引っかかりを覚えるのだ。けれど、彼女が窓から目を離すとその雰囲気も霧散する。気のせいだと思う程度の、違和感。
そんな彼女に、まさかこれほどまで驚かされるとは、誰も予想だにしなかった。
*~*~*~*~*
世界には四大財閥と言われている財閥が存在する。
ファブリティッシュ王国のロベロニア財閥、ラフランス国のミュゲル財閥、ドイツェルン国のヴァンタイン財閥、リタイア国のアスカーノ財閥。
そんな四大財閥が、密かに一つの協定を結んでいた。
「秘宝は今、火の本国だろう」
ヴァンタインがそう言うと、その場の全員が頷く。
「約束の期限まで三ヶ月を切りましたね」
「一年は長いよね。やっと四分の三消化か」
ミュゲルの言葉に、ロベロニアは苦笑してそう続けた。
「みんな諦めていいんだよ。秘宝は私が貰い受けるからさ」
アスカーノが人懐っこい笑みを浮かべながらそう言うと、他の三人から冷たい視線を受けた。
「協定を破棄することはない。秘宝は私が貰い受けるよ」
ロベロニアが冷たい笑みを浮かべた。
「諦めが肝心だよ?」
「ではあなたが諦めるとよろしい」
アスカーノにすかさずミュゲルが冷たく言い放つ。アスカーノはおどけたように肩を竦めた。
「簡単に諦められるものなら、最初から協定など結ばないよ」
あの美しさ、一度でも目にしたら手放せない。ロベロニアは憂えるように溜め息を吐いた。
「とにかく、あと少しだ。全力で取りに行く」
ギラギラとした目で、ヴァンタインは獰猛な笑みを浮かべた。
*つづく*
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

君の秘密
朝陽七彩
恋愛
「フン‼」
「うるせぇ‼」
「黙れ‼」
そんなことを言って周りから恐れられている、君。
……でも。
私は知ってしまった、君の秘密を。
**⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆*
佐伯 杏樹(さえき あんじゅ)
市野瀬大翔(いちのせ ひろと)
**⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆***⋆*

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

Blue Rose~傍役令嬢のアフターケア~
夢草 蝶
恋愛
ある社交パーティーの場でたくさんの殿方を侍らせているロマンス小説のヒロインみたいな少女。
私は彼女たちを気にせず、友人たちとの談笑を楽しんだり、軽食に舌鼓を打っていた。
おや? ヒロイン少女が王子に何かを耳打ちしている。
何を言っているのだろうと眺めてたら、王子がびっくりしたように私を見て、こちらへやって来た。
腕を捕まれて──うぇ!? 何事!?
休憩室に連れていかれると、王子は気まずそうに言った。
「あのさ、ないとは思うけど、一応確認しておくな。お前、マロンに嫌がらせとかした?」
・・・・・・はぁ?
これは、お馬鹿ヒロインによって黒歴史を刻まれた者たちを成り行きでアフターケアする令嬢の物語である。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる