箱庭の楽園

らがまふぃん

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1 邂逅

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 新しい話始めました。
 王子様と健気なヒロインのお話です。
 予告なく残酷な表現が入ります。苦手な方はこのまま閉じてください。


*~*~*~*~*


 奇跡の一族、と呼ばれる一族がいる。
 この一族は、死に逝く者に自分の命を分け与えると言われている。
 誰もがこの一族を望んだ。
 しかしこの一族は、誰にでも命を分け与えることが出来るわけではない。それを知った欲の深い者の手によって、次々粛正されてしまう。
 今はその血を継ぐ者はいないと言われている。



 それは偶然か、必然か。
 グラスライラ王国の第三王子、フォスガイア・ルシニエィル・グラスライラは、鷹狩りに来ていた。探していると、木に止まっている鳥を見つけ、驚く。なんて美しい鳥だろうと。見たこともない鳥だった。白い鳥。光があたると虹色に反射している。鷹くらいの大きさだ。目が、あった。着いて来い、と言うように、鳥は飛ぶ。フォスガイアは鷹のことなど忘れ、夢中で馬で追いかけた。護衛の制止の声など届かない。
 木が途切れ、視界が開ける。そこには、高さこそないが、幅のある滝が流れ落ちる湖があった。
 サアアアァァ
 静かな滝の音が聞こえる。湖面は日を反射し、キラキラと輝く。
 気付けば鳥はいない。
 いたのは、湖の中に、少女がひとり。
 音が、消え去る。
 フォスガイアは少女から目が離せない。
 一糸纏わぬ姿で水浴びをする美しい少女。腰まで伸びた艶やかな濡れた黒髪は、前髪からポタリと雫が落ちる。黒曜石のように美しい瞳が、フォスガイアを見た。
 時が止まる。
 少女は驚いたように目を見開き、急いで湖からあがる。少女は裸体だというのに、照れも慌てもせずフォスガイアに近付くと、すぐ側で両手を祈るように組み、ひざまづいた。
 「王様、会いたかったです」
 少女は、とても美しく笑った。
 「おまえ、名は」
 「優和ゆうわと言います」
 これが、王子フォスガイアと、少女優和との出会いだった。


 *つづく*

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