1 / 9
1 邂逅
しおりを挟む
新しい話始めました。
王子様と健気なヒロインのお話です。
予告なく残酷な表現が入ります。苦手な方はこのまま閉じてください。
*~*~*~*~*
奇跡の一族、と呼ばれる一族がいる。
この一族は、死に逝く者に自分の命を分け与えると言われている。
誰もがこの一族を望んだ。
しかしこの一族は、誰にでも命を分け与えることが出来るわけではない。それを知った欲の深い者の手によって、次々粛正されてしまう。
今はその血を継ぐ者はいないと言われている。
それは偶然か、必然か。
グラスライラ王国の第三王子、フォスガイア・ルシニエィル・グラスライラは、鷹狩りに来ていた。探していると、木に止まっている鳥を見つけ、驚く。なんて美しい鳥だろうと。見たこともない鳥だった。白い鳥。光があたると虹色に反射している。鷹くらいの大きさだ。目が、あった。着いて来い、と言うように、鳥は飛ぶ。フォスガイアは鷹のことなど忘れ、夢中で馬で追いかけた。護衛の制止の声など届かない。
木が途切れ、視界が開ける。そこには、高さこそないが、幅のある滝が流れ落ちる湖があった。
サアアアァァ
静かな滝の音が聞こえる。湖面は日を反射し、キラキラと輝く。
気付けば鳥はいない。
いたのは、湖の中に、少女がひとり。
音が、消え去る。
フォスガイアは少女から目が離せない。
一糸纏わぬ姿で水浴びをする美しい少女。腰まで伸びた艶やかな濡れた黒髪は、前髪からポタリと雫が落ちる。黒曜石のように美しい瞳が、フォスガイアを見た。
時が止まる。
少女は驚いたように目を見開き、急いで湖からあがる。少女は裸体だというのに、照れも慌てもせずフォスガイアに近付くと、すぐ側で両手を祈るように組み、跪いた。
「王様、会いたかったです」
少女は、とても美しく笑った。
「おまえ、名は」
「優和と言います」
これが、王子フォスガイアと、少女優和との出会いだった。
*つづく*
王子様と健気なヒロインのお話です。
予告なく残酷な表現が入ります。苦手な方はこのまま閉じてください。
*~*~*~*~*
奇跡の一族、と呼ばれる一族がいる。
この一族は、死に逝く者に自分の命を分け与えると言われている。
誰もがこの一族を望んだ。
しかしこの一族は、誰にでも命を分け与えることが出来るわけではない。それを知った欲の深い者の手によって、次々粛正されてしまう。
今はその血を継ぐ者はいないと言われている。
それは偶然か、必然か。
グラスライラ王国の第三王子、フォスガイア・ルシニエィル・グラスライラは、鷹狩りに来ていた。探していると、木に止まっている鳥を見つけ、驚く。なんて美しい鳥だろうと。見たこともない鳥だった。白い鳥。光があたると虹色に反射している。鷹くらいの大きさだ。目が、あった。着いて来い、と言うように、鳥は飛ぶ。フォスガイアは鷹のことなど忘れ、夢中で馬で追いかけた。護衛の制止の声など届かない。
木が途切れ、視界が開ける。そこには、高さこそないが、幅のある滝が流れ落ちる湖があった。
サアアアァァ
静かな滝の音が聞こえる。湖面は日を反射し、キラキラと輝く。
気付けば鳥はいない。
いたのは、湖の中に、少女がひとり。
音が、消え去る。
フォスガイアは少女から目が離せない。
一糸纏わぬ姿で水浴びをする美しい少女。腰まで伸びた艶やかな濡れた黒髪は、前髪からポタリと雫が落ちる。黒曜石のように美しい瞳が、フォスガイアを見た。
時が止まる。
少女は驚いたように目を見開き、急いで湖からあがる。少女は裸体だというのに、照れも慌てもせずフォスガイアに近付くと、すぐ側で両手を祈るように組み、跪いた。
「王様、会いたかったです」
少女は、とても美しく笑った。
「おまえ、名は」
「優和と言います」
これが、王子フォスガイアと、少女優和との出会いだった。
*つづく*
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説

雪とともに消えた記憶~冬に起きた奇跡~
梅雨の人
恋愛
記憶が戻らないままだったら…そうつぶやく私にあなたは
「忘れるだけ忘れてしまったままでいい。君は私の指のごつごつした指の感触だけは思い出してくれた。それがすべてだ。」
そういって抱きしめてくれた暖かなあなたのぬくもりが好きよ。
雪と共に、私の夫だった人の記憶も、全て溶けて消えてしまった私はあなたと共に生きていく。

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人
白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。
だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。
罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。
そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。
切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》



実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

王妃の愛
うみの渚
恋愛
王は王妃フローラを愛していた。
一人息子のアルフォンスが無事王太子となり、これからという時に王は病に倒れた。
王の命が尽きようとしたその時、王妃から驚愕の真実を告げられる。
初めての復讐ものです。
拙い文章ですが、お手に取って頂けると幸いです。

[完]僕の前から、君が消えた
小葉石
恋愛
『あなたの残りの時間、全てください』
余命宣告を受けた僕に殊勝にもそんな事を言っていた彼女が突然消えた…それは事故で一瞬で終わってしまったと後から聞いた。
残りの人生彼女とはどう向き合おうかと、悩みに悩んでいた僕にとっては彼女が消えた事実さえ上手く処理出来ないでいる。
そんな彼女が、僕を迎えにくるなんて……
*ホラーではありません。現代が舞台ですが、ファンタジー色強めだと思います。

【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる