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廷内には結構な数の人がいた。みんな貴族だよね。何かの役職を持った人たちっぽい。偉い人っぽい雰囲気が醸し出されている。
私たちが来ると、一斉に立ち上がり、臣下の礼をとった。おお、すげえ。場の空気が張り詰める。私は王子二人に挟まれて座った。少しして王様らしき人が入ってくると、再び一斉に立ち上がり、臣下の礼をとった。やっぱりすげえ。とりあえず言われていた通り私も頭は下げたよ。
ちなみに私が座らされているところ、上座って言うのかな。兄の隣に王様いるもの。目立つな、ここ。裁判みたいだけど、私、いわゆる証言台みたいなところに立たなくていいのかな。面倒だから考えるの止めよう。
ブルーエイ侯爵は、片眼鏡のグレイヘアイケオジと言い争っている。私が行方不明だった娘だと知って混乱していたようだが。
「そもそもその子が私の娘である証拠はあるのですか。我が家はその娘のような色彩を持っていない。その娘の勘違いではないのか」
「ソフィレアイン殿下が行方不明直前の彼女を、あなたの邸で見ている。殿下の言を疑うと?」
「疑っているのではない。五年も経っているのだ。子どもの顔は変わりやすい、と言っているのだ」
「少なくとも金の髪に紫の瞳の少女がいたことは間違いないのだ。ソフィレアイン殿下の護衛も見ている。その色彩の子がいなくなった」
「あの日あの部屋にいた少女のことを言っているならメイドだ。そう報告が上がっているだろう」
どちらも負けじと言葉の応酬。聞いてるだけで疲れてきた。それにしても私がいなくなったのに失踪届が出されていない理由はそういうことでしたか。王子たちは知っていたから、私に理由を隠したんだろうね。別に何とも思わないから大丈夫なのに。
「そんなどこの馬の骨とも知らん娘を連れて来て私の子どもだと言われても、何一つ頷けるはずがない」
「殿下たちが調べもせずこんな場を設けたと言われるのか」
「そうではない。その娘をブルーエイ家の娘だと言われるのなら、根拠を、証拠を、と申しているのです。こんな水掛け論、実に不毛だ」
ふん、と鼻を鳴らす侯爵に、片眼鏡の人が終始口の端を上げているように見える。まあ、うん、そうだよね。ちょっと考えればわかるよね。いや、考えなくてもわかるか。こんな議論自体がおかしいって気付かないのかな、この侯爵。多分、何か他にボロを出さないか試されているんだろうな。
「ところでブルーエイ侯爵殿。ブルーエイ家の全員で登城していただきましたよね」
「ああ。そう言われていたからな」
「そうですか。あなたの言う通り不毛ですから、次に移ります。よろしいですか?」
片眼鏡があっさり引き下がったことに、侯爵はもっと警戒した方がいいんじゃないかな。根拠も証拠もないだろうふふん、じゃないぞ。
*つづく*
私たちが来ると、一斉に立ち上がり、臣下の礼をとった。おお、すげえ。場の空気が張り詰める。私は王子二人に挟まれて座った。少しして王様らしき人が入ってくると、再び一斉に立ち上がり、臣下の礼をとった。やっぱりすげえ。とりあえず言われていた通り私も頭は下げたよ。
ちなみに私が座らされているところ、上座って言うのかな。兄の隣に王様いるもの。目立つな、ここ。裁判みたいだけど、私、いわゆる証言台みたいなところに立たなくていいのかな。面倒だから考えるの止めよう。
ブルーエイ侯爵は、片眼鏡のグレイヘアイケオジと言い争っている。私が行方不明だった娘だと知って混乱していたようだが。
「そもそもその子が私の娘である証拠はあるのですか。我が家はその娘のような色彩を持っていない。その娘の勘違いではないのか」
「ソフィレアイン殿下が行方不明直前の彼女を、あなたの邸で見ている。殿下の言を疑うと?」
「疑っているのではない。五年も経っているのだ。子どもの顔は変わりやすい、と言っているのだ」
「少なくとも金の髪に紫の瞳の少女がいたことは間違いないのだ。ソフィレアイン殿下の護衛も見ている。その色彩の子がいなくなった」
「あの日あの部屋にいた少女のことを言っているならメイドだ。そう報告が上がっているだろう」
どちらも負けじと言葉の応酬。聞いてるだけで疲れてきた。それにしても私がいなくなったのに失踪届が出されていない理由はそういうことでしたか。王子たちは知っていたから、私に理由を隠したんだろうね。別に何とも思わないから大丈夫なのに。
「そんなどこの馬の骨とも知らん娘を連れて来て私の子どもだと言われても、何一つ頷けるはずがない」
「殿下たちが調べもせずこんな場を設けたと言われるのか」
「そうではない。その娘をブルーエイ家の娘だと言われるのなら、根拠を、証拠を、と申しているのです。こんな水掛け論、実に不毛だ」
ふん、と鼻を鳴らす侯爵に、片眼鏡の人が終始口の端を上げているように見える。まあ、うん、そうだよね。ちょっと考えればわかるよね。いや、考えなくてもわかるか。こんな議論自体がおかしいって気付かないのかな、この侯爵。多分、何か他にボロを出さないか試されているんだろうな。
「ところでブルーエイ侯爵殿。ブルーエイ家の全員で登城していただきましたよね」
「ああ。そう言われていたからな」
「そうですか。あなたの言う通り不毛ですから、次に移ります。よろしいですか?」
片眼鏡があっさり引き下がったことに、侯爵はもっと警戒した方がいいんじゃないかな。根拠も証拠もないだろうふふん、じゃないぞ。
*つづく*
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