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「昨日は本当に申し訳なかったね、折角来てくれたのに。今日は時間があるから、早速キミを見せてもらおうと思う。いいかな」
王様が昨日と同じく作業着姿でそこにいた。
見るってなんだ。そう言えば、アッサムも見てもらおうといっていたが、何を。魔法のことに気を取られて何も聞いていなかったな。素直に何を見るか尋ねると、魔力量と属性を見せて欲しいと言われた。
「アッサムが、気配が変わっていると言っていた。だから、興味がある。見せて貰えないだろうか」
穏やかに微笑む王様に、やはり魔族は全体的に温和な一族なんだと感じた。
「痛くないならいいですよ。服とか脱ぎます?」
「そういうのはないからっ。そのままで、大丈夫だからっ」
私の素敵な一張羅、入院服のような白っぽいワンピースの裾を少し持ち上げると、慌てる王様。シャイボーイか。イケメンシャイボーイ。そんな王様の黒髪に黒い瞳が、前世を思い起こさせる。けれど顔面偏差値はあり得ないほど高い。とりとめなくくだらないことを考えていると、王様の黒目が、ゆっくり金色に変化していく。おお、なんて幻想的。その美しさをジッと見つめていると、王様の目が、フ、と柔らかくなる。
「目を、閉じてもいいんだよ」
「いえ、綺麗なんで見てます」
私の直球の言葉に面食らったのか、王様は照れたように笑うと、ありがとう、と微笑んだ。ふおお、マジで眼福だな。関わらなければもっと良きだったのだが、いろんな魔法に触れてみたいからね。
「ああ、本当だ。キミは不思議な色をしている」
王様がそんなことを言った。気配に色があるのか。属性に色があるのか。魔力に色があるのか。わからん。何が不思議な色なんだ。そう考えていると、また王様の目が柔らかくなる。
「色、と言うのが何のことかってことかな」
おお、私の困惑を読み取ってくれた。コクリと頷くと、王様は丁寧に説明をしてくれた。
曰く、私の周りに漂う生命力のようなものだという。前世でいうところの、オーラとか言うものかな。それが魔力の色にもなるんだって。
「魔力量は、平均よりやや多め、だね。属性は聖。そう、キミは聖女なんだね。でも」
王様がより良く見ようとするように、そのイケ面をものすごく近付けてきた。その時だ。王様が、車に轢かれたカエルのような声を出して遠ざかった。影艶が、フンッ、と鼻を鳴らして私に擦り寄る。王様の襟首を咥えて後ろに投げたようだ。嫉妬か?オレの女に手を出すなって、嫉妬か?ボディーガードのような素敵な彼氏に余は満足じゃ。苦しゅうない、近う寄れ。もふもふしてたも。
王様を投げ飛ばされて、アッサムの目が点になっているけど、仕方ないよね。すみませぇん、ウチの子、私命なんでぇ。思い切りモフりながら心の中で謝ってみた。
「いてて。ごめんごめん。キミの大切な人だったね。何も悪さしないよ。近付きすぎて悪かった」
性格までイケメンか。スペック高くて眩しいわ。王様に手を出したのに不敬とかないんかな。
「では私はこれで」
もう用は無かろう。何か言われる前に去ろう。王様に手を貸すことなく立ち去ろうとする私を、アッサムが呼び止める。
「もう行ってしまうのか?折角だ、いろいろ案内するぞ」
「またの機会にお願いするよ」
本を読んで、試したいことが出来た。早く試したい。ケルベロス計画を進めるのだ。いざ行かん、誰にも邪魔されぬ森の奥深くへ。行くぞ、影艶。ついて参れ。その前にちょっともふもふさせるが良い。
「ありがとね、影艶」
ワガママに付き合ってくれて。守ってくれて。
「大好きだよ、影艶」
森に入って元の大きさに戻った影艶の背中に乗りながら、もふもふに癒されるように目を閉じた。
*つづく*
王様が昨日と同じく作業着姿でそこにいた。
見るってなんだ。そう言えば、アッサムも見てもらおうといっていたが、何を。魔法のことに気を取られて何も聞いていなかったな。素直に何を見るか尋ねると、魔力量と属性を見せて欲しいと言われた。
「アッサムが、気配が変わっていると言っていた。だから、興味がある。見せて貰えないだろうか」
穏やかに微笑む王様に、やはり魔族は全体的に温和な一族なんだと感じた。
「痛くないならいいですよ。服とか脱ぎます?」
「そういうのはないからっ。そのままで、大丈夫だからっ」
私の素敵な一張羅、入院服のような白っぽいワンピースの裾を少し持ち上げると、慌てる王様。シャイボーイか。イケメンシャイボーイ。そんな王様の黒髪に黒い瞳が、前世を思い起こさせる。けれど顔面偏差値はあり得ないほど高い。とりとめなくくだらないことを考えていると、王様の黒目が、ゆっくり金色に変化していく。おお、なんて幻想的。その美しさをジッと見つめていると、王様の目が、フ、と柔らかくなる。
「目を、閉じてもいいんだよ」
「いえ、綺麗なんで見てます」
私の直球の言葉に面食らったのか、王様は照れたように笑うと、ありがとう、と微笑んだ。ふおお、マジで眼福だな。関わらなければもっと良きだったのだが、いろんな魔法に触れてみたいからね。
「ああ、本当だ。キミは不思議な色をしている」
王様がそんなことを言った。気配に色があるのか。属性に色があるのか。魔力に色があるのか。わからん。何が不思議な色なんだ。そう考えていると、また王様の目が柔らかくなる。
「色、と言うのが何のことかってことかな」
おお、私の困惑を読み取ってくれた。コクリと頷くと、王様は丁寧に説明をしてくれた。
曰く、私の周りに漂う生命力のようなものだという。前世でいうところの、オーラとか言うものかな。それが魔力の色にもなるんだって。
「魔力量は、平均よりやや多め、だね。属性は聖。そう、キミは聖女なんだね。でも」
王様がより良く見ようとするように、そのイケ面をものすごく近付けてきた。その時だ。王様が、車に轢かれたカエルのような声を出して遠ざかった。影艶が、フンッ、と鼻を鳴らして私に擦り寄る。王様の襟首を咥えて後ろに投げたようだ。嫉妬か?オレの女に手を出すなって、嫉妬か?ボディーガードのような素敵な彼氏に余は満足じゃ。苦しゅうない、近う寄れ。もふもふしてたも。
王様を投げ飛ばされて、アッサムの目が点になっているけど、仕方ないよね。すみませぇん、ウチの子、私命なんでぇ。思い切りモフりながら心の中で謝ってみた。
「いてて。ごめんごめん。キミの大切な人だったね。何も悪さしないよ。近付きすぎて悪かった」
性格までイケメンか。スペック高くて眩しいわ。王様に手を出したのに不敬とかないんかな。
「では私はこれで」
もう用は無かろう。何か言われる前に去ろう。王様に手を貸すことなく立ち去ろうとする私を、アッサムが呼び止める。
「もう行ってしまうのか?折角だ、いろいろ案内するぞ」
「またの機会にお願いするよ」
本を読んで、試したいことが出来た。早く試したい。ケルベロス計画を進めるのだ。いざ行かん、誰にも邪魔されぬ森の奥深くへ。行くぞ、影艶。ついて参れ。その前にちょっともふもふさせるが良い。
「ありがとね、影艶」
ワガママに付き合ってくれて。守ってくれて。
「大好きだよ、影艶」
森に入って元の大きさに戻った影艶の背中に乗りながら、もふもふに癒されるように目を閉じた。
*つづく*
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