精霊の使い?いいえ、違います。

らがまふぃん

文字の大きさ
上 下
1 / 24

0.プロローグ

しおりを挟む
新しい話、始めました。
恋愛要素より友情要素の強いファンタジーです。
虐待表現ありますので、閲覧注意です。


*∽*∽*∽*


 この世界には、精霊が存在している。
 その精霊から力を借りて魔法を行使できる人が、数は少ないが存在する。そういう人たちは精霊の使いと呼ばれ、尊ばれた。

 精霊の使いかどうか、生まれたときに確認をする決まりとなっている。精霊に愛された子は、神殿にある水晶に触れると、精霊の属性の色に水晶が光る。水なら青、火なら赤、地なら黄、というように。これまでの歴史で確認されてきたものは、水、火、地、風、緑、光、闇の七種。特に光と闇は滅多に顕現しない。精霊の使いというだけで貴族でいう伯爵レベルの待遇を受ける。あとはその力次第で、公爵クラスの扱いにまでなる者もいた。

 だが、光と闇は違う。

 その精霊に愛されているというだけで、王族クラスの扱いだ。この精霊の使いは、王族さえも無碍には出来ないほど、貴重な存在なのだ。なぜなら、光の精霊はあまねく富を司り、闇の精霊は遍く安らぎと平穏を司る。その精霊の使いが存在するだけで、その領地、果ては国は、それを約束されたも同然だからだ。

 この国には現在、五十名ほどの精霊の使いが存在する。その八割が貴族だ。そのことから、精霊は血筋を好むのではないかと考えられている。ゆえに、精霊の使いの出た貴族家は、縁談の話が面白いように舞い込む。
 王家も高位貴族の中から精霊の使いが出ると、婚姻を結んできた。王家にも精霊が好む血が流れているはずだが、現王家には、精霊の使いは一人もいない。頻繁に現れるものではないため珍しくはないが、精霊の使いがいるときの王家の求心力とは明らかに差が出てしまう。高位貴族の中に精霊の使いはいるのだが、婚姻を結ぶには年齢が合わなかった。ベビーラッシュから外れて生まれた子たちばかりがそれにあたるからだ。権力欲とも何か関係しているのかも知れない。なるほど、確かに歴史を紐解けば、王家と婚姻を結んだ高位貴族の精霊の使いは、王家に嫁ぐことを渋る親たちばかりだった。王命で泣く泣く出さざるを得なかったようだ。それでも、精霊の使いを無碍にすることは決してなかったので、不幸になることはなかったことが救いではあった。

 そしてもう一つ。
 もう、殆どの人が忘れてしまった、古い古い昔話。

 その精霊は、探している。
 たったひとりを、探している。



*つづく*
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

王太子妃が我慢しなさい ~姉妹差別を受けていた姉がもっとひどい兄弟差別を受けていた王太子に嫁ぎました~

玄未マオ
ファンタジー
メディア王家に伝わる古い呪いで第一王子は家族からも畏怖されていた。 その王子の元に姉妹差別を受けていたメルが嫁ぐことになるが、その事情とは? ヒロインは姉妹差別され育っていますが、言いたいことはきっちりいう子です。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ

もぐすけ
ファンタジー
 シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。  あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。  テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。

処理中です...