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新しい話、始めました。
恋愛要素より友情要素の強いファンタジーです。
虐待表現ありますので、閲覧注意です。
*∽*∽*∽*
この世界には、精霊が存在している。
その精霊から力を借りて魔法を行使できる人が、数は少ないが存在する。そういう人たちは精霊の使いと呼ばれ、尊ばれた。
精霊の使いかどうか、生まれたときに確認をする決まりとなっている。精霊に愛された子は、神殿にある水晶に触れると、精霊の属性の色に水晶が光る。水なら青、火なら赤、地なら黄、というように。これまでの歴史で確認されてきたものは、水、火、地、風、緑、光、闇の七種。特に光と闇は滅多に顕現しない。精霊の使いというだけで貴族でいう伯爵レベルの待遇を受ける。あとはその力次第で、公爵クラスの扱いにまでなる者もいた。
だが、光と闇は違う。
その精霊に愛されているというだけで、王族クラスの扱いだ。この精霊の使いは、王族さえも無碍には出来ないほど、貴重な存在なのだ。なぜなら、光の精霊は遍く富を司り、闇の精霊は遍く安らぎと平穏を司る。その精霊の使いが存在するだけで、その領地、果ては国は、それを約束されたも同然だからだ。
この国には現在、五十名ほどの精霊の使いが存在する。その八割が貴族だ。そのことから、精霊は血筋を好むのではないかと考えられている。ゆえに、精霊の使いの出た貴族家は、縁談の話が面白いように舞い込む。
王家も高位貴族の中から精霊の使いが出ると、婚姻を結んできた。王家にも精霊が好む血が流れているはずだが、現王家には、精霊の使いは一人もいない。頻繁に現れるものではないため珍しくはないが、精霊の使いがいるときの王家の求心力とは明らかに差が出てしまう。高位貴族の中に精霊の使いはいるのだが、婚姻を結ぶには年齢が合わなかった。ベビーラッシュから外れて生まれた子たちばかりがそれにあたるからだ。権力欲とも何か関係しているのかも知れない。なるほど、確かに歴史を紐解けば、王家と婚姻を結んだ高位貴族の精霊の使いは、王家に嫁ぐことを渋る親たちばかりだった。王命で泣く泣く出さざるを得なかったようだ。それでも、精霊の使いを無碍にすることは決してなかったので、不幸になることはなかったことが救いではあった。
そしてもう一つ。
もう、殆どの人が忘れてしまった、古い古い昔話。
その精霊は、探している。
たったひとりを、探している。
*つづく*
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虐待表現ありますので、閲覧注意です。
*∽*∽*∽*
この世界には、精霊が存在している。
その精霊から力を借りて魔法を行使できる人が、数は少ないが存在する。そういう人たちは精霊の使いと呼ばれ、尊ばれた。
精霊の使いかどうか、生まれたときに確認をする決まりとなっている。精霊に愛された子は、神殿にある水晶に触れると、精霊の属性の色に水晶が光る。水なら青、火なら赤、地なら黄、というように。これまでの歴史で確認されてきたものは、水、火、地、風、緑、光、闇の七種。特に光と闇は滅多に顕現しない。精霊の使いというだけで貴族でいう伯爵レベルの待遇を受ける。あとはその力次第で、公爵クラスの扱いにまでなる者もいた。
だが、光と闇は違う。
その精霊に愛されているというだけで、王族クラスの扱いだ。この精霊の使いは、王族さえも無碍には出来ないほど、貴重な存在なのだ。なぜなら、光の精霊は遍く富を司り、闇の精霊は遍く安らぎと平穏を司る。その精霊の使いが存在するだけで、その領地、果ては国は、それを約束されたも同然だからだ。
この国には現在、五十名ほどの精霊の使いが存在する。その八割が貴族だ。そのことから、精霊は血筋を好むのではないかと考えられている。ゆえに、精霊の使いの出た貴族家は、縁談の話が面白いように舞い込む。
王家も高位貴族の中から精霊の使いが出ると、婚姻を結んできた。王家にも精霊が好む血が流れているはずだが、現王家には、精霊の使いは一人もいない。頻繁に現れるものではないため珍しくはないが、精霊の使いがいるときの王家の求心力とは明らかに差が出てしまう。高位貴族の中に精霊の使いはいるのだが、婚姻を結ぶには年齢が合わなかった。ベビーラッシュから外れて生まれた子たちばかりがそれにあたるからだ。権力欲とも何か関係しているのかも知れない。なるほど、確かに歴史を紐解けば、王家と婚姻を結んだ高位貴族の精霊の使いは、王家に嫁ぐことを渋る親たちばかりだった。王命で泣く泣く出さざるを得なかったようだ。それでも、精霊の使いを無碍にすることは決してなかったので、不幸になることはなかったことが救いではあった。
そしてもう一つ。
もう、殆どの人が忘れてしまった、古い古い昔話。
その精霊は、探している。
たったひとりを、探している。
*つづく*
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