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幕間
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やっぱり王太子リスラン様は、こんな人です。
*∽*∽*∽*∽*
ノヴァがスウィーディーを追い詰めているのを見つめていた。
邪魔をしてはいけないと、リスランたちは口を噤む。
墓穴を掘り続け、ノヴァに煽られ続けたスウィーディーが、ついにキレた。
常軌を逸した発言をし出したのだ。
「違うって言ってるだろ!あたしたちは真実の愛で結ばれているんだ!!」
真実の愛、と聞いた王太子リスランは、顔を片手で覆っていた。
色々頑張ってくれたノヴァには悪いが、本当にすべてをブチ壊してしまいたくなる衝動に駆られ、隣に座るユセフィラの香りで少しでも自分を落ち着かせようと、奮闘していた。
殺したいいやダメだここは我慢しなくてはユフィのこと可愛いユフィのこと愛しいユフィのこと尊いユフィのことだけを考えろ大丈夫オレにはユフィがついている大丈夫大丈夫大丈夫
「入学式で、新入生として代表の挨拶をしていたリスラン様と目が合ったのよ!その時、リスラン様は少し驚いた顔をされた後、柔らかく微笑んでくれた!それはあたしという運命を見つけたから!」
貴様など視界の隅にも入っとらんわ女神が降臨したら驚くだろ普通それがユフィだとわかってニヤけるに決まってるわだから貴様なんぞ視界の隅にも入っとらんわユフィという運命しかねーわ入ってくるな汚らわしい呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ
さらに、空き教室でつらそうな顔云々の話では、
いつのどの話だよ空き教室でユフィと二人きりなんてよくありすぎてわかんねーし女神で天使のユフィと二人きりだぞ本能の暴走押さえるのに理性総動員させてるんだつらくないわけねーだろそんなこともわかんねーのかってゆーかユフィの正体って何だ女神か天使か知ってるわボケおまけにユフィをその女呼ばわりだと息の根止まれゴミカスがだがユフィの名を呼ぶことすら許し難いクソッ
と、どんどん心の声が乱れまくっていた。
そんなスウィーディーへの殺意を抑えるために、ガクガクと震えるリスランを、側近候補三人は小声で応援する。
殿下、ワーテラー公爵令嬢様がご心配されている。耐えて。
殿下、思い出して、ワーテラー公爵令嬢様との幸せな日々を。耐えて。
殿下、殿下の隣にいる方はどなたですか?耐えて。
コクコクと何とか頷き、血走った目でユセフィラを見ると、心配そうに眉を下げるユセフィラが、
「もう少しですよ、リン様」
そう小声で耳打ちをしてくれた。公の場で、ユセフィラがリスランの名を呼ぶことは滅多にない。愛称で呼んでくれることはもっとない。先程とは違った意味で理性を総動員させねばならなくなったが、完全に頭からスウィーディーのことは消え去ってくれたようだ。
だだ漏れだった殺気が、お花畑が見えるほどフローラルに変わっている。
最後の悪あがきのように、ユセフィラを悪女だ悪魔だと罵っていたことに関しても、
悪女のユフィ、そう、オレの心を掴んで離さない、言葉ひとつでオレを振り回す、正しく悪女。
悪魔のユフィ、そう、オレの思考を奪い尽くし、ユフィのこと以外何も考えられなくさせる、正しく悪魔。
悪女で悪魔で天使で女神。
ああ、ユフィ、なんて罪深いんだ、ユフィ。
と、完全に脳ミソが溶けていた。
何にせよ、パーティー会場が血塗れになることを回避出来て、アサトたちは胸を撫で下ろす。
このような席ではなかったら、スウィーディーはどうなっていたのだろう。
ご想像にお任せする。
*本編へ続く*
*∽*∽*∽*∽*
ノヴァがスウィーディーを追い詰めているのを見つめていた。
邪魔をしてはいけないと、リスランたちは口を噤む。
墓穴を掘り続け、ノヴァに煽られ続けたスウィーディーが、ついにキレた。
常軌を逸した発言をし出したのだ。
「違うって言ってるだろ!あたしたちは真実の愛で結ばれているんだ!!」
真実の愛、と聞いた王太子リスランは、顔を片手で覆っていた。
色々頑張ってくれたノヴァには悪いが、本当にすべてをブチ壊してしまいたくなる衝動に駆られ、隣に座るユセフィラの香りで少しでも自分を落ち着かせようと、奮闘していた。
殺したいいやダメだここは我慢しなくてはユフィのこと可愛いユフィのこと愛しいユフィのこと尊いユフィのことだけを考えろ大丈夫オレにはユフィがついている大丈夫大丈夫大丈夫
「入学式で、新入生として代表の挨拶をしていたリスラン様と目が合ったのよ!その時、リスラン様は少し驚いた顔をされた後、柔らかく微笑んでくれた!それはあたしという運命を見つけたから!」
貴様など視界の隅にも入っとらんわ女神が降臨したら驚くだろ普通それがユフィだとわかってニヤけるに決まってるわだから貴様なんぞ視界の隅にも入っとらんわユフィという運命しかねーわ入ってくるな汚らわしい呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ
さらに、空き教室でつらそうな顔云々の話では、
いつのどの話だよ空き教室でユフィと二人きりなんてよくありすぎてわかんねーし女神で天使のユフィと二人きりだぞ本能の暴走押さえるのに理性総動員させてるんだつらくないわけねーだろそんなこともわかんねーのかってゆーかユフィの正体って何だ女神か天使か知ってるわボケおまけにユフィをその女呼ばわりだと息の根止まれゴミカスがだがユフィの名を呼ぶことすら許し難いクソッ
と、どんどん心の声が乱れまくっていた。
そんなスウィーディーへの殺意を抑えるために、ガクガクと震えるリスランを、側近候補三人は小声で応援する。
殿下、ワーテラー公爵令嬢様がご心配されている。耐えて。
殿下、思い出して、ワーテラー公爵令嬢様との幸せな日々を。耐えて。
殿下、殿下の隣にいる方はどなたですか?耐えて。
コクコクと何とか頷き、血走った目でユセフィラを見ると、心配そうに眉を下げるユセフィラが、
「もう少しですよ、リン様」
そう小声で耳打ちをしてくれた。公の場で、ユセフィラがリスランの名を呼ぶことは滅多にない。愛称で呼んでくれることはもっとない。先程とは違った意味で理性を総動員させねばならなくなったが、完全に頭からスウィーディーのことは消え去ってくれたようだ。
だだ漏れだった殺気が、お花畑が見えるほどフローラルに変わっている。
最後の悪あがきのように、ユセフィラを悪女だ悪魔だと罵っていたことに関しても、
悪女のユフィ、そう、オレの心を掴んで離さない、言葉ひとつでオレを振り回す、正しく悪女。
悪魔のユフィ、そう、オレの思考を奪い尽くし、ユフィのこと以外何も考えられなくさせる、正しく悪魔。
悪女で悪魔で天使で女神。
ああ、ユフィ、なんて罪深いんだ、ユフィ。
と、完全に脳ミソが溶けていた。
何にせよ、パーティー会場が血塗れになることを回避出来て、アサトたちは胸を撫で下ろす。
このような席ではなかったら、スウィーディーはどうなっていたのだろう。
ご想像にお任せする。
*本編へ続く*
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