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ばんがいへん
大人の時間
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リカリエット王国編で登場したララのお土産の着物ドレス。今回は、エル様のお好みに仕立てたものを贈る話です。結構大人な表現が出て来ますので、苦手な方はお控えください。
*~*~*~*~*
国で一、二を争うほどに成長したネフェル商会。ディレイガルド御用達ということは既に社交界に広まっている。だが、ここまで大きくなるまで、その事実は伏せられていた。ディレイガルドの名で大きくなったと言われたくなかった。それ程まで、ネフェル商会会頭ティティは、商売への情熱があった。その情熱を買っていたディレイガルド前当主の妻アイリッシュは、ティティの夢を邪魔しないために、手に入れた品をどこで購入したのかは、ずっとうまく誤魔化してきた。そうして花開いたネフェル商会。そんなティティとアイリッシュ、クロバレイス国のララと三人で考案した着物ドレスは、アリスによく似合っていた。
「袖を通させてはいない。体にあてがっただけだ」
「き、着せてくださいませ、ディレイガルド様。奥方様をイメージした渾身の作なのですから」
エリアストの言葉に、ティティは苦笑いを浮かべた。
「わかっているが、ダメだ」
ティティはそっと息を吐いた。アイリッシュとララから言われてはいた。身に纏うものだから、エリアストはアリスに着せないだろうと。それでも、本当に頑張ったのだ。一度くらい袖を通させてくれてもいいではないか。少し、悲しい気持ちになったのは当然だろう。
「だが、素晴らしいことはわかる。だから今回頼みに来た」
ティティは目を丸くした。
「おまえたちの物は着させられないが、私がイメージする着物ドレスを依頼する」
ティティの顔が綻んだ。
届けられた着物ドレスに、エリアストは満足そうに頷いた。
「エルシィ。以前約束したドレスが出来上がった」
エリアストの言葉に、アリスはキラキラと目を輝かせた。
「あの、着物ドレスというものですね、エル様」
エリアストが頷くと、アリスは遠慮がちにエリアストに寄り添った。
「約束を、守ってくださって、ありがとうございます、エル様」
そっと頬に唇を寄せると、すぐにアリスは俯いてしまった。
このくらいでこれ程照れるとは。何年経っても初々しいアリスが可愛すぎる。
だが、もう少し、いや、もっと大胆になってくれてもいい。礼は唇に、濃厚に。いや、そうなったら一生部屋から出られなくなるな。ふむ。何の不都合もないな。酒を飲ませれば大胆に、はならなかったな。いや、ある意味大胆ではあったが私の身が持たない。
そんなことを考えながら照れるアリスの頭にくちづけていると、おずおずとアリスが顔を上げた。
「エル様、あの、開けてみても、よろしいですか?」
頬を染めた上目遣いのアリスに、理性を試される。これから着替えさせるというのに、もう本能が暴走しそうだ。
「ああ、そうだな。早く着ている姿が見たい、エルシィ」
「え、エル様、あの、これ、とても嬉しいです。ですが、あの」
アリスが恥じらう。
暴走しかける本能を、これからの楽しみを糧に理性で無理矢理抑え込み、理性が勝利を収めた結果。完成したアリスを呆然と見つめた。
着物ドレス。簡単に言うと、上半身部分が着物で、下がドレス。アリスの瞳の色、黎明の紫を地とし銀糸で淡い刺繍が全体に入り、スカート部分を覆うように、アリスの髪色、黒の繊細なレースを纏わせている。帯はエリアストの髪色、銀で締め、帯締めはエリアストの瞳の色、柔らかな水色の紐に、アクアマリンの宝石で飾る。銀色のパニエを幾重にも重ねてスカートにボリュームを持たせた。衿部分を銀のレースで縁取り、真珠色のオーバーニーの足袋が足を飾る。
そう。
足を、飾る。
スカートの前は膝が見える丈で、後ろが長い、フィッシュテールのデザイン。アリスが恥じらうのは当然だった。
そんなアリスに、我慢をし続けたエリアストの本能が、黙っているはずがない。我慢をする必要も、ない。
「ああ、とても、とても美しいな、エルシィ」
エリアストの手がアリスの頬を撫でる。アリスの肩が、ピクリと跳ねた。
「堪らないな、エルシィ」
エリアストの顔が近付き、アリスの首筋に舌を這わせる。ゆっくりと体をベッドに沈める。エリアストの左手が、アリスの腿の外側を撫でると、アリスは息を飲んだ。エリアストが撫でる手の人差し指がオーバーニーの口ゴム部に入り込み、ゆるりとなぞる。
「え、る、さま」
羞恥に潤んだ瞳が、エリアストの欲望を刺激する。するりと右足のオーバーニーを足首近くまで下げると、膝に、腿に唇を落とす。小さく震えるアリスの内腿に舌を這わせると、アリスが息を詰めたのがわかった。
「エルシィ、息を止めてはダメだ。息をして」
エリアストが顔を上げ、吐息を注ぎ込むように耳元で囁く。耳にくちづけ、舌で舐ると、アリスが小さく悲鳴を上げる。
「声を、エルシィ」
我慢などせず聞かせてくれ、と言外に滲んでいる。口を押さえようとするアリスの手を、エリアストの背中に回させる。
「そう、エルシィ。私を離さないで」
いつの間にか肩まではだけていることにも気付かない程、アリスはエリアストに翻弄されている。
胸元に、所有の証を刻む。
この証は、消えることはない。
薄れる前に、刻み続ける。
「すまない、エルシィ。寝かせてやれそうにない」
激しくアリスの唇を塞いだ。
*おしまい*
次話はエル様が悪魔を召喚するファンタジーです。
*~*~*~*~*
国で一、二を争うほどに成長したネフェル商会。ディレイガルド御用達ということは既に社交界に広まっている。だが、ここまで大きくなるまで、その事実は伏せられていた。ディレイガルドの名で大きくなったと言われたくなかった。それ程まで、ネフェル商会会頭ティティは、商売への情熱があった。その情熱を買っていたディレイガルド前当主の妻アイリッシュは、ティティの夢を邪魔しないために、手に入れた品をどこで購入したのかは、ずっとうまく誤魔化してきた。そうして花開いたネフェル商会。そんなティティとアイリッシュ、クロバレイス国のララと三人で考案した着物ドレスは、アリスによく似合っていた。
「袖を通させてはいない。体にあてがっただけだ」
「き、着せてくださいませ、ディレイガルド様。奥方様をイメージした渾身の作なのですから」
エリアストの言葉に、ティティは苦笑いを浮かべた。
「わかっているが、ダメだ」
ティティはそっと息を吐いた。アイリッシュとララから言われてはいた。身に纏うものだから、エリアストはアリスに着せないだろうと。それでも、本当に頑張ったのだ。一度くらい袖を通させてくれてもいいではないか。少し、悲しい気持ちになったのは当然だろう。
「だが、素晴らしいことはわかる。だから今回頼みに来た」
ティティは目を丸くした。
「おまえたちの物は着させられないが、私がイメージする着物ドレスを依頼する」
ティティの顔が綻んだ。
届けられた着物ドレスに、エリアストは満足そうに頷いた。
「エルシィ。以前約束したドレスが出来上がった」
エリアストの言葉に、アリスはキラキラと目を輝かせた。
「あの、着物ドレスというものですね、エル様」
エリアストが頷くと、アリスは遠慮がちにエリアストに寄り添った。
「約束を、守ってくださって、ありがとうございます、エル様」
そっと頬に唇を寄せると、すぐにアリスは俯いてしまった。
このくらいでこれ程照れるとは。何年経っても初々しいアリスが可愛すぎる。
だが、もう少し、いや、もっと大胆になってくれてもいい。礼は唇に、濃厚に。いや、そうなったら一生部屋から出られなくなるな。ふむ。何の不都合もないな。酒を飲ませれば大胆に、はならなかったな。いや、ある意味大胆ではあったが私の身が持たない。
そんなことを考えながら照れるアリスの頭にくちづけていると、おずおずとアリスが顔を上げた。
「エル様、あの、開けてみても、よろしいですか?」
頬を染めた上目遣いのアリスに、理性を試される。これから着替えさせるというのに、もう本能が暴走しそうだ。
「ああ、そうだな。早く着ている姿が見たい、エルシィ」
「え、エル様、あの、これ、とても嬉しいです。ですが、あの」
アリスが恥じらう。
暴走しかける本能を、これからの楽しみを糧に理性で無理矢理抑え込み、理性が勝利を収めた結果。完成したアリスを呆然と見つめた。
着物ドレス。簡単に言うと、上半身部分が着物で、下がドレス。アリスの瞳の色、黎明の紫を地とし銀糸で淡い刺繍が全体に入り、スカート部分を覆うように、アリスの髪色、黒の繊細なレースを纏わせている。帯はエリアストの髪色、銀で締め、帯締めはエリアストの瞳の色、柔らかな水色の紐に、アクアマリンの宝石で飾る。銀色のパニエを幾重にも重ねてスカートにボリュームを持たせた。衿部分を銀のレースで縁取り、真珠色のオーバーニーの足袋が足を飾る。
そう。
足を、飾る。
スカートの前は膝が見える丈で、後ろが長い、フィッシュテールのデザイン。アリスが恥じらうのは当然だった。
そんなアリスに、我慢をし続けたエリアストの本能が、黙っているはずがない。我慢をする必要も、ない。
「ああ、とても、とても美しいな、エルシィ」
エリアストの手がアリスの頬を撫でる。アリスの肩が、ピクリと跳ねた。
「堪らないな、エルシィ」
エリアストの顔が近付き、アリスの首筋に舌を這わせる。ゆっくりと体をベッドに沈める。エリアストの左手が、アリスの腿の外側を撫でると、アリスは息を飲んだ。エリアストが撫でる手の人差し指がオーバーニーの口ゴム部に入り込み、ゆるりとなぞる。
「え、る、さま」
羞恥に潤んだ瞳が、エリアストの欲望を刺激する。するりと右足のオーバーニーを足首近くまで下げると、膝に、腿に唇を落とす。小さく震えるアリスの内腿に舌を這わせると、アリスが息を詰めたのがわかった。
「エルシィ、息を止めてはダメだ。息をして」
エリアストが顔を上げ、吐息を注ぎ込むように耳元で囁く。耳にくちづけ、舌で舐ると、アリスが小さく悲鳴を上げる。
「声を、エルシィ」
我慢などせず聞かせてくれ、と言外に滲んでいる。口を押さえようとするアリスの手を、エリアストの背中に回させる。
「そう、エルシィ。私を離さないで」
いつの間にか肩まではだけていることにも気付かない程、アリスはエリアストに翻弄されている。
胸元に、所有の証を刻む。
この証は、消えることはない。
薄れる前に、刻み続ける。
「すまない、エルシィ。寝かせてやれそうにない」
激しくアリスの唇を塞いだ。
*おしまい*
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