美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

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リカリエット王国編

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 晩餐会どころではなくなった。
 明日、仕切り直すので、時間に余裕のある方はご参加ください、と一旦お開きとなった。
 「今代のディレイガルドは恐ろしいな、レイガード王よ」
 王宮の貴賓室で、ディアンとヴァイアツェルトは酒を片手に話をしていた。
 戦時でもないのだ。地図が書き換わるなど、あることではない。それなのに、これで消えた国は二つ目。しかも立て続けに、だ。アーリオーリはレイガードの属国になった。今回、リカリエットはシュヴァルタインの国土となる。
 「愚かな国が増えてきたのでは。しっかり目を光らせていただかないと困りますよ、シュヴァルタイン帝国の皇太子殿下」
 見る者が見ればわかる。レイガード国の真の支配者ディレイガルド。だが、レイガード国が恐ろしいのは、何もディレイガルドだけではない。長くディレイガルドを大人しくさせている現王家もまた、恐ろしい存在であった。
 先代で危うく王家が入れ替わるところであったが、それは他国の知るところではない。早くに代替わりしたのは、先代が病のためと他国には伝わっている。実際市井には、病巣が見つかり、足を切断したと伝わっているのだ。
 ディレイガルドが恐ろしすぎて、王家が情けなく見えるかも知れないが、とんでもない。他国の認識通り、ディレイガルドを大人しくさせ続けていること自体、賞賛に値するのだ。
 「いつから、リカリエットが黒だと?」
 ディアンは肩を竦めた。
 「一年程前、レイガードこちらに噂が流れてきた頃ですね。その頃にディレイガルドから言われただけです。リカリエットを警戒しろと」
 噂が流れるより前から、あれ程離れた地の情報を握っていたのか、とヴァイアツェルトは目を大きく開く。
 「殿下が仰ったではありませんか。今代のディレイガルドは恐ろしいと」
 困ったように眉を下げるディアンに、続きを促すようにヴァイアツェルトは見つめた。
 「今代のディレイガルドが恐ろしいのは、何もその残酷性や容赦のなさだけではないのですよ」
 肘置きに肘を乗せ、その手に顎を乗せると、ディアンは疲れたように溜め息をいた。
 「妻への愛がね、本当に凄まじい。もう、本当に恐ろしいのです」
 エリアストが世界の情報を集めるのは、僅かにもアリスに害のある要素を潰すため。そのため、リカリエットをアリスに近寄らせたくないエリアストに、式典を中止させる目的で殺されかけた。

*~*~*~*~*

 「おい」
 ディアンが午後の執務に就いてすぐのことだ。珍しくエリアストが部屋を訪ねてきた。扉前の衛兵を無視して扉を開け放ち、鞘のついたままの剣を握るエリアストが目の前に立つ。側近や護衛が何事かと驚いている。
 エリアストがディアンに顎で示す。全員下がらせろ、と。ディアンは指示に従い、全員を下がらせる。皆、不安そうに下がる。特に護衛は、本分から外れてしまっていないかと、何度もディアンを振り返っていた。
 全員がいなくなると、エリアストは言った。
 「選ばせてやろう。私に殺されるか、自ら死ぬか」
 え、何その選択。死ぬしかないじゃん。


*つづく*
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