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番外編
花魁伝説
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江戸時代風なお話です。
細かいことは気にせずお読みいただければありがたいです。
*~*~*~*~*
高級娼館日麗雅。強かに生きる人々の頂点に君臨する花魁、ゑりあす太夫。一晩の金子は天井知らず。おまけに一日一人しか相手にしない。庶民は愚か、かなり高貴な身分の者さえ、その姿を目にすることは難しい。太夫の姿を一目だけでも、と金を積む。本当に一目見るためだけに、平民の月収一年分を払う。触れることは愚か、会話が出来るわけでもない。客側が檻に入れられて、ほんの僅かな時間、その姿を見るのだ。一分会話をするのに平民の月収五年分、一刻で貴族の平均年収三年分。一晩だとなんと時価。ゑりあす太夫のその日の気分で変わる。故に、一晩独占できた者はいない。ぼったくりではない。決して違う。
「ゑりあす太夫、今晩も暇ですねー」
新造のららが畳に転がりながら伸びきっている。新造とは、簡単に言えばお付きの花魁が来るまで、その花魁の客の相手をして場を持たせる役割の、花魁(仮)みたいなものだ。
毎日客は来る。だが、一日一人しか相手にしない上に、一目見るだけの客ばかりなので一瞬で終わる。
「だらしない格好をするな。暇なら筋トレでもしていろ」
ゑりあすは呆れたようにららを見る。
「えー。ゑりあす太夫にくっついててもなんにも勉強にならないよー。そもそも太夫に新造いる?いらないよね?」
新造の役目はそれだけではないのだが、寝そべって両手で頬杖をつきながら唇を尖らせて文句を言う。
「ならば今すぐにでも客を取ってくればいいだろう。処女喪失おめでとう」
「やーだー。初めては北町奉行の愛作奉行って決めてるのー。って言うか身請けしてもらうのー」
「うるさい口だ。そんなに喋りたいなら向こうで読経でもしていろ」
「明日は愛作奉行が見回りに来る日だからもう寝よう。夜更かしはお肌の大敵だからね」
どうせ今日はもう客来ないでしょ、とららはさっさと部屋を後にした。それに呆れつつ、ゑりあすは本に目を落とした。
それは本当に偶然だった。
北町奉行が来ていると飛んでいったらら。頼み事をしようとしていたのに、ららは一直線に愛作奉行の下へ。本当に仕方のないヤツだ、と部屋から出て、娼館の主のところに向かっていたときだ。滅多に部屋から出ないゑりあすの姿に、娼館で働く者たちすべてが涙を流して平伏す。ありがたやありがたやと拝む。ゑりあすはそんな人たちを気にすることなく進む。
「おや、珍しい。どうしたんだい、ゑりあす」
ゑりあすの姿を見つけた主、雷が声をかけた。ゑりあすの名前に愛作が驚いて振り向く。一目見るだけで平民の月収一年分の人物だ。そんな人物がフラリとやってくるなんて。思わず振り返ってしまったが、まさか料金を請求されたりはしないだろうか。
「え、愛作奉行、太夫に興味あるの?私よりも太夫がいいの?」
ららの泣きそうな顔に、愛作は慌てる。
「いや、らら殿、そうではないですよ。ほら、滅多にお目にかかれないと噂の花魁が、まさかフラリと現れると思わなくてですな」
実際、定期的に見回りに来ているが、一度も会ったことはない。しかし本当に美しい。男娼だと言われても俄に信じ難い。だが、どことなく恐ろしく感じる。
「まあ、らら様。お奉行様のことでしたら、ご心配は無用ですわ」
愛作の後ろで控える内与力が、安心させるようにららにそう言った。ちなみに内与力とは、奉行の秘書だと思ってもらっていい。
「本当?亞梨珠、本当?」
「そなた、亞梨珠、と言うのか」
内与力に縋ろうとするららを投げ飛ばし、ゑりあすが内与力に詰め寄る。背後では愛作がららを追いかけている。
まさか雲の上の人物から話しかけられると思わなかった亞梨珠は驚く。手まで握られているのはなぜだろう。自分からではないにしても、触れてしまっていいのだろうか。
「あ、はい。初めまして、北町奉行愛作の内与力、亞梨珠と申します。ゑりあす様のお噂はかねがね」
「内与力?あの男と二人きりで仕事をしているということか」
急激に周囲の気温が下がる。
「え?いいえ、他にもたくさんいらっしゃいますよ」
温度が元に戻る。
「こういう見回りの時は二人のこともありますが」
「ほう」
極寒。
ゑりあすの視線に気付いた愛作が、ららを助け起こしながら、背筋が伸びた。だらだらと冷や汗が流れる。
「おい、らら」
「痛いよー、ひどいよー、愛作奉行、太夫に言ってやってー。ららを大事にって」
「おい」
「なんだよー。ゑりあす太夫なんかハゲろ」
「おまえそこの奉行の内与力になれ。亞梨珠とおまえチェンジ」
「「え」」
ららと愛作の声が重なった。
「亞梨珠、わたしのところにおいで。ずっと一緒にいよう」
再び亞梨珠の手を握る。亞梨珠は驚いた顔をしている。
「一生遊んで暮らせるだけは稼いだ。何も心配はいらない。何も持たずに嫁いでおいで。夫婦になろう、亞梨珠」
体を引き寄せ、顔を近付ける。
「え?え?」
「新婚旅行はどこがいい。行きたいところはあるか、亞梨珠」
「こらこらゑりあす。勝手に決めるんじゃうんそうだねそれがいいと思う」
雷がゑりあすを諫めようとし、ゑりあすからこの世のすべての恐怖を詰め込んだ冷たい視線で見られて速攻で手のひらを返す。
「亞梨珠、おいで。おいしいお菓子がある。私が食べさせてあげよう」
腰に手を回し、優雅にエスコートする。
「あ、あの」
「ちょっと!太夫!私が愛作奉行の所に行くのはいいけど、亞梨珠の気持ちを無視しないでよ!」
愛作も急展開に目を白黒させている。亞梨珠はぽやぽやしつつ、ちょっと戸惑っているのが愛らしい。
「おまえ、亞梨珠と知り合いなのか」
亞梨珠と親しそうなららに、ゑりあすの声音が低くなる。
「そうだよ。愛作奉行の内与力だもん。親しくもなるよ。普通に出会っていても、亞梨珠とはずっ友になった自信ある。亞梨珠可愛い。大好き」
見せつけるように亞梨珠に抱きつくららの頭を鷲掴む。
「いだだだだ、太夫の握力ゴリラなの?!」
「貴様の持ち物はちゃんと管理しろ」
そう言ってららを愛作に向かって放り投げる。そんな雑な扱いを受けつつららは、愛作奉行のものだってー、と喜んでいた。
「えー、とりあえずららの身請けの手続きして、亞梨珠はどういう」
「誰が名を呼ぶことを許可した」
「可愛らしいお嬢さんの扱いはどうしようかな。借金があるわけじゃないし」
「み、身請け」
雷の言葉に、愛作が口を開閉している。
「なんだ。金のことなら心配するな。そいつの身請けの金くらいいくらでも払ってやる」
愛作やららのためではない。もちろん亞梨珠と一緒にいるためだ。そのための金ならいくらでも惜しまない。
ゑりあすの発言に、愛作はブルブルと首を振る。
「いえ、その、金のことではなく、いや、そうなるのかな」
歯切れの悪い物言いに、ゑりあすは圧のある声を出す。
「はっきりしろ。時間の無駄だ」
「はいっ。らら殿をお金で買うような真似をしたくないのですっ」
純情な愛作の言葉に、ららは嬉しくて飛びつく。そんな感動の場面にもかかわらず、ゑりあすはバッサリと言い放つ。
「金以外でどう遊郭から出すんだ。足抜けか。止めはせんが。何でもいい、早く持って行け」
愛作の背中がしょんぼりしている。ららがゑりあすに、人でなしー、と叫んでいる。ちなみに足抜けとは、簡単に言うと脱走だ。
「さあ、亞梨珠。これからはずっと一緒にいよう。なんでも言ってくれ。私に叶えられないことはない」
「え、あ、はい」
キラキラの笑顔に思わず亞梨珠は頷く。
「ああ、ここが嫌ならすぐにでも出て行こう。大丈夫、とっくに年季は明けている。いつでも出て行ける。二人きりで暮らせる家を探そう」
「いやいやいやいや、ゑりあす、何言ってんの。出て行くのはいいけど生活能力ゼロでしょ。そんなんで亞梨珠嬢を幸せに出来るの?」
雷がそう言うと、ゑりあすは少し考えて言った。
「おい、らら。私の家の離れにおまえたちの家を作ってやる。家政婦をやれ。給金は払ってやる」
「うーん、愛作と亞梨珠と一緒にいられるのは嬉しいけど太夫がなー」
「おまえを身請け出来ないようにすることも出来るぞ」
「亞梨珠ー、これからもよろしくね!」
突然のゑりあす太夫の年季明けに、国中が驚いた。
客を取ることなく、オプション?のみで一生豪遊して暮らせる金を稼ぎ出した伝説の花魁、ゑりあす太夫。その太夫を骨抜きにしたのは、北町奉行の内与力であったと知る者は殆どいない。
町から離れた小高い丘に、落ち着いた美しい庭のある日本家屋が一軒。そこから少し、結構、かなり離れたところにも、似たような家がある。
「離れってこんなに離れてるなんて聞いてないーっ。太夫の鬼畜ーっ」
そんな叫び声が聞こえるとか聞こえないとか。
*おしまい*
次話は 監獄 のパロディーになります。
3話の予定でしたが、思いの外ボリュームが出たので、5話続きます。
よろしかったらお付き合いください。
細かいことは気にせずお読みいただければありがたいです。
*~*~*~*~*
高級娼館日麗雅。強かに生きる人々の頂点に君臨する花魁、ゑりあす太夫。一晩の金子は天井知らず。おまけに一日一人しか相手にしない。庶民は愚か、かなり高貴な身分の者さえ、その姿を目にすることは難しい。太夫の姿を一目だけでも、と金を積む。本当に一目見るためだけに、平民の月収一年分を払う。触れることは愚か、会話が出来るわけでもない。客側が檻に入れられて、ほんの僅かな時間、その姿を見るのだ。一分会話をするのに平民の月収五年分、一刻で貴族の平均年収三年分。一晩だとなんと時価。ゑりあす太夫のその日の気分で変わる。故に、一晩独占できた者はいない。ぼったくりではない。決して違う。
「ゑりあす太夫、今晩も暇ですねー」
新造のららが畳に転がりながら伸びきっている。新造とは、簡単に言えばお付きの花魁が来るまで、その花魁の客の相手をして場を持たせる役割の、花魁(仮)みたいなものだ。
毎日客は来る。だが、一日一人しか相手にしない上に、一目見るだけの客ばかりなので一瞬で終わる。
「だらしない格好をするな。暇なら筋トレでもしていろ」
ゑりあすは呆れたようにららを見る。
「えー。ゑりあす太夫にくっついててもなんにも勉強にならないよー。そもそも太夫に新造いる?いらないよね?」
新造の役目はそれだけではないのだが、寝そべって両手で頬杖をつきながら唇を尖らせて文句を言う。
「ならば今すぐにでも客を取ってくればいいだろう。処女喪失おめでとう」
「やーだー。初めては北町奉行の愛作奉行って決めてるのー。って言うか身請けしてもらうのー」
「うるさい口だ。そんなに喋りたいなら向こうで読経でもしていろ」
「明日は愛作奉行が見回りに来る日だからもう寝よう。夜更かしはお肌の大敵だからね」
どうせ今日はもう客来ないでしょ、とららはさっさと部屋を後にした。それに呆れつつ、ゑりあすは本に目を落とした。
それは本当に偶然だった。
北町奉行が来ていると飛んでいったらら。頼み事をしようとしていたのに、ららは一直線に愛作奉行の下へ。本当に仕方のないヤツだ、と部屋から出て、娼館の主のところに向かっていたときだ。滅多に部屋から出ないゑりあすの姿に、娼館で働く者たちすべてが涙を流して平伏す。ありがたやありがたやと拝む。ゑりあすはそんな人たちを気にすることなく進む。
「おや、珍しい。どうしたんだい、ゑりあす」
ゑりあすの姿を見つけた主、雷が声をかけた。ゑりあすの名前に愛作が驚いて振り向く。一目見るだけで平民の月収一年分の人物だ。そんな人物がフラリとやってくるなんて。思わず振り返ってしまったが、まさか料金を請求されたりはしないだろうか。
「え、愛作奉行、太夫に興味あるの?私よりも太夫がいいの?」
ららの泣きそうな顔に、愛作は慌てる。
「いや、らら殿、そうではないですよ。ほら、滅多にお目にかかれないと噂の花魁が、まさかフラリと現れると思わなくてですな」
実際、定期的に見回りに来ているが、一度も会ったことはない。しかし本当に美しい。男娼だと言われても俄に信じ難い。だが、どことなく恐ろしく感じる。
「まあ、らら様。お奉行様のことでしたら、ご心配は無用ですわ」
愛作の後ろで控える内与力が、安心させるようにららにそう言った。ちなみに内与力とは、奉行の秘書だと思ってもらっていい。
「本当?亞梨珠、本当?」
「そなた、亞梨珠、と言うのか」
内与力に縋ろうとするららを投げ飛ばし、ゑりあすが内与力に詰め寄る。背後では愛作がららを追いかけている。
まさか雲の上の人物から話しかけられると思わなかった亞梨珠は驚く。手まで握られているのはなぜだろう。自分からではないにしても、触れてしまっていいのだろうか。
「あ、はい。初めまして、北町奉行愛作の内与力、亞梨珠と申します。ゑりあす様のお噂はかねがね」
「内与力?あの男と二人きりで仕事をしているということか」
急激に周囲の気温が下がる。
「え?いいえ、他にもたくさんいらっしゃいますよ」
温度が元に戻る。
「こういう見回りの時は二人のこともありますが」
「ほう」
極寒。
ゑりあすの視線に気付いた愛作が、ららを助け起こしながら、背筋が伸びた。だらだらと冷や汗が流れる。
「おい、らら」
「痛いよー、ひどいよー、愛作奉行、太夫に言ってやってー。ららを大事にって」
「おい」
「なんだよー。ゑりあす太夫なんかハゲろ」
「おまえそこの奉行の内与力になれ。亞梨珠とおまえチェンジ」
「「え」」
ららと愛作の声が重なった。
「亞梨珠、わたしのところにおいで。ずっと一緒にいよう」
再び亞梨珠の手を握る。亞梨珠は驚いた顔をしている。
「一生遊んで暮らせるだけは稼いだ。何も心配はいらない。何も持たずに嫁いでおいで。夫婦になろう、亞梨珠」
体を引き寄せ、顔を近付ける。
「え?え?」
「新婚旅行はどこがいい。行きたいところはあるか、亞梨珠」
「こらこらゑりあす。勝手に決めるんじゃうんそうだねそれがいいと思う」
雷がゑりあすを諫めようとし、ゑりあすからこの世のすべての恐怖を詰め込んだ冷たい視線で見られて速攻で手のひらを返す。
「亞梨珠、おいで。おいしいお菓子がある。私が食べさせてあげよう」
腰に手を回し、優雅にエスコートする。
「あ、あの」
「ちょっと!太夫!私が愛作奉行の所に行くのはいいけど、亞梨珠の気持ちを無視しないでよ!」
愛作も急展開に目を白黒させている。亞梨珠はぽやぽやしつつ、ちょっと戸惑っているのが愛らしい。
「おまえ、亞梨珠と知り合いなのか」
亞梨珠と親しそうなららに、ゑりあすの声音が低くなる。
「そうだよ。愛作奉行の内与力だもん。親しくもなるよ。普通に出会っていても、亞梨珠とはずっ友になった自信ある。亞梨珠可愛い。大好き」
見せつけるように亞梨珠に抱きつくららの頭を鷲掴む。
「いだだだだ、太夫の握力ゴリラなの?!」
「貴様の持ち物はちゃんと管理しろ」
そう言ってららを愛作に向かって放り投げる。そんな雑な扱いを受けつつららは、愛作奉行のものだってー、と喜んでいた。
「えー、とりあえずららの身請けの手続きして、亞梨珠はどういう」
「誰が名を呼ぶことを許可した」
「可愛らしいお嬢さんの扱いはどうしようかな。借金があるわけじゃないし」
「み、身請け」
雷の言葉に、愛作が口を開閉している。
「なんだ。金のことなら心配するな。そいつの身請けの金くらいいくらでも払ってやる」
愛作やららのためではない。もちろん亞梨珠と一緒にいるためだ。そのための金ならいくらでも惜しまない。
ゑりあすの発言に、愛作はブルブルと首を振る。
「いえ、その、金のことではなく、いや、そうなるのかな」
歯切れの悪い物言いに、ゑりあすは圧のある声を出す。
「はっきりしろ。時間の無駄だ」
「はいっ。らら殿をお金で買うような真似をしたくないのですっ」
純情な愛作の言葉に、ららは嬉しくて飛びつく。そんな感動の場面にもかかわらず、ゑりあすはバッサリと言い放つ。
「金以外でどう遊郭から出すんだ。足抜けか。止めはせんが。何でもいい、早く持って行け」
愛作の背中がしょんぼりしている。ららがゑりあすに、人でなしー、と叫んでいる。ちなみに足抜けとは、簡単に言うと脱走だ。
「さあ、亞梨珠。これからはずっと一緒にいよう。なんでも言ってくれ。私に叶えられないことはない」
「え、あ、はい」
キラキラの笑顔に思わず亞梨珠は頷く。
「ああ、ここが嫌ならすぐにでも出て行こう。大丈夫、とっくに年季は明けている。いつでも出て行ける。二人きりで暮らせる家を探そう」
「いやいやいやいや、ゑりあす、何言ってんの。出て行くのはいいけど生活能力ゼロでしょ。そんなんで亞梨珠嬢を幸せに出来るの?」
雷がそう言うと、ゑりあすは少し考えて言った。
「おい、らら。私の家の離れにおまえたちの家を作ってやる。家政婦をやれ。給金は払ってやる」
「うーん、愛作と亞梨珠と一緒にいられるのは嬉しいけど太夫がなー」
「おまえを身請け出来ないようにすることも出来るぞ」
「亞梨珠ー、これからもよろしくね!」
突然のゑりあす太夫の年季明けに、国中が驚いた。
客を取ることなく、オプション?のみで一生豪遊して暮らせる金を稼ぎ出した伝説の花魁、ゑりあす太夫。その太夫を骨抜きにしたのは、北町奉行の内与力であったと知る者は殆どいない。
町から離れた小高い丘に、落ち着いた美しい庭のある日本家屋が一軒。そこから少し、結構、かなり離れたところにも、似たような家がある。
「離れってこんなに離れてるなんて聞いてないーっ。太夫の鬼畜ーっ」
そんな叫び声が聞こえるとか聞こえないとか。
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次話は 監獄 のパロディーになります。
3話の予定でしたが、思いの外ボリュームが出たので、5話続きます。
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