短編ホラー

黒鬼

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鴉(※微グロあり)

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学校の帰り道にはいつもお決まりの場所に向かう。

放課後になると猫達が群がる神社へ通っている。
ここには行き場のない野良猫が集まる。
私は夕日の出る時間帯になると
パンくずや帰り道で買った
少しぬるくなったミルクを猫にあげるのが日課。

「ミャァー。」

「んっ、君は新入りかなぁ?
見た事ない猫ちゃんだね。子猫かぁ。」

昨日は居なかったトラの子猫が居た。
そこにいつもここにいるボス的存在の
大人猫が近付いてきて子猫の毛繕いを始める。

「そっか~。あんたが連れてきたのね。」

「ミャー。」

まるで私の言葉を分かっているかのように
私の言葉に猫は鳴く。

それにしても今日はやたら静かだ。
早く帰ろう。
と、考えている内に猫が集まってきて
餌をあげる。
そのうち沢山集まってきて私にくっつく猫や
目の前ではしゃいでいた猫も集まる。
そのうち眠たくなってきて
少しずつ意識が遠のいていった。

「ミャー!!」

「ニ゛ャー!」

という猫の怯える声や唸る声で目が覚める。

なぜだろうか。
目も開くし意識もあるはずなのに
体が上手く動かずぼーっとする。
私を守るかのようにボス猫が何かに唸る。

見上げると鴉が何羽も飛んでいた。

「カァー!カァー!」

と、鳴きながら猫の隙を突いて
こちらに真っ直ぐ飛んでくる。

「グチャっ......ブチッ....」

何かが潰れて引きちぎられる音がする。

ふと自分を見ると....

頭が真っ白になった。
死を覚悟した。

お腹や太ももが血で真っ赤に染まり
内臓の様なものが飛び出ていた。
それを鴉が狙っていたのだ。
そして無惨にも私の身体を食らっていく。

あぁ、私、死ぬんだ。

不思議と痛みはなかった。
ただただ頭が真っ白でぼーっとしていた。
猫たちは鴉から私を守るように
必死に鴉に唸る。

「グチャっ!」

「ミ゛ャー!」

鴉が飛びついて来たかと思うと
猫に嘴で腹部を思い切り突き刺す。

猫は一瞬で命を落とす。

私も、あぁなるのか。
以外にも冷静に考えていた。
と、突如強烈な痛みが私を襲う。

「ァ゛アアア゛アアァア゛!」

思わず叫び声を上げる。
目が、見えない。
鴉の口元には私の目がぶら下がっていた。

そしてそのまま、私は暗闇の中で
食いちぎられていった。

あなたも寝ていると、鴉に
食われるかもよ?

私みたいに......

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感想 1

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みんなの感想(1件)

るくぶる
2016.10.19 るくぶる

挿絵の使い方がうまいっすねぇ…
怖かったです

黒鬼
2016.10.19 黒鬼

ありがとうございます!!!

挿絵は加工したものですが
怖かったと言って頂いただけでも
すごくありがたいです!

これからも良かったら
読んで下さい(^-^)

解除

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