29 / 52
第29記
しおりを挟む
移動するエレベーターの中で立っているミリアは、ドーナッツの箱を抱えながら、その部屋の少し高い位置にある動く数字を見ていた。
その数字が増えていって7階に着くまでには、周囲に一緒に乗り合わせた『EAU』の関係者の人たちも途中の階で降りて行って。
降りる頃にはミリアにガイ、ケイジやリースたちが自分たちチームの4人だけ残っていた。
扉《とびら》が開いて、7階のオフィス・フロアへ出るとすぐに感じられる清涼に調整された空気は、空調による快適なものだ。
清潔に整えられた光景はオフィスルームと共用スペースで作られていて、どんな時間でも明かりが点いているこのフロアは、スペースや通路ですれ違う同僚《どうりょう》の人たちが暇《ひま》をつぶしているのもよく見かける。
でも今はそんなに人が見えないのは、たぶん夜勤《やきん》の時間に入ってきているからだ。
自分たちのオフィスまでの通路に慣れてきたそのフロアを歩いてれば、なんとなく『戻ってきた』って思える気がする。
その途中で見かけた憩《いこ》いのスペースでは、モニタの前で何人かが屯《たむろ》する姿があって、どうやらニュースを見ていたらしい。
そんな彼らを横目に見ていたら、ちらりとこっちを見るような人もいたかもしれない。
このフロアは主に自分たちのような現場へ行く、実動の仕事をこなす人たちが詰めているので、誰かが時事ニュースを眺《なが》めているのもよく見る光景だ。
まあ、この時間で屯《たむろ》しているのは、ちょっと珍しい気がするけど。
前を向いたミリアは箱を抱え直して、ガイやケイジたちと慣れた通路を歩き、壁に沿って進んでいく。
そして、その角を曲がった先にある、突き当りのオフィスのドアをケイジが開けて、ガイが続くその背中を追うミリアも部屋の中へ入って行った。
既に、その部屋には明かりが点いていたみたいだった。
「やぁ、おかえり、」
って、室内でデスクのある方から、ひょこっと顔を出して出迎えてくれたのはアミョさんだ。
先に部屋に戻って来ていたみたいで、私たちが戻ってくるまでデスクの前で別の作業でもしてたようだ。
「お疲れ様です。」
「おつかれっす、」
「うっす、」
私もガイたちも声を返して、部屋の中で各々の自分たちの場所へ散って行ってた。
部屋は、お昼に出た時のままのようで。
見慣れた部屋の様子も変わりなく、私物もいくつか置かれている中で、壁の大きめのモニタが動いて画面を映している以外は気に留めるものも無い。
そのモニタにはニュースが映っているけど、アミョさんが見ていたようだ。
慣れた自分たちのオフィスに入って、ふぅ、と小さく息を吐くミリアも、ソファのテーブルへ足を向けていくわけで。
何気なく部屋を見回せば、ガイは脱いだジャケットをそこの壁際のハンガーに掛けに行ってて。
ケイジは傍で同じくソファへ、ジャケットを適当に放ってたけど。
リースは・・、気が付いて逆側を振り向けば、壁際のいつもの居場所へリースは行ってて。
左側にあるミニソファに座って、ジャケットを脱ごうとモソモソしていた。
ぼそんと、音がしたので振り返れば、ケイジがテーブルの前のソファに飛び乗るように座ってた。
早速くつろぐ様な、そんな皆《みんな》にミリアは、と、ソファのテーブルの上に置かれていたピザの箱、『ベリポチ』の箱も、蓋《ふた》は閉じられているまま、お昼に部屋を出て行った時のまま置いてあったのも見つけた。
「そっちの方はどうだったんですか?」
ガイがそう、アミョさんへ。
「・・ん?問題はないかな。ちょっと後処理に時間を食っているみたいだけれど、」
「後処理・・?警備部の方っすか?」
「情報共《じょうほうきょう》・・や、あの『別件』での、証拠の提出とかをね、向こう側が素直にやってくれないとか、カントカ、」
ソファに座り直したガイと、離れた所のデスクのアミョさんが顔を向けて話している。
『別件』というのは、ケイジとリースが関わった方の事件の事、かもしれない。
「そりゃぁ、大変すねぇ、」
そんな会話を聞きながら、ミリアは抱えていた、まだ甘い香りが溢《あふ》れるようなドーナッツの大きな箱を、ピザの横へ置いておいた。
「まあ僕の管轄じゃないから待つしかないんだけど。向こうも前後の事情を調べたいみたいだ。参考人が・・、あぁ、まあ、これはまだ話さない方がいいか、」
「そこまで言われると気になるんですが、」
ガイも、アミョさんも苦笑いしてたみたいだけど。
ピザがまだちょっと何切れか残ってるかもしれない、ってミリアは『ベリポチ』の箱を見てて思ったけど。
あのカロリーが高そうなピザを食べたんだった、というのも思い出したので、買ってきたばかりのドーナッツに手を伸ばしにくくなった、ってちょっと思う、ミリアが目を細めてちょっと空《そら》に考えてたけども。
まあ、今日は出動したし、夜ご飯も遅くなりそうだしで、食べたカロリーはそんなに問題無いだろう。
栄養バランスを考えるなら今晩のご飯は炭水化物を減らして・・・あと、シャワーを浴びる前にトレーニングルームへ行って、それなりの運動をする、というやるべき事がその瞬間にほぼ決定していくわけで。
『――――――・・関連の株価の不調は、ギルタニアでの主要株価が大きく売りに転じたことによる連動した影響と見られ、また今後の推移を注視する動きが強まったものと見られています。』
って、ちょっと口先が突き出てきてるような、考えていたミリアが・・・見ていた、というか、なんとなく目に入っていただけなのだが。
目の前のモニタでは、ニュースが流れていて。
『次は天気予報です。週末はドーム群地帯の南部を中心とした砂風《さふう》が強くなるとのことですね。予報士の――――――――』
―――――ミリアはちょっと息を吸って、自然と上がる両肩に一息吐いて・・・腰に手を当ててた。
さて、・・と、横でケイジがリモコンでテレビの音量を上げていってた。
モニタにメニュー画面を出してたので、他の番組を見ようとしたみたいだ。
「あ、ちょっと天気予報を見せてね、」
向こうのアミョさんにそう言われて、ケイジが気が付いて、まあ、またさっきのニュースに戻して、ソファにまた沈んでた。
『こんばんは。天気予報士のヒロシゲ・バイロゾです。話好きの彼に先に言われてしまいましたが、週末は砂交じりの風が強くなる見込みです。できるだけ屋内で過ごした方がいい状況になるということは、みなさんも承知でしょうが。私も大好きな日焼けができませんね。日に当たる事は健康にいいのですが、防塵《ぼうじん》の備えをしないとその健康さえも害してしまいますからね。では詳しい天気を見て行きましょう―――――――』
苦笑い交じりのやり取りをする彼らから、ミリアが目を離して気が付いた、ソファのケイジが自分の携帯を取り出して、なにか別のものでも観るみたいだ。
「やあ、お疲れさん。」
って、アミョさんが歩いてこっちへ、デスクの方から来てた。
「今日はほんと、大変だったねぇ・・・・あれ?『ドニー』の?お店が違った?」
「ぁ、ちょっとあって。違うお店にしたんです。」
って、アミョさんが不思議そうだったのも当然で、ミリアもすぐ教えてた。
「えーそうか。残念だな、限定だったのに、」
アミョさんがテーブルの『DOHoney DonDon』のドーナッツ箱を開けて、覗《のぞ》き込む傍をすれ違うミリアは離れつつそのジャケット、『EAU』のジャケットを脱ぎ始めてる。
「好きに取っていいかな?」
「適当でいいんじゃないっすかね。食べたいヤツはもう先に食べちゃいましたし、」
「道理で減ってるんだ。じゃあこのチョコレートのをもらおうっかな、」
「あ、取っておきたいのはあって、」
って、ミリアは肩越しにアミョさんに言っておいてた。
「それはOKです。」
アミョさんが持ち上げて見せてくるそのドーナッツへ、ぐっと、ミリアは肩越しにサムズアップして見せてた。
ミリアは歩きながらジャケットを脱いで、その下の、身体にタイトな薄地《うすじ》の黒色Tシャツをちょっと見下ろしつつ。
その手に持ってたジャケットを高めにあるハンガーに腕を伸ばして掛けると、それから、シャツもお腹の辺りから引っ張り持ち上げて脱ぎ始める。
そのTシャツの下の手首まであるインナーウェアもだけど、タイトに身体のシルエットが出ているそれらは、特殊繊維でできている。
近くでよく見れば高密度の素材で作られているそれは、防弾・防刃などの防護性能も高い。
それに加えて、機能性も良く着心地がいいので、別にこのまま着ていても問題はないけど。
インナーも伸縮性《しんしゅく》が高いし、身体にぴったりフィットして、密着する割に着心地は良くて、締《し》め付ける感覚もほとんどない。
でも、こういう余裕のあるTシャツをその上から着た方が、なんか落ち着くというか。
着心地が快適過ぎるのが逆に、解放感があり過ぎて何にも着てないような、変な感覚も同時にある気がするからか。
まあ、気にするような事じゃないかもしれないし、スポーツウェアっぽいようなデザインで、着やすいんだけれどね。
掛けてあった自分の白Tシャツを頭から被《かぶ》ったミリアは、市販の着慣れたその感覚に包まれながら、腰まで引っ張って下ろして腕を出す。
それから、長袖のインナーの腕からシャツを見下ろして、ちょっと引っ張ったりして確かめた。
実動用の密着めの黒Tシャツの方も、着心地《きごこち》は良いし手触りは微妙に普通の生地とは違ってて、指に吸い付くような感覚がちょっとある気がするくらいで、まあ、伸びるし、蒸れないし、快適なんだけど。
そう、部屋の一角で手早く着替え終わったミリアが部屋へ振り返れば、みんなは各々くつろいでいて。
そんな部屋の様子を見回しつつ、ミリアはまたソファの方へ足を向けてた。
ケイジなんかはジャケットを脱ぎっぱなしのそんな恰好で、ソファで沈んでる、だらけ気味だけど。
「そういえば、―――――――」
『―――――続報が入りました。中断します。』
言いかけたミリアの声と、ちょうど重なった様に、ニュースの声が聞こえていた。
アミョさんも見ていたモニタの、その映像が見覚えのある、さっきまで自分たちがいた現場の様子を映していたのに気が付いたミリアは、ちょっと瞬いていた。
「お、」
ガイも気が付いたようで、モニタへ顔を上げていた。
『今日の午後、暴動グループがショッピングモールを一時占拠、その後に鎮圧《ちんあつ》されるという事件が発生しました。その続報です。現在、発生から約5時間を経《へ》た現場は落ち着きを取り戻しつつあり、先ほど封鎖解除エリアが追加されました。これら封鎖の開放は段階を踏《ふ》んで行われている状況で、未だ多くの・・・―――――――』
―――――――そう、ミリアもソファの近くまで戻った足で。
ニュースの話を少し見守りながら、片足に・・重心を移していた、左手で右腕の肘《ひじ》の辺りを握って。
ニュースで流れる現場の様子は外の大通り、すっかり暗くなっている街のあの景色だけれど。
画面が切り替わって映し出された屋内の大きなショッピングモールの様子、お店が連なるような様子は明かりで満たされていて、人が少ないながらも特に荒れている様子もないようだ。
各部でシャッターが下りているようなそんな状況を、リポーターの彼がこちらを向いて丁寧《ていねい》に案内してくれている。
そういえば、とミリアが思ったのは、自分たちはあのとき外を回っていたので、現場の屋内の様子を見るのは初めてだな、って。
「今日の事件、」
「ん?お、」
ミリアの声に、いま気が付いたようなケイジが、モニタを見に起き上がっていたけど。
「俺映っているかな、」
って、笑うガイが、冗談ぽかった。
『現在の警備部からはなにか公表されましたか?』
『はい。この現場ではおよそ5時間ほど前、武装したと思《おぼ》しき集団に『コールフリート・アベニュー』の一角を占拠《せんきょ》されました。
特能力者が関わっているとされたこの事件は一時的にも大きな混乱を招きましたが、警備部は対テロリスト作戦を発動しハイセキュリティ、対特能部隊『EPF』などが主に対応に当たった事で、現在はご覧の通り、本来の治安を取り戻しています。
その後の警備部の発表では犯人グループはテロリストである可能性は低いとされました。
しかし、犯人グループの制圧後も建物の一部が破壊されたなどの被害の跡《あと》が残っており、一部の施設は暫《しばら》く閉鎖される模様です。
現在、状況は落ち着きを取り戻しています。
ですが、ほとんどの店舗は休店しており、事件の影響は大きいと言わざるを得ません。
また、犯人グループの行動範囲に合わせた広範囲での捜査により、未だに一時封鎖措置が全体では解除されておらず、一部の市民から苦情があるとのことです。』
「進展《しんてん》はゆっくりみたいだね、はぐ、」
アミョさんがそう、色鮮やかな色チョコスプレーのドーナッツを齧《かじ》ってたけど。
「ちゃんと事件になってるのな、」
って、ガイは感心したような。
「そりゃそうさ、」
「そりゃぁ・・、」
そんなガイへ言う、アミョとミリアの声がちょっと被《かぶ》ってたけど。
「ニュースでこんなに報道されてるって想像つかなくてさ、」
苦笑いのガイみたいで。
「ひっきりなしに流れてるよ、間違いなく今日一番の事件だ、というか、ここ最近でも大きな事件だってね」
そんなアミョさんの説明に、ふむ、とミリアはちょっと鼻を鳴らしてた。
「どぅはぁぁぁ・・・・・」
って、急に変な声を出してるケイジが、ソファに足を投げ出してた。
『犯人グループの行動や動機の究明にはまだ時間がかかると見られ、また動きがありましたら続報をお伝えします。』
「もう1つもらうよ。残した方がいいのある?」
「あ、えっと、コレとコレを。あとコレかな、リースが頼んでたので、残してください。だったよね?」
「おう、」
ミリアが聞けば、指差したそれらをケイジが見てOKを出してた。
箱の中のキャラメルソースやソルト&シュガー、ドーニー・オリジナルのドーナッツたちを確保しておいた。
そう、オリジナルは独自のこだわりの製法で、食感がさくっと、でも中は柔らかくて軽い、ドーニーのラインナップの中でも特徴的な美味しいドーナッツだ。
アミョさんはまた1つ、そのオリジナルにチョコのかかったオールドファッション風のドーナッツを紙ナプキンで摘《つ》まんで取ってた。
さっきもチョコだったし、好きなのかもしれない。
『――――――――スタジオに駆けつけて頂いた現代事件に詳しい、専門家の方々と繋がっています・・・―――――――』
「アミョさん、夕飯、食べました?」
そう、ガイが聞いてて。
「いや、全部終わらせてからにしようと思ってね、」
「ああ、気になってきますもんね、」
「君たちは?食べて来てもいいんだよ。敷地内にいさえすれば待機指示には反しないから、」
「そうですねぇ・・」
「私はここで待とうかな。」
「俺もそうするか、」
「ケイジ達は?」
「ドーナッツあるしな、」
『――――――特能力者が潜在的にでも危険な存在だという事が証明された事件だと思います。』
と、彼が言う、モニタの中で。
―――――ミリアは、ちょっと振り返っていた。
『正式な発表はまだないらしいですが、今回の事件には特能力者が関わっていたという事らしいですね』
『確かに、はっきり映像に映っていますね。おそらく特能力者かと思われる男性の姿が、いくつかのカメラで捉えられています。あぁ、この映像ですね。』
小さな映像の窓からクローズアップされて画面が切り替わると、あの『コールフリート・アベニュー』の昼間の広場が映る、遠目の光景だけど、次の瞬間にガラスを割って飛び出してきた人間、体格の良い男性の姿が映る―――――――。
―――――ミリアも覚えている、この後どうなるのかも。
『政府の指針として『市民である特能力者を受け入れる』という理念は立派だとは思います。』
―――――次の瞬間に、彼は紅い結晶を発現させていく、それをEPFの隊員が大人しくさせるまでの一連の出来事は、改めて見たら一瞬の出来事のようだった。
『しかし、はっきりした決断をしなければ、常に割を食うのは善良な市民たちだけですよ。』
――――それら制圧されるまでの一連の映像が、はっきりと映っていた。
『歴史的に見ても為政者《いせいしゃ》の緩慢《かんまん》な態度が混乱を招《まね》きます。
いま、我々は歴史の転換期にいるのですよ。
それを一人一人が自覚し、新しい存在をどう扱《あつか》うかの、定義をするためには毅然《きぜん》たる態度も必要でしょう。
だから私は常日頃《つねひごろ》から『今こそ、市民たちの声を真摯《しんし》に受け止めるべきだ』と、』
「――――またなんか言ってんのな、」
って、ソファの上で寝転がってるケイジが、モニタを、なんか眠そうにだらだらしながら見て言ってた。
まあ、あくびでもしそうなケイジは、全然気にしていないみたいだ。
ふむ。
それに、あの解説の人、他の番組でもよく見かける。
よく《《そういう主旨《しゅし》の話》》をしているようなので、今回だから特別ってわけじゃないとは思う。
まあ、だからミリアも、『ああ、また彼らか』って思ったくらいだ。
そういう意見もあるんだな、ってまあ、そんな感じだ。
「お、残ってんじゃんか、」
って、ケイジがピザの箱の蓋《ふた》を開けてて、その冷え切った一切れを取り紙でつまんで、食べるみたいだ。
「温めないのかい?」
アミョさんも聞いてたけど。
って、冷めた固そうなピザをそのまま齧《かじ》り始めるケイジだ。
ちょっと瞬いてたミリアだけど。
「チーズは温めた方が美味《うま》いだろ?」
ガイが率直に聞いてたけど。
「これはこれで、いい、」
って、ケイジは言いきって、また口に入れてた。
ふむ。
本当だろうか?って。
ちょっと思ったミリアは、・・・まだ2枚残っている『ベリポチ』の一切れを見て、ちょっと考えてみてたけども。
その数字が増えていって7階に着くまでには、周囲に一緒に乗り合わせた『EAU』の関係者の人たちも途中の階で降りて行って。
降りる頃にはミリアにガイ、ケイジやリースたちが自分たちチームの4人だけ残っていた。
扉《とびら》が開いて、7階のオフィス・フロアへ出るとすぐに感じられる清涼に調整された空気は、空調による快適なものだ。
清潔に整えられた光景はオフィスルームと共用スペースで作られていて、どんな時間でも明かりが点いているこのフロアは、スペースや通路ですれ違う同僚《どうりょう》の人たちが暇《ひま》をつぶしているのもよく見かける。
でも今はそんなに人が見えないのは、たぶん夜勤《やきん》の時間に入ってきているからだ。
自分たちのオフィスまでの通路に慣れてきたそのフロアを歩いてれば、なんとなく『戻ってきた』って思える気がする。
その途中で見かけた憩《いこ》いのスペースでは、モニタの前で何人かが屯《たむろ》する姿があって、どうやらニュースを見ていたらしい。
そんな彼らを横目に見ていたら、ちらりとこっちを見るような人もいたかもしれない。
このフロアは主に自分たちのような現場へ行く、実動の仕事をこなす人たちが詰めているので、誰かが時事ニュースを眺《なが》めているのもよく見る光景だ。
まあ、この時間で屯《たむろ》しているのは、ちょっと珍しい気がするけど。
前を向いたミリアは箱を抱え直して、ガイやケイジたちと慣れた通路を歩き、壁に沿って進んでいく。
そして、その角を曲がった先にある、突き当りのオフィスのドアをケイジが開けて、ガイが続くその背中を追うミリアも部屋の中へ入って行った。
既に、その部屋には明かりが点いていたみたいだった。
「やぁ、おかえり、」
って、室内でデスクのある方から、ひょこっと顔を出して出迎えてくれたのはアミョさんだ。
先に部屋に戻って来ていたみたいで、私たちが戻ってくるまでデスクの前で別の作業でもしてたようだ。
「お疲れ様です。」
「おつかれっす、」
「うっす、」
私もガイたちも声を返して、部屋の中で各々の自分たちの場所へ散って行ってた。
部屋は、お昼に出た時のままのようで。
見慣れた部屋の様子も変わりなく、私物もいくつか置かれている中で、壁の大きめのモニタが動いて画面を映している以外は気に留めるものも無い。
そのモニタにはニュースが映っているけど、アミョさんが見ていたようだ。
慣れた自分たちのオフィスに入って、ふぅ、と小さく息を吐くミリアも、ソファのテーブルへ足を向けていくわけで。
何気なく部屋を見回せば、ガイは脱いだジャケットをそこの壁際のハンガーに掛けに行ってて。
ケイジは傍で同じくソファへ、ジャケットを適当に放ってたけど。
リースは・・、気が付いて逆側を振り向けば、壁際のいつもの居場所へリースは行ってて。
左側にあるミニソファに座って、ジャケットを脱ごうとモソモソしていた。
ぼそんと、音がしたので振り返れば、ケイジがテーブルの前のソファに飛び乗るように座ってた。
早速くつろぐ様な、そんな皆《みんな》にミリアは、と、ソファのテーブルの上に置かれていたピザの箱、『ベリポチ』の箱も、蓋《ふた》は閉じられているまま、お昼に部屋を出て行った時のまま置いてあったのも見つけた。
「そっちの方はどうだったんですか?」
ガイがそう、アミョさんへ。
「・・ん?問題はないかな。ちょっと後処理に時間を食っているみたいだけれど、」
「後処理・・?警備部の方っすか?」
「情報共《じょうほうきょう》・・や、あの『別件』での、証拠の提出とかをね、向こう側が素直にやってくれないとか、カントカ、」
ソファに座り直したガイと、離れた所のデスクのアミョさんが顔を向けて話している。
『別件』というのは、ケイジとリースが関わった方の事件の事、かもしれない。
「そりゃぁ、大変すねぇ、」
そんな会話を聞きながら、ミリアは抱えていた、まだ甘い香りが溢《あふ》れるようなドーナッツの大きな箱を、ピザの横へ置いておいた。
「まあ僕の管轄じゃないから待つしかないんだけど。向こうも前後の事情を調べたいみたいだ。参考人が・・、あぁ、まあ、これはまだ話さない方がいいか、」
「そこまで言われると気になるんですが、」
ガイも、アミョさんも苦笑いしてたみたいだけど。
ピザがまだちょっと何切れか残ってるかもしれない、ってミリアは『ベリポチ』の箱を見てて思ったけど。
あのカロリーが高そうなピザを食べたんだった、というのも思い出したので、買ってきたばかりのドーナッツに手を伸ばしにくくなった、ってちょっと思う、ミリアが目を細めてちょっと空《そら》に考えてたけども。
まあ、今日は出動したし、夜ご飯も遅くなりそうだしで、食べたカロリーはそんなに問題無いだろう。
栄養バランスを考えるなら今晩のご飯は炭水化物を減らして・・・あと、シャワーを浴びる前にトレーニングルームへ行って、それなりの運動をする、というやるべき事がその瞬間にほぼ決定していくわけで。
『――――――・・関連の株価の不調は、ギルタニアでの主要株価が大きく売りに転じたことによる連動した影響と見られ、また今後の推移を注視する動きが強まったものと見られています。』
って、ちょっと口先が突き出てきてるような、考えていたミリアが・・・見ていた、というか、なんとなく目に入っていただけなのだが。
目の前のモニタでは、ニュースが流れていて。
『次は天気予報です。週末はドーム群地帯の南部を中心とした砂風《さふう》が強くなるとのことですね。予報士の――――――――』
―――――ミリアはちょっと息を吸って、自然と上がる両肩に一息吐いて・・・腰に手を当ててた。
さて、・・と、横でケイジがリモコンでテレビの音量を上げていってた。
モニタにメニュー画面を出してたので、他の番組を見ようとしたみたいだ。
「あ、ちょっと天気予報を見せてね、」
向こうのアミョさんにそう言われて、ケイジが気が付いて、まあ、またさっきのニュースに戻して、ソファにまた沈んでた。
『こんばんは。天気予報士のヒロシゲ・バイロゾです。話好きの彼に先に言われてしまいましたが、週末は砂交じりの風が強くなる見込みです。できるだけ屋内で過ごした方がいい状況になるということは、みなさんも承知でしょうが。私も大好きな日焼けができませんね。日に当たる事は健康にいいのですが、防塵《ぼうじん》の備えをしないとその健康さえも害してしまいますからね。では詳しい天気を見て行きましょう―――――――』
苦笑い交じりのやり取りをする彼らから、ミリアが目を離して気が付いた、ソファのケイジが自分の携帯を取り出して、なにか別のものでも観るみたいだ。
「やあ、お疲れさん。」
って、アミョさんが歩いてこっちへ、デスクの方から来てた。
「今日はほんと、大変だったねぇ・・・・あれ?『ドニー』の?お店が違った?」
「ぁ、ちょっとあって。違うお店にしたんです。」
って、アミョさんが不思議そうだったのも当然で、ミリアもすぐ教えてた。
「えーそうか。残念だな、限定だったのに、」
アミョさんがテーブルの『DOHoney DonDon』のドーナッツ箱を開けて、覗《のぞ》き込む傍をすれ違うミリアは離れつつそのジャケット、『EAU』のジャケットを脱ぎ始めてる。
「好きに取っていいかな?」
「適当でいいんじゃないっすかね。食べたいヤツはもう先に食べちゃいましたし、」
「道理で減ってるんだ。じゃあこのチョコレートのをもらおうっかな、」
「あ、取っておきたいのはあって、」
って、ミリアは肩越しにアミョさんに言っておいてた。
「それはOKです。」
アミョさんが持ち上げて見せてくるそのドーナッツへ、ぐっと、ミリアは肩越しにサムズアップして見せてた。
ミリアは歩きながらジャケットを脱いで、その下の、身体にタイトな薄地《うすじ》の黒色Tシャツをちょっと見下ろしつつ。
その手に持ってたジャケットを高めにあるハンガーに腕を伸ばして掛けると、それから、シャツもお腹の辺りから引っ張り持ち上げて脱ぎ始める。
そのTシャツの下の手首まであるインナーウェアもだけど、タイトに身体のシルエットが出ているそれらは、特殊繊維でできている。
近くでよく見れば高密度の素材で作られているそれは、防弾・防刃などの防護性能も高い。
それに加えて、機能性も良く着心地がいいので、別にこのまま着ていても問題はないけど。
インナーも伸縮性《しんしゅく》が高いし、身体にぴったりフィットして、密着する割に着心地は良くて、締《し》め付ける感覚もほとんどない。
でも、こういう余裕のあるTシャツをその上から着た方が、なんか落ち着くというか。
着心地が快適過ぎるのが逆に、解放感があり過ぎて何にも着てないような、変な感覚も同時にある気がするからか。
まあ、気にするような事じゃないかもしれないし、スポーツウェアっぽいようなデザインで、着やすいんだけれどね。
掛けてあった自分の白Tシャツを頭から被《かぶ》ったミリアは、市販の着慣れたその感覚に包まれながら、腰まで引っ張って下ろして腕を出す。
それから、長袖のインナーの腕からシャツを見下ろして、ちょっと引っ張ったりして確かめた。
実動用の密着めの黒Tシャツの方も、着心地《きごこち》は良いし手触りは微妙に普通の生地とは違ってて、指に吸い付くような感覚がちょっとある気がするくらいで、まあ、伸びるし、蒸れないし、快適なんだけど。
そう、部屋の一角で手早く着替え終わったミリアが部屋へ振り返れば、みんなは各々くつろいでいて。
そんな部屋の様子を見回しつつ、ミリアはまたソファの方へ足を向けてた。
ケイジなんかはジャケットを脱ぎっぱなしのそんな恰好で、ソファで沈んでる、だらけ気味だけど。
「そういえば、―――――――」
『―――――続報が入りました。中断します。』
言いかけたミリアの声と、ちょうど重なった様に、ニュースの声が聞こえていた。
アミョさんも見ていたモニタの、その映像が見覚えのある、さっきまで自分たちがいた現場の様子を映していたのに気が付いたミリアは、ちょっと瞬いていた。
「お、」
ガイも気が付いたようで、モニタへ顔を上げていた。
『今日の午後、暴動グループがショッピングモールを一時占拠、その後に鎮圧《ちんあつ》されるという事件が発生しました。その続報です。現在、発生から約5時間を経《へ》た現場は落ち着きを取り戻しつつあり、先ほど封鎖解除エリアが追加されました。これら封鎖の開放は段階を踏《ふ》んで行われている状況で、未だ多くの・・・―――――――』
―――――――そう、ミリアもソファの近くまで戻った足で。
ニュースの話を少し見守りながら、片足に・・重心を移していた、左手で右腕の肘《ひじ》の辺りを握って。
ニュースで流れる現場の様子は外の大通り、すっかり暗くなっている街のあの景色だけれど。
画面が切り替わって映し出された屋内の大きなショッピングモールの様子、お店が連なるような様子は明かりで満たされていて、人が少ないながらも特に荒れている様子もないようだ。
各部でシャッターが下りているようなそんな状況を、リポーターの彼がこちらを向いて丁寧《ていねい》に案内してくれている。
そういえば、とミリアが思ったのは、自分たちはあのとき外を回っていたので、現場の屋内の様子を見るのは初めてだな、って。
「今日の事件、」
「ん?お、」
ミリアの声に、いま気が付いたようなケイジが、モニタを見に起き上がっていたけど。
「俺映っているかな、」
って、笑うガイが、冗談ぽかった。
『現在の警備部からはなにか公表されましたか?』
『はい。この現場ではおよそ5時間ほど前、武装したと思《おぼ》しき集団に『コールフリート・アベニュー』の一角を占拠《せんきょ》されました。
特能力者が関わっているとされたこの事件は一時的にも大きな混乱を招きましたが、警備部は対テロリスト作戦を発動しハイセキュリティ、対特能部隊『EPF』などが主に対応に当たった事で、現在はご覧の通り、本来の治安を取り戻しています。
その後の警備部の発表では犯人グループはテロリストである可能性は低いとされました。
しかし、犯人グループの制圧後も建物の一部が破壊されたなどの被害の跡《あと》が残っており、一部の施設は暫《しばら》く閉鎖される模様です。
現在、状況は落ち着きを取り戻しています。
ですが、ほとんどの店舗は休店しており、事件の影響は大きいと言わざるを得ません。
また、犯人グループの行動範囲に合わせた広範囲での捜査により、未だに一時封鎖措置が全体では解除されておらず、一部の市民から苦情があるとのことです。』
「進展《しんてん》はゆっくりみたいだね、はぐ、」
アミョさんがそう、色鮮やかな色チョコスプレーのドーナッツを齧《かじ》ってたけど。
「ちゃんと事件になってるのな、」
って、ガイは感心したような。
「そりゃそうさ、」
「そりゃぁ・・、」
そんなガイへ言う、アミョとミリアの声がちょっと被《かぶ》ってたけど。
「ニュースでこんなに報道されてるって想像つかなくてさ、」
苦笑いのガイみたいで。
「ひっきりなしに流れてるよ、間違いなく今日一番の事件だ、というか、ここ最近でも大きな事件だってね」
そんなアミョさんの説明に、ふむ、とミリアはちょっと鼻を鳴らしてた。
「どぅはぁぁぁ・・・・・」
って、急に変な声を出してるケイジが、ソファに足を投げ出してた。
『犯人グループの行動や動機の究明にはまだ時間がかかると見られ、また動きがありましたら続報をお伝えします。』
「もう1つもらうよ。残した方がいいのある?」
「あ、えっと、コレとコレを。あとコレかな、リースが頼んでたので、残してください。だったよね?」
「おう、」
ミリアが聞けば、指差したそれらをケイジが見てOKを出してた。
箱の中のキャラメルソースやソルト&シュガー、ドーニー・オリジナルのドーナッツたちを確保しておいた。
そう、オリジナルは独自のこだわりの製法で、食感がさくっと、でも中は柔らかくて軽い、ドーニーのラインナップの中でも特徴的な美味しいドーナッツだ。
アミョさんはまた1つ、そのオリジナルにチョコのかかったオールドファッション風のドーナッツを紙ナプキンで摘《つ》まんで取ってた。
さっきもチョコだったし、好きなのかもしれない。
『――――――――スタジオに駆けつけて頂いた現代事件に詳しい、専門家の方々と繋がっています・・・―――――――』
「アミョさん、夕飯、食べました?」
そう、ガイが聞いてて。
「いや、全部終わらせてからにしようと思ってね、」
「ああ、気になってきますもんね、」
「君たちは?食べて来てもいいんだよ。敷地内にいさえすれば待機指示には反しないから、」
「そうですねぇ・・」
「私はここで待とうかな。」
「俺もそうするか、」
「ケイジ達は?」
「ドーナッツあるしな、」
『――――――特能力者が潜在的にでも危険な存在だという事が証明された事件だと思います。』
と、彼が言う、モニタの中で。
―――――ミリアは、ちょっと振り返っていた。
『正式な発表はまだないらしいですが、今回の事件には特能力者が関わっていたという事らしいですね』
『確かに、はっきり映像に映っていますね。おそらく特能力者かと思われる男性の姿が、いくつかのカメラで捉えられています。あぁ、この映像ですね。』
小さな映像の窓からクローズアップされて画面が切り替わると、あの『コールフリート・アベニュー』の昼間の広場が映る、遠目の光景だけど、次の瞬間にガラスを割って飛び出してきた人間、体格の良い男性の姿が映る―――――――。
―――――ミリアも覚えている、この後どうなるのかも。
『政府の指針として『市民である特能力者を受け入れる』という理念は立派だとは思います。』
―――――次の瞬間に、彼は紅い結晶を発現させていく、それをEPFの隊員が大人しくさせるまでの一連の出来事は、改めて見たら一瞬の出来事のようだった。
『しかし、はっきりした決断をしなければ、常に割を食うのは善良な市民たちだけですよ。』
――――それら制圧されるまでの一連の映像が、はっきりと映っていた。
『歴史的に見ても為政者《いせいしゃ》の緩慢《かんまん》な態度が混乱を招《まね》きます。
いま、我々は歴史の転換期にいるのですよ。
それを一人一人が自覚し、新しい存在をどう扱《あつか》うかの、定義をするためには毅然《きぜん》たる態度も必要でしょう。
だから私は常日頃《つねひごろ》から『今こそ、市民たちの声を真摯《しんし》に受け止めるべきだ』と、』
「――――またなんか言ってんのな、」
って、ソファの上で寝転がってるケイジが、モニタを、なんか眠そうにだらだらしながら見て言ってた。
まあ、あくびでもしそうなケイジは、全然気にしていないみたいだ。
ふむ。
それに、あの解説の人、他の番組でもよく見かける。
よく《《そういう主旨《しゅし》の話》》をしているようなので、今回だから特別ってわけじゃないとは思う。
まあ、だからミリアも、『ああ、また彼らか』って思ったくらいだ。
そういう意見もあるんだな、ってまあ、そんな感じだ。
「お、残ってんじゃんか、」
って、ケイジがピザの箱の蓋《ふた》を開けてて、その冷え切った一切れを取り紙でつまんで、食べるみたいだ。
「温めないのかい?」
アミョさんも聞いてたけど。
って、冷めた固そうなピザをそのまま齧《かじ》り始めるケイジだ。
ちょっと瞬いてたミリアだけど。
「チーズは温めた方が美味《うま》いだろ?」
ガイが率直に聞いてたけど。
「これはこれで、いい、」
って、ケイジは言いきって、また口に入れてた。
ふむ。
本当だろうか?って。
ちょっと思ったミリアは、・・・まだ2枚残っている『ベリポチ』の一切れを見て、ちょっと考えてみてたけども。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
=KBOC= 『セハザ《no1》-(1)-』L.ver
AP
キャラ文芸
1話を短いバージョンもあります。
読みやすい方をご覧になってください。内容は同じです。
******あらすじ********
のんびり砂漠をパトロールしてたミリアのチーム。
そんな警備部の仕事は重要だけれど、いつもの通りなら退屈で、お菓子を摘まんだりうたた寝するような時間のはずだった。
通信連絡があったのだ。
急な救援要請、説明は要領を得ないものでも仕事であるから仕方ない。
軽装甲車を動かし目的地へたどり着くと、そこにあった辺境の村はとても牧歌的だった。
『ブルーレイク』は、リリー・スピアーズ領の補外区に属する、NO.11の村である。
チームメンバーのミリアとケイジ、リースとガイの4人は戸惑う気持ちを少し持ちながらも。
もしかすれば・・、なかなかない経験ができるかもしれない、とちょっと期待したのは村の人たちには秘密だった。
****************
以下は、説明事項です。
・《no1》のお話について
<----------------:『KBOC』は『MGLD』へお話が続きます ->
*****ちなみに*****
・この作品は「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
=KBOC= 『セハザ《no1》-(1)- 』s
AP
キャラ文芸
L.verと内容は同じです。読みやすい方をお読みください。
******あらすじ********
のんびり砂漠をパトロールしてたミリアのチーム。
そんな警備部の仕事は重要だけれど、いつもの通りなら退屈で、お菓子を摘まんだりうたた寝するような時間のはずだった。
通信連絡があったのだ。
急な救援要請、説明は要領を得ないもので。
仕事であるから仕方ない。
軽装甲車を動かし目的地へたどり着くと、そこにあった辺境の村はとても牧歌的だった。
『ブルーレイク』は、リリー・スピアーズ領の補外区に属する、NO.11の村である。
チームメンバーのミリアとケイジ、リースとガイの4人は戸惑う気持ちを少し持ちながらも。
もしかすれば・・、なかなかない経験ができるかもしれない、とちょっと期待したのは村の人たちには秘密だった。
あ、もちろん、お仕事は忘れてないです。
****************
以下は、説明事項です。
・《no1》『KBOC』の続きは→『《MGLD》 『セハザ《no1》-(2)-』』です ->
*****ナンバリング説明*****
・セハザno1の『no1』の部分は。主人公の違いです。(たぶん。
セハザシリーズに世界観の繋がりはありますが、話は独立しています。
前後の経過はありますが、基本的にはどのナンバーから読んでも大丈夫です。
*****ちなみに*****
・この作品は「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載しています。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
失恋少女と狐の見廻り
紺乃未色(こんのみいろ)
キャラ文芸
失恋中の高校生、彩羽(いろは)の前にあらわれたのは、神の遣いである「千影之狐(ちかげのきつね)」だった。「協力すれば恋の願いを神へ届ける」という約束のもと、彩羽はとある旅館にスタッフとして潜り込み、「魂を盗る、人ならざる者」の調査を手伝うことに。
人生初のアルバイトにあたふたしながらも、奮闘する彩羽。そんな彼女に対して「面白い」と興味を抱く千影之狐。
一人と一匹は無事に奇妙な事件を解決できるのか?
不可思議でどこか妖しい「失恋からはじまる和風ファンタジー」
化想操術師の日常
茶野森かのこ
キャラ文芸
たった一つの線で、世界が変わる。
化想操術師という仕事がある。
一般的には知られていないが、化想は誰にでも起きる可能性のある現象で、悲しみや苦しみが心に抱えきれなくなった時、人は無意識の内に化想と呼ばれるものを体の外に生み出してしまう。それは、空間や物や生き物と、その人の心を占めるものである為、様々だ。
化想操術師とは、頭の中に思い描いたものを、その指先を通して、現実に生み出す事が出来る力を持つ人達の事。本来なら無意識でしか出せない化想を、意識的に操る事が出来た。
クズミ化想社は、そんな化想に苦しむ人々に寄り添い、救う仕事をしている。
社長である九頭見志乃歩は、自身も化想を扱いながら、化想患者限定でカウンセラーをしている。
社員は自身を含めて四名。
九頭見野雪という少年は、化想を生み出す能力に長けていた。志乃歩の養子に入っている。
常に無表情であるが、それは感情を失わせるような過去があったからだ。それでも、志乃歩との出会いによって、その心はいつも誰かに寄り添おうとしている、優しい少年だ。
他に、志乃歩の秘書でもある黒兎、口は悪いが料理の腕前はピカイチの姫子、野雪が生み出した巨大な犬の化想のシロ。彼らは、山の中にある洋館で、賑やかに共同生活を送っていた。
その洋館に、新たな住人が加わった。
記憶を失った少女、たま子。化想が扱える彼女は、記憶が戻るまでの間、野雪達と共に過ごす事となった。
だが、記憶を失くしたたま子には、ある目的があった。
たま子はクズミ化想社の一人として、志乃歩や野雪と共に、化想を出してしまった人々の様々な思いに触れていく。
壊れた友情で海に閉じこもる少年、自分への後悔に復讐に走る女性、絵を描く度に化想を出してしまう少年。
化想操術の古い歴史を持つ、阿木之亥という家の人々、重ねた野雪の過去、初めて出来た好きなもの、焦がれた自由、犠牲にしても守らなきゃいけないもの。
野雪とたま子、化想を取り巻く彼らのお話です。
【フリー声劇台本】地下劇場あるかでぃあ(男性3人用または不問3人用)
摩訶子
キャラ文芸
『いらっしゃいませ。カフェではなく、【劇場】の方のお客様ですか。……それなら、あなたはヒトではないようですね』
表向きは、美しすぎる男性店主と元気なバイトの男の子が迎える女性に大人気のカフェ。
しかしその地下に人知れず存在する秘密の【朗読劇場】こそが、彼らの本当の仕事場。
観客は、かつては物語の主人公だった者たち。
未完成のまま葬られてしまった絵本の主人公たちにその【結末】を聴かせ、在るべき場所に戻すのが彼らの役目。
そんな二人の地下劇場の、ちょっとダークな幻想譚。
どなたでも自由にご使用OKですが、初めに「シナリオのご使用について」を必ずお読みくださいm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる