《SSTG》『セハザ《no1》-(3)-』

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第17記

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 その青いシートを被されたビル前広場の一部は事件現場として、保存のために風除けや目隠しに簡単に、仮設の薄い壁もこの短時間で作られた。

その薄い壁は部分的にシートで補ったりもしてあり、恐らく外側の市民たちの目に触れないよう隠すのも主な目的だろう。
物珍しさの熱が冷めてきたとはいえ、そこはまだ衆目の集まる現場周辺だ。
公道、歩道を隔てた一時進入禁止エリアを示す光学式のビーコンラインが立てられ、その内側になる現場は広場中央にその薄い壁をいくつか立てた形になっている。

そこまで厳重にする必要があるのか、と思いはしたが、さっき『EPF』のモティビーがいるってだけで、けっこうなファンたちが進入禁止エリアに侵入してきたもんで。
更にわかりやすい壁を作って見た目から牽制《けんせい》しておくのは、けっきょく良い判断だったんだろう。
その薄壁の内側では調査に動く警備部の鑑識や、EPF・他の特務協戦の関係者らしき人間が歩き回っているのだが、まあ、外側からはその隙間にちらりと見えなくもないという程度だ。
当然、外からは何をしているのかまでは見えるはずがない。
その路傍に立つロブが、ぼうっと気の抜けた顔で、・・大きく口を開けてあくびをするのを、途中でかみしめる。
多少の涙目になりながら、そんな奴らのいる光景が動いているのを眺めていた。

まあ、気が付けば手が勝手にポケットの上を探したりと暇を弄《もてあそ》ぶ・・・。

「おぉい、ロおぉブ・・っ」
・・遠くに聞こえた声に、遠目の景色へ振り返れば、警備部の車両の近くからスーツ姿の、同僚のアヘイロがこっちへ軽く手を上げて見せていた。
・・まあロブは、あいつへ軽く手を上げ返してやった。
路上の警備部の車両が集まる方で、駆け付けたままに停車した車がごちゃっと並び、ある程度整理した後でも一部通行不能になっているのだが。
手の空いた奴らはそんな適度なスペースで寄り集まってカップ片手に、車から持ち出した小さい椅子やらでくつろぎ、気楽にくっちゃべっているようだ。
仕事の愚痴から家族への不満まで、思いつくままにしゃべってコーヒーのお代わりをもらう。
レイリィ辺りがよく言う『有意義な意見交換の時間』は、いつも飽きもせずにあのザマだ。
あのアヘイロもご機嫌なのか知らんが。
ロブはまた、向こうの景色へ目を戻した。
その軽い睡眠不足の顔に無精ひげがより伸びてきた、じょりじょりを手で擦るように・・肺の中に溜まった重いため息を吐くのだった。

「あの、『また無線機を切ってるのか?』って言ってますよ」
・・いつの間にか、背後から近づいてきてた彼女に気が付いて、ロブは肩越しに一べつした。
決して愛想のいいわけじゃない目つきで視線を送ったが、彼女は口元を締め気丈に見返す、若い娘だ。
「切ってねぇよ。さっき点けたばっかり・・」
低い声は不機嫌そうに聞こえたかもしれないが、一応、ロブは耳元を手で確かめて言い返し・・・、意外な事に、無線機のイヤフォンが耳の横でぶら下がっていたので、手にコードが絡まるのを確かめた。
ロブは、彼女の顔は見ないが、嘆息するような雰囲気の彼女はとりあえず置いておき、無言でイヤフォンを手に摘まんで、目の前で目を細めてちゃんと確認した。
やはり、自分のイヤフォンだ。
「わかっててやってませんよね?」
すっごい言われた。
「・・あぁ、わかってたらもっと上手くやるけどな・・・」
口端を持ち上げて見せる多少のキメ顔のロブの、その薄っぺらな強がりは彼女の冷たい視線に見透かされているのかもしれない。
というか、彼女には今の冗談が全く面白くないってことらしい。
「用があるって言ってましたよ、」
「・・ああ。」
頷くロブが、またその広場の光景へ顔を向ける。
何をするでもなく、イヤフォンも指ではじいたようにまた肩の上に落としたので。
・・彼女も、同じ方を見るのだった。
別に、さっきから変わり映えの無い景色なのだが。
「・・EPFを見てたんですか?」
そう、彼女の声に。
ロブは、傍に立った彼女をちらっと見て。
・・こちらへ気が付く彼女が、見ていたらしい方向を少し確認した。

現場はそれぞれの役割で、人が常に動いちゃいるが、こうやってサボっているような仕事が無いような奴らもいる。
つうか、仕事が無いわけじゃないんだが。
それより、あのビルの側面になる路傍には、暇そうなヤツらも足を止めるような、人が集まり始めている場所があった。

シートに合わせて作られた目隠しの壁の、その切れ間で、マスコミへの公開会見かがいつの間にか行われていて、それを見て言ったんだろう。
警備の中に身元が確かな記者たちが集められ、どんな微動も見逃さないと気合の入っているような記者たちがたくさんのカメラを向ける先は、誰だ・・・。
記者の前に立つのは・・遠目にかろうじて誰か、その警備部の方の関係者らしき人間と・・EPFの人間らしい1人が受け答えしてるインタビューの様子が見えた。
あの記者らが欲しいネタは簡単に転がり出てくるだろう、もしくは面白そうな記事か。
彼らが食らいつくその光景は、わかりやすくていい。
でかい事件が起きた時に行われるイベントが、風変わりなこの事件でもああやって顛末《てんまつ》が今夜のニュースになる。

「ありゃ質問攻めだろうな・・・あれ警備長か?」
「自ら出てるそうですよ。大きな事件でしたからね。しっかりサービスした方が良いとの判断もあるんじゃないですか?」
「それ、誰かの受け売りか?」
そう言われて。
彼女は開いた口を、一旦閉じたが。
「どうでしょうね。」
再び口を開いた彼女はそう言って、また口を閉じた。
顔を前に向けたその冷静な横顔に、ロブは口端を少し曲げるのだった。
「そんなことより、アヘイロさんがせっついてますよ」
言われたロブは、そういやそうだった、と思い出してイヤフォンを耳に着け直した。
「アヘイロ、なにか用か?」
マイクの確認もそこそこに、一先ず声を掛けてみるが、チャンネルは合っているはずだ。
『・・ようやく出たか?』
アヘイロが皮肉を多少は込めた声は聞いてわかが、ロブが同時に向こうへ、アヘイロのいる方を見れば軽く手を上げてきたのも見えた。
「なんかあったのか?」

『悪いが、もう俺らの出番は無くなったようだ。鑑識の奴らが現場を洗った後で捜査課にデータを回すんだと。』
「・・ぁあ?捜査課が現場に入れないのか?」
「ああ、そうだ。警備《うち》の鑑識や他の連中でこれ以上は人数を増やせないらしい。」
「・・えらくお固いのが来てるんだな」
『場所が場所なだけでもあるだろうしな。憩いのモールをいつまでも封鎖してられんだろ。EPFの他にEAUも来てる。あと他の組織が入れろって横やり入れてきてるんだとよ、』
「あぁ、あいつらは特能力ってだけで目の色が変わるからな・・」
「他の組織、ですか?」
『ん?ああ、ジュリィか。まあ話半分に聞いてりゃいい。そもそも事件協力に関わってないんなら原則、『無関係』だしな、』
「それでも無理を言ってくるんですか?」
『あっちも仕事だろ。』
「ふぅん、そういうもんですか」
「大方、上司がニュースでも見たんだろうよ」
「はぁ・・・。」
と、傍のロブの言う事には、いまいちピンと来てないジュリィのようだ。
「だが、そいつらの所為《せい》で長引いてるってわけじゃないんだろ?」
『余剰《よじょう》に現場に入る人間を整理したいんだろう。所属の違う人間が同じ場所にいるだけで厄介事が増えるもんだ。EAUの奴らは大抵、仕事の邪魔もしない。気の良いヤツが多いけどな。EPFのと警備《うち》の鑑識《かんしき》が絡んだら俺でも逃げ出したくなる』
「今はマジでそいつらしか行ってないのか?」
『そうだな。待ってりゃ向こうでデータ化してくれるし、俺らの番だと『VR』でそっちのが円滑にできるだろう』
「『VR』か・・・」
『不備は無いだろ、』
「VRだといまいち勘が乗らねぇんだよなぁ・・・」
『そりゃ我慢だ、』
「・・お2人は『特務協戦』とも、よく仕事するんですか?」
と、ジュリィに呼ばれたロブだが、彼女が少し興味を惹かれたみたいなのはわかった。
『ん?』
「EAUの事も知ってそうでしたし、」
『ああ、何度か一緒に仕事したが、悪くなかったな。『EAU』を知ってんのか?』
「知っているというか、実績のある特務協戦の部隊ですよね?」
「まあ、そうだが、」
「数年前くらいから公《おおやけ》になり始めたというか、特能力部隊を抱えているのを公《おおやけ》にし始めた感じらしいです。その前は研究所ベースの私設《プライベート》部隊だったのが、警備や治安維持に協力していたらしいですが。かなり特殊ですよね。」
『ほぉ?』
「現在の『EAU』の前身で良いんですかね。『EAU』は特に特能力関係が専門らしくて、そっち分野での功績を認められたからか。表立った活動を公《おおやけ》にしたのがつい数年前から、という感じのはずです。」
『道理で態度のでかいヤツが少ないわけだ。おっと、軍部の奴らと比べてるわけじゃないぞ?』
「・・はぁ・・」
「私設部隊って、ボスはどんな金持ちだ?」
「公表はされてないですが。あの総合病院の『リプクマ』が関わってますからね。相当な大物ですよね。今はまるっきりプライべートというわけじゃ無いですから、今後動きがあるかもしれないんですかね。高価で高性能な装備を惜しみなく使ってるらしいので、装備だけならEPFに引けを取らないんじゃないか、って話も聞きます」
『羨《うらや》ましくて泣けてくるな、』
「いつもが口癖だもんな、警備部《ウチ》は」
『はっはぁ、』
「警備部《うち》は、古いレトロな機械しか無いのに困ってないんですよ?」
『言うねぇ、』
「言うねぇ・・。」
「・・褒められたんですか?」
ちょっと戸惑うジュリィみたいだが。
「お前はよく勉強してるな」
「・・え?あ、はい。・・いやだって、これくらい・・。特能力事件に関わるような話ですから・・・」
そう言いつつも、ちょっとモゴモゴし始める彼女はそっぽを向いたように、少し照れたのかもしれない。
「というか、特能事件に関わる立場の人なら知っててほしいんですが、先輩、」
と思うのもつかの間で、すぐにけっこう鋭い言葉が返ってきた。
「お前、俺を敬った事なんかないだろ。」
「いえ、」
「昔は特務協戦の情報は公開されないのが普通だったんだよ、」
『ああ、そうそう。そうだった。よくわからん組織が横からかっさらっていって、真相は闇の中ってのがよくあったな、』
「あぁ、あったな・・」
昔を懐かしむように歓談に入りそうな彼らに、ジュリィがため息交じりに言っておく。
「なら、常に情報を更新《アップデート》してください」
「おまぇ・・・」
『はっはっは、』
無線の向こうではアヘイロが他人事のように笑っちゃいるが、お前も同類だろとロブは思っても、言いはしなかったが。
「ったく・・」
その新人の顔を見て、無精ひげに疲れた顔をまた少ししゃくるロブは、またその広場の景色へ目を戻す。

「少なくとも、無線って便利なものがあるんですから、いちいち言いに来させないでください」
「わかったよ・・」
『こわいねえ。俺は大人しく茶でも飲んでくるか。あとは何も無い事を願うばかりだね・・』

アヘイロの声を見送るロブは、また会話が消えるようだったので、辺りの様子をふと感じて佇《たたず》む。

ビル前の広場やそれら周囲の光景は大して動いてないが。
物珍しさから囲むように集まる市民たちに、進入を制限する警備部の奴らが少しピリピリしているのを感じる。
報道ニュースで流れた分だけ増えては去り、未だに現場の見物客が増えもせずにゆったりと減っている気はするが。

「ロブさん、戻らないんですか?」
踵《きびす》を返しかけたジュリィにが声を掛けられる・・。
ロブが一べつした横顔が告げる方へ、彼女も・・一瞬、目を誘われた。

その光景は、今はシートなどで一部を覆い隠された広場だが、正義が暴力で巻き散らかした制裁の跡の体裁を整えている。
まるで清潔な絆創膏《ばんそうこう》のようだな、とジュリィは正直に思った。
傷口に張り付けることで安心するが、隠すと、より大きな傷口をふさいでいるような気がしてくる――――――

――――――そのままロブが、手寂しくポケットへ突っ込めば指に当たった、その一本のタバコに気が付き、慣れた手つきで口元まで持っていっていた。

「・・彼ら、」
軽く息を吹きかけてタバコの先を咥えたロブの耳に、ジュリィの呟いた声が届いていた。

「なんで、あんな、バカなことをするんでしょうね、」

・・ジュリアが向こうの景色へ目をやったまま。
シートに覆われた景色へ向ける横顔を、ロブは見ていたが。
・・ジュリィは、問いかけてきたような、そうでないような。
・・・皮肉のような・・侮蔑《ぶべつ》のような、なんつうか、そんな響きもあったような・・よくはわからんが。

だが彼女は、答えは求めてないんだろう・・・今もその横顔は、読み取れそうなほどの表情は無かった。
ただ、彼女が気が付いたように。

その眼でロブの視線を見返した。

―――――ロブは、口に、・・その唇で挟む動きでタバコの先を上に向けていたが。
無意識に手が、また火を探していたのに気が付き、止めた。

また息を静かに吸った彼の口からタバコの香りが、少しは舌の上の味になって感じられたかもしれない。
が、それは記憶の中の香りかもしれない。

―――――こほん、と彼女は小さく咳払いしていた。
「そういえば、まだ容疑者の身元が絞れてないらしいですね、」
何事も無かったように、ジュリィは顔を前に向けるが。
「・・・容疑者・・?」
ロブは言葉を繰り返す・・・。
「ええ・・?逮捕した全員が、」
「ぁあ、そっちか、」
ジュリィは少し不思議そうな顔をしたが、手元に取り出した警備用のPDA個人携帯端末で現在の状況を確認し始めたようだ。
「・・他の管轄《かんかつ》エリアを跨《また》いで市内のセキュリティシステムも洗ってるらしいんですが、まだ身元の特定には至ってないそうで」
「・・ぁあ、そりゃぁ、」
そう、自然とロブが口を開くのを、ジュリィは振り返る・・・。
言葉の先を促す彼女の視線に、つい、ロブは顔を逸らすようになる。
「『ストリート・チルドレン路上の子供たち』、だろ―――――――」



 ―――――――路上を歩く、ミリアがちょっと、その小石や舗装された敷石の目を狙って靴の固いつま先を下ろしたり、という少しの遊びを見出し始めていたかもしれない。

それは、退屈だからというわけではなくて、なんだかずっと見てると気になってきたからで。
そう、退屈そうといえば、やや後ろで歩くケイジやリース達が、どうでも良さそうなお店の看板の前に足を止めて見上げていたりするような、そんな様子なら完全に暇《ひま》そうだ。

『―――――なんかEPFの話題ばっかりニュースになってるけど、『発現者』がいましたよね。やっぱり、あのまま彼らは拘置所に連れて行かれるんですかね?』

それから顔を上げるミリアの、その耳元に入った無線通信の話題に、自然と目が左に寄せられたのは、少し興味を惹かれたからだった。
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