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15 妹が来た!(シャル視点)
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私は船長に苛立っていた。
「ねぇ、まだ出港できないの!?」
「と、言われてもなぁ。監視の目が意外に厳しいんだよ」
この時、お城を逃げ出して既に1週間近くが経過してた。
私がこの港町に到着したのが2日目の昼。
この時には既に王都の情報がここまで伝わっていて、公共の定期船は全て衛兵の監視下にあった。
やはり伝令の馬の速さは並の馬とは一線を画すらしい。
でも、ここまでは想定内。
そこで私は、ちょっと怪しいブツを運んでる船を買収。
当然そういう人達は衛兵の監視を潜り抜けるのに長けてるので、これで大丈夫だろうと思っていた。が、台風が来た。
王都の気象予報士もこの日は快晴だと予想してたにもかかわらず、この時に限りそれが大きく外れたらしい。
全く、この国の気象予報士はよほど無能に違いない。
本来なら3、4日目あたりで海外逃亡を成功させたかったが、それは叶わなかった。
逃亡から4日目に、やっと出港が可能な状態になったが、どうやらこの台風を境に巡視船のやってくるタイミングにズレが生じてきたらしい。
理由は、巡回船の1隻が台風の影響で大破したため、それに合わせて見回りの時間を調整し直したからだとか。
あーー、ムカつく!
こんなことしてる間にも衛兵達は私を血眼になって探しているのだ。
衛兵がよほど無能でない限り、私が港町にいることぐらいすぐに突き止めただろう。
あとは時間との勝負である。
私が出港するのが先か!
衛兵が私を見つけるのが先か!
そして、今日はお城を出て7日目。
私はついに船長に詰め寄った。
だが、彼の言い訳で「見つかる可能性が少しでも高い状況での出港はできない」と言うばかり。
確かに慎重なのはわかる。
彼らが運んでるのは脱税した酒らしい。
これは見つかれば重罪だ。
だから、その心意気はわかる。
まさか彼らも、これから一緒に出港しようとしてる女性が王族だとは知らないだろうが……
だが、それで出港を何日も見送ってもらっては困るのだ!
男なら賭けに出ろよ!!
私はつくづくそう思った。
そんなこんなで、癇癪を起こして船長の宿を飛び出した私は、そこで目に入った人物に、はっと息を呑んだ。
「……クロエ」
そこにいたのは、私が公務を押し付けた妹だった。
一体なぜこんなところにいるの?
公務で忙しいんじゃないの?
あの疑心暗鬼な父親が王族以外に公務を任せるのは考えにくい。
間違いなく、私が放棄した仕事はクロエに引き継がれているはずだ。
なのに彼女はここにいる。
クロエは、私が姿を見つけた直後すぐにローブで顔を隠してしまった。
おそらく、今一瞬顔が見えたのはなんかの事故で、本当は私に警戒されないようにひっそりと私を見つける予定だったのだろう。
きっと連行しに来たんだ!
公務が辛いから私に任せようと思ってここまで来たんだ!
そう思うと私はゾッとした。
もしかして、港町は既にかなり危険?
そんなことを考えた挙句、私は1つの作戦を思いついた。
そうだ!今は衛兵も妹も港町で私を探してる。だから、そのうちに港町を飛び出して陸路で逃げることにすれば、追ってを出し抜けるんじゃないかな!
そうして私は馬を借りて内陸部へかけて行くのだった。
「ねぇ、まだ出港できないの!?」
「と、言われてもなぁ。監視の目が意外に厳しいんだよ」
この時、お城を逃げ出して既に1週間近くが経過してた。
私がこの港町に到着したのが2日目の昼。
この時には既に王都の情報がここまで伝わっていて、公共の定期船は全て衛兵の監視下にあった。
やはり伝令の馬の速さは並の馬とは一線を画すらしい。
でも、ここまでは想定内。
そこで私は、ちょっと怪しいブツを運んでる船を買収。
当然そういう人達は衛兵の監視を潜り抜けるのに長けてるので、これで大丈夫だろうと思っていた。が、台風が来た。
王都の気象予報士もこの日は快晴だと予想してたにもかかわらず、この時に限りそれが大きく外れたらしい。
全く、この国の気象予報士はよほど無能に違いない。
本来なら3、4日目あたりで海外逃亡を成功させたかったが、それは叶わなかった。
逃亡から4日目に、やっと出港が可能な状態になったが、どうやらこの台風を境に巡視船のやってくるタイミングにズレが生じてきたらしい。
理由は、巡回船の1隻が台風の影響で大破したため、それに合わせて見回りの時間を調整し直したからだとか。
あーー、ムカつく!
こんなことしてる間にも衛兵達は私を血眼になって探しているのだ。
衛兵がよほど無能でない限り、私が港町にいることぐらいすぐに突き止めただろう。
あとは時間との勝負である。
私が出港するのが先か!
衛兵が私を見つけるのが先か!
そして、今日はお城を出て7日目。
私はついに船長に詰め寄った。
だが、彼の言い訳で「見つかる可能性が少しでも高い状況での出港はできない」と言うばかり。
確かに慎重なのはわかる。
彼らが運んでるのは脱税した酒らしい。
これは見つかれば重罪だ。
だから、その心意気はわかる。
まさか彼らも、これから一緒に出港しようとしてる女性が王族だとは知らないだろうが……
だが、それで出港を何日も見送ってもらっては困るのだ!
男なら賭けに出ろよ!!
私はつくづくそう思った。
そんなこんなで、癇癪を起こして船長の宿を飛び出した私は、そこで目に入った人物に、はっと息を呑んだ。
「……クロエ」
そこにいたのは、私が公務を押し付けた妹だった。
一体なぜこんなところにいるの?
公務で忙しいんじゃないの?
あの疑心暗鬼な父親が王族以外に公務を任せるのは考えにくい。
間違いなく、私が放棄した仕事はクロエに引き継がれているはずだ。
なのに彼女はここにいる。
クロエは、私が姿を見つけた直後すぐにローブで顔を隠してしまった。
おそらく、今一瞬顔が見えたのはなんかの事故で、本当は私に警戒されないようにひっそりと私を見つける予定だったのだろう。
きっと連行しに来たんだ!
公務が辛いから私に任せようと思ってここまで来たんだ!
そう思うと私はゾッとした。
もしかして、港町は既にかなり危険?
そんなことを考えた挙句、私は1つの作戦を思いついた。
そうだ!今は衛兵も妹も港町で私を探してる。だから、そのうちに港町を飛び出して陸路で逃げることにすれば、追ってを出し抜けるんじゃないかな!
そうして私は馬を借りて内陸部へかけて行くのだった。
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