たとえ運命の番じゃなくても

暁 紅蓮

文字の大きさ
上 下
90 / 142
冬が近づく

2

しおりを挟む
「そう言えば悠」
「ん?何?」
「俺達が番ったのは高一の3月だろ?ギリギリクラス一緒になれたはずなのにどうしてなれなかったのか不思議なんだよな」
「……その時にはもう決まってたからだよ」

悠はニコリと笑った。

「でもさ、番ったなら無理にでも同じクラスにするはずだろう?」

俺がそう言うと、悠は溜息をついた。

「……言わなかったの」
「…は?」
「言えなかった。あの時言おうとしたよ?でも、和哉に半ば無理言って番ったから言い出せなくて…」

あの時の事を思い出したのか悠が恥ずかしそうに言った。

「…え、じゃあ今でも学校認識してない……?」
「ん、多分……ごめんね?言い出せなくて……」

悠が申し訳なさそうに言った。
でもこの事に関しては悠のせいではない。
‪α‬である俺から言うべきだった。

「いや、悠のせいじゃない…俺が言うべきだった」
「違うよっ!俺がっ!」
「ま~ま~落ち着いて~」

俺と悠の間に梨衣が入ってきた。

「2人が悪いわけじゃないよ~?しかも私が先生に言ったしぃ~?先生が忘れてただけだよ~」
「……え?」
「私言ったの~担任に~」

曰く、俺達が番った次の日には担任に言っていたらしい。
しかし、3月ということもあり先生達は忙しくクラス替えもある。
適当にあしらわれ、疑ったが大丈夫と思った梨衣はそのままにしてしまった。
4月になって2人が離れ、自分にも先生にも憤りを感じた梨衣は絶対悠を守りきるー

「という感じか…?」
「そ~なの~!だから結局の所私が上手く伝えきれてなかったせいなの~ごめんね~」

梨衣の眉毛が下がり、顔の前で手を合わせた。

「いやいや!梨衣、ちゃんと言ってくれてありがとう…俺と和哉の為にありがとね……」

悠が梨衣を抱きしめた。
…俺からしたら微妙だが、言ってくれたことには感謝しなきゃだな。
梨衣には感謝を伝えた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。 1日2話ずつ投稿します。

お前が結婚した日、俺も結婚した。

jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。 新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。 年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。 *現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。 *初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

手の届かない元恋人

深夜
BL
昔、付き合っていた大好きな彼氏に振られた。 元彼は人気若手俳優になっていた。 諦めきれないこの恋がやっと終わると思ってた和弥だったが、仕事上の理由で元彼と会わないといけなくなり....

美形×平凡の子供の話

めちゅう
BL
 美形公爵アーノルドとその妻で平凡顔のエーリンの間に生まれた双子はエリック、エラと名付けられた。エリックはアーノルドに似た美形、エラはエーリンに似た平凡顔。平凡なエラに幸せはあるのか? ────────────────── お読みくださりありがとうございます。 お楽しみいただけましたら幸いです。

僕は君になりたかった

15
BL
僕はあの人が好きな君に、なりたかった。 一応完結済み。 根暗な子がもだもだしてるだけです。

別に、好きじゃなかった。

15
BL
好きな人が出来た。 そう先程まで恋人だった男に告げられる。 でも、でもさ。 notハピエン 短い話です。 ※pixiv様から転載してます。

処理中です...