たとえ運命の番じゃなくても

暁 紅蓮

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番となる side悠

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特に何も無く、数ヶ月が過ぎた頃。
俺はそろそろ来るであろう発情期に備えていた。

「和哉に迷惑かけないように抑制剤飲まなきゃな…」

俺は抑制剤を飲む為に薬入れから薬を出そうとする。

「あれ…ない……もう終わってたか……。明日買いに行けばいいか…」

薬を後回しにしたことを後悔することになる。


休日である今日、薬を買いに行こうと病院まで行く道に、最悪な状況が起きてしまった。

「は、ぁ……っ??」

発情期が来てしまった。
番がいる限り、番とできるように匂いはそこまで出なくなる。
しかし、完全になくなるわけではない。
番がいても寄ってくる奴はいる。
最悪な状況が続く。

「あれぇ?かわい子ちゃんが落ちてるぞ~?どーしたの??」

ニヤニヤしながら近付いてくる1人の男。

「発情してるんだ~?番ってるみたいだけどお相手さんいないの~?俺が代わりにヤッてやろーか??」
「いや……っ!」

男が手を近づけてきた。
俺は気持ち悪くて手を跳ねのける。
このままヤラれてしまえば、きっと和哉はすぐに番解消されるだろう。
そんなの嫌だ…っ!
俺は抵抗した。

「おいっ!暴れるなよ……っ!」
「いた……っ!」

俺が暴れないようになのか、左頬を殴られた。

「ぁ……」
「へっ!大人しくしてりゃ傷なんてつかなかったんだよ!」

今度こそ俺はヤラれるのか。
もうダメだ…諦めた方が……。
そう思った瞬間、

「よいしょ~!!人を大切にしよ~ね~!!」
「ぐはっ!!」

なにか聞いた事のあるような声。

「大丈夫?君玲衣の友達だよね?」
「…菊原先輩……」

俺を助けてくれたのは菊原先輩だった。


「何か声がしてさ。助けなきゃって思って突っ込んだ」
「ありがとうございます」
「んーん。悠君に最悪な事態にならなくてよかった。でも頬少し痣になってるね…大丈夫?」
「大丈夫です。……あの、この事誰にも言わないでください」
「んー、番君にも?」
「……和哉にこそ、言わないでください。俺のワガママで番になってくれたから…解消されたら嫌なんです…」
「…分かった。黙ってる」
「ありがとうございます……」

その日は薬を買いに行く所から、家まで送ってくれるまで菊原先輩が付き添ってくれた。
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