たとえ運命の番じゃなくても

番となる side悠

6

和哉と番って数日｡
特に関係は変わらぬまま時間だけが過ぎていく｡
さすがにヤリたくても和哉に言えず､欲求不満が続く｡

「ゆ～」
「玲衣！久しぶり」
「うん……久しぶり…」

どんよりとした顔で遠い目をする｡
どれだけ疲れているのかは目に見えてわかる｡

「……菊原先輩？」
「うん…亜月が……」
「……亜月？」
「あ……っ」

玲衣が顔を赤らめて焦って訂正しようとする｡

「ち､ちがっ！その…っ！」
「いーよいーよ！仲良くなったってことでしょ？……いいね」
「……悠は相変わらずなの？」
「うん……発情期が来ないと言いづらくてさ…」
「そうか……」

言葉を選んでいるのか､それともかける言葉がないのか玲衣は一言しか言わなかった｡

「玲衣は菊原先輩とどこまで行ったの？デートした？キスは？」
「は…っ！？き…っ！？」
「あー､その様子からしたら行ったね？いいな～！菊原先輩どちらかと言うとガッツリ行こうぜタイプだもんね～｡玲衣がやりたくなくても無理矢理タイプかな？」
「な……っ！？」

何故わかった､とでも言いたそうな顔で俺を見る｡
俺はそんな玲衣を無視して玲衣に見られないように下を向く｡

「……いいなぁ…番でもこんな形じゃなければ普通にデートもできたのかな……」
「……悠……」

俺はただ下を向いて歯を食いしばることしかできなかった｡