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04 : 山賊強襲
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「おっ、何か偉そうな男が出てきやがったぜ!」
「死に急ぐ必要はねぇぞ優男ちゃぁん!これから身包み剥がして森に捨ててやるからよぉ!」
馬車から降りたギルラート様に対して、山賊たちが獲物を振り上げながら罵声を浴びせる。
でもそんな声を気にすることなく山賊たちの前に歩み出ていくと、腰に下げた剣に手を当てて。
「おい山賊ども。一度しか言わんからよく聞け。本来貴様らの行った行為は極刑に値するものであるが……今回だけは私が直々に許してやろう。私の気が変わらん内にさっさとここを去れ」
「あぁ?なんだァ、てめェ……?ボンボンのガキが調子乗りやがって……」
「俺たちゃよ、お前みたいなタイプが1番嫌いなんだ。家柄だけで楽して生きてきやがって。許せねぇ」
忠告に対し山賊たちは聞かないどころか、さらに機嫌を悪くしてしまった。
獲物を構えながら、じりじりとこちらに近づいてくる。
ヤバいヤバい、なんかちょっと怖い……!
「忠告は一度だけとーー」
ギルラート様は落ち着きながら、ゆっくりと目を閉じて息を吐くと。
「言った筈だ」
そう言うや否や、私の眼前から消えてしまった。
何の素振りも見せず、一瞬で。
「!?あれ……?」
慌てて窓に近寄って周りを見渡してみる。
「ぐあぁぁぁぁ……」「があっ、ああぁ……」
するとさっきまで臨戦態勢だった山賊たちは、全員地面に倒れてうめいていた。
ギルラート様が消えたと思ったら皆倒れているし……。
これは一体、何が起こってるの……?
「やぁアリス。終わったよ」
「!?ギルラート様!!」
声のした方を向くと、何故か外にいたはずのギルラート様が私の横に座っていた。
「コーリス!出してくれ」
「はっ」
そう声をかけると、馬車がゆっくりと動き出した。
山賊の頭らしき大柄の男がこちらに手を伸ばすが、その姿は次第に小さくなっていく。
「ご無事で何よりなのですが……。あの方たちは一体どうされたのでしょう……?」
「あぁ、彼らにはちょっと痛い目に遭ってもらったよ。暫くは痛みが続くだろうけど、1時間もすればすっかり治ってる筈だ」
爽やかな顔でそう返答する。
どうしよう、さっきまでの目つきの鋭い顔とこの顔とのギャップが、すごくかっこいい……。
「ギルラート様ってあんなにお強いですね。びっくりしました」
「ははっ、僕なんてまだまだだよ。未熟の身だ。本来あんな輩に手合わせするのはダメなんだけど……。でも僕があそこで手を出してないと、コーリスが彼らを殺してたからね」
「えっ!殺……っ!」
「コーリスは優秀な御者だけど、それと同時に僕の護衛第一隊長でもあるんだ。彼は血の気が多いから、すぐ極端な方法を取っちゃうのがね……」
流石は王国三大貴族……。話の内容が凄すぎる。
でもまあ確かにそうか。
王子を護る付き人が弱いわけないし……。まして1人での護衛とくれば、その1人はよほど実力がないと務まらないものね。
「山賊たちに邪魔されちゃったけど……話の続きをしようか。もっと楽しい話をアリスとしたいな」
「ええ!是非!」
そう言って揺れる馬車の中、私とギルラート様は1時間ほど話し合った。
「死に急ぐ必要はねぇぞ優男ちゃぁん!これから身包み剥がして森に捨ててやるからよぉ!」
馬車から降りたギルラート様に対して、山賊たちが獲物を振り上げながら罵声を浴びせる。
でもそんな声を気にすることなく山賊たちの前に歩み出ていくと、腰に下げた剣に手を当てて。
「おい山賊ども。一度しか言わんからよく聞け。本来貴様らの行った行為は極刑に値するものであるが……今回だけは私が直々に許してやろう。私の気が変わらん内にさっさとここを去れ」
「あぁ?なんだァ、てめェ……?ボンボンのガキが調子乗りやがって……」
「俺たちゃよ、お前みたいなタイプが1番嫌いなんだ。家柄だけで楽して生きてきやがって。許せねぇ」
忠告に対し山賊たちは聞かないどころか、さらに機嫌を悪くしてしまった。
獲物を構えながら、じりじりとこちらに近づいてくる。
ヤバいヤバい、なんかちょっと怖い……!
「忠告は一度だけとーー」
ギルラート様は落ち着きながら、ゆっくりと目を閉じて息を吐くと。
「言った筈だ」
そう言うや否や、私の眼前から消えてしまった。
何の素振りも見せず、一瞬で。
「!?あれ……?」
慌てて窓に近寄って周りを見渡してみる。
「ぐあぁぁぁぁ……」「があっ、ああぁ……」
するとさっきまで臨戦態勢だった山賊たちは、全員地面に倒れてうめいていた。
ギルラート様が消えたと思ったら皆倒れているし……。
これは一体、何が起こってるの……?
「やぁアリス。終わったよ」
「!?ギルラート様!!」
声のした方を向くと、何故か外にいたはずのギルラート様が私の横に座っていた。
「コーリス!出してくれ」
「はっ」
そう声をかけると、馬車がゆっくりと動き出した。
山賊の頭らしき大柄の男がこちらに手を伸ばすが、その姿は次第に小さくなっていく。
「ご無事で何よりなのですが……。あの方たちは一体どうされたのでしょう……?」
「あぁ、彼らにはちょっと痛い目に遭ってもらったよ。暫くは痛みが続くだろうけど、1時間もすればすっかり治ってる筈だ」
爽やかな顔でそう返答する。
どうしよう、さっきまでの目つきの鋭い顔とこの顔とのギャップが、すごくかっこいい……。
「ギルラート様ってあんなにお強いですね。びっくりしました」
「ははっ、僕なんてまだまだだよ。未熟の身だ。本来あんな輩に手合わせするのはダメなんだけど……。でも僕があそこで手を出してないと、コーリスが彼らを殺してたからね」
「えっ!殺……っ!」
「コーリスは優秀な御者だけど、それと同時に僕の護衛第一隊長でもあるんだ。彼は血の気が多いから、すぐ極端な方法を取っちゃうのがね……」
流石は王国三大貴族……。話の内容が凄すぎる。
でもまあ確かにそうか。
王子を護る付き人が弱いわけないし……。まして1人での護衛とくれば、その1人はよほど実力がないと務まらないものね。
「山賊たちに邪魔されちゃったけど……話の続きをしようか。もっと楽しい話をアリスとしたいな」
「ええ!是非!」
そう言って揺れる馬車の中、私とギルラート様は1時間ほど話し合った。
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