上 下
17 / 22

17 : 大群襲来

しおりを挟む
 遠くに見える、こちらに向かって突進してくるブルコッドの大集団。
 その数、ざっと数えただけでも百匹を超えている。
 おそらく、この周辺全てのブルコッドを誘き寄せてしまったのだろう。

「どどどどうするあいつら!?このままじゃ家に突っ込んできちゃうぜ!」

「タ、タクヤさんの炎魔法でバーニング……」

「ばか、そんなことしたら百数匹の丸焦げ肉が出来ちまうだろ!んな可哀想なこと出来るか!」

「じゃあ臭気魔法はどうでしょう?遠くに向かって発動すれば進路をずらせるのでは……」

「あれはユニの魔法陣を基に発動したからあの匂いが出せたんだ。ただ発動するだけじゃあの匂いは再現できない!」

「ヤバイです、このままじゃ家が踏み潰されちゃいます……!」

 そう、俺の発生させた煙はこの辺り一面に拡散してしまっている。当然家の後ろ側にも拡散しているので、奴らはそれを追うついでに家を滅茶苦茶にしていくだろう。
 それどころか、ここにいる俺たちの身も危ない。

「でもあの数を殺すと生態系に悪影響が……!」

 前の世界で生物選択だった俺としては、大量の大型動物を殺してしまうのは気が引ける。

 ……こうなったらユニに頼るしかない!
 あの大群を上手くどこかへ移動させる魔法があるかもしれない。

「なあユニ、あのブルコッドたちを殺さずにここから遠ざける魔法とか、あったり……」

「えへへ、めうは可愛いですね~~」

「めう~~っ!」

「なにやってるんだユニーーっ!!どう見てもめうを可愛がる状況じゃないだろーー!?」

 この状況を諦めたらしいユニは、めうを顔に押しつけてぐりぐりしながら遊んでいた。
 くっ、こんなときに年相応な振る舞いが……っ!

 もうユニは頼れないーーこうなったら俺一人の力でどうにかしてやる。

「とりあえずあいつらの突進を止めればいいんだろ……?ならこいつを使ってやるぜ、『クリム』ッッ!!」

 渾身の力を込めて発動した浄化魔法。
 眩い光とつんざくような音と共に、辺り一帯が浄化され、漂っていた煙が消滅した。

 それと同時に、今まで追っていた対象が急に無くなったブルコッドたちが困惑し始めた。その殆どがバラバラに散るか、後ろへと引き返していくのが見える。

 だが残り数十頭は、そのままの勢いでこちらへと向かってきていた。
 家まで残り50m程度。ここが正念場だ。

「『リアニ』ッ!!頼むゴーレム、あのブルコッドを出来るだけ足止めしてくれ!」

「「「ゴレッッ!!」」

 召喚魔法によって生み出したゴーレムたちに、奴らの足止めをお願いする。

 その数秒後、俺の数m前でゴーレムたちとブルコッドの群れがぶつかった。
 ブルコッドの立派な両角をガッチリと掴み、なんとか踏み止まらせてくれている。

 その包囲を抜けたのはただ一匹、一際体が大きく角も立派な、3mはあろうかという超大型のブルコッドだ。

「ブルゴァァァァッッッッ!!!!!」

 威厳ある咆哮を上げて、猛スピードでこちらへ突っ込んでくる。

「来やがれブルコッド、俺の炎魔法でこんがり美味しい丸焼き肉にしてやる……っ!」

「もふもふもふもふ~~っ!」

「めうめうーーっ」

「ちょっと今カッコいいムードだからじっとしとこうか!?」

 未だに遊んでいたユニとめうを横目に、両手を前に出して構えをとる。

 周りに影響を出さないよう範囲はせまく、一発で倒せる程には威力強目で、かつ焼きすぎないようこんがりと!

「いくぜブルコッドーー『バーン』ッッ!!!」

「ガゴゴゴオォォォォォ!!!!」

 最大限の威力で放った炎魔法は、予想通り目標の一匹のみを捉えた。

 力を失ったそのブルコッドが勢いのまま倒れると、地面を滑って俺の目の前で停止した。
 前を向くと、未だにゴーレムが十数匹のブルコッドをその場に留めてくれている。

「よかった……。ひとまずはこれで安心……!?」

 安心からか、ふと体が横に傾く。
 それと共に、視界が歪んで頭がふらついてきた。
 次第に目の前が暗くなっていき、足から力が抜ける。

「貧血、か……?ヤバ、倒れ……」

 あ、ブルコッドから焼肉の良い匂いがらするな……。

 そんなことを考えながら、俺はその場に倒れこんだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~

ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」  ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。  理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。  追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。  そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。    一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。  宮廷魔術師団長は知らなかった。  クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。  そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。  「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。  これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。 ーーーーーー ーーー ※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝! ※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。 見つけた際はご報告いただけますと幸いです……

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜

西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です

途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。  ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。  前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。  ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——  一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——  ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。  色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから! ※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください ※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】

知識を従え異世界へ

式田レイ
ファンタジー
何の取り柄もない嵐山コルトが本と出会い、なんの因果か事故に遭い死んでしまった。これが幸運なのか異世界に転生し、冒険の旅をしていろいろな人に合い成長する。

処理中です...