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17 : 大群襲来
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遠くに見える、こちらに向かって突進してくるブルコッドの大集団。
その数、ざっと数えただけでも百匹を超えている。
おそらく、この周辺全てのブルコッドを誘き寄せてしまったのだろう。
「どどどどうするあいつら!?このままじゃ家に突っ込んできちゃうぜ!」
「タ、タクヤさんの炎魔法でバーニング……」
「ばか、そんなことしたら百数匹の丸焦げ肉が出来ちまうだろ!んな可哀想なこと出来るか!」
「じゃあ臭気魔法はどうでしょう?遠くに向かって発動すれば進路をずらせるのでは……」
「あれはユニの魔法陣を基に発動したからあの匂いが出せたんだ。ただ発動するだけじゃあの匂いは再現できない!」
「ヤバイです、このままじゃ家が踏み潰されちゃいます……!」
そう、俺の発生させた煙はこの辺り一面に拡散してしまっている。当然家の後ろ側にも拡散しているので、奴らはそれを追うついでに家を滅茶苦茶にしていくだろう。
それどころか、ここにいる俺たちの身も危ない。
「でもあの数を殺すと生態系に悪影響が……!」
前の世界で生物選択だった俺としては、大量の大型動物を殺してしまうのは気が引ける。
……こうなったらユニに頼るしかない!
あの大群を上手くどこかへ移動させる魔法があるかもしれない。
「なあユニ、あのブルコッドたちを殺さずにここから遠ざける魔法とか、あったり……」
「えへへ、めうは可愛いですね~~」
「めう~~っ!」
「なにやってるんだユニーーっ!!どう見てもめうを可愛がる状況じゃないだろーー!?」
この状況を諦めたらしいユニは、めうを顔に押しつけてぐりぐりしながら遊んでいた。
くっ、こんなときに年相応な振る舞いが……っ!
もうユニは頼れないーーこうなったら俺一人の力でどうにかしてやる。
「とりあえずあいつらの突進を止めればいいんだろ……?ならこいつを使ってやるぜ、『クリム』ッッ!!」
渾身の力を込めて発動した浄化魔法。
眩い光とつんざくような音と共に、辺り一帯が浄化され、漂っていた煙が消滅した。
それと同時に、今まで追っていた対象が急に無くなったブルコッドたちが困惑し始めた。その殆どがバラバラに散るか、後ろへと引き返していくのが見える。
だが残り数十頭は、そのままの勢いでこちらへと向かってきていた。
家まで残り50m程度。ここが正念場だ。
「『リアニ』ッ!!頼むゴーレム、あのブルコッドを出来るだけ足止めしてくれ!」
「「「ゴレッッ!!」」
召喚魔法によって生み出したゴーレムたちに、奴らの足止めをお願いする。
その数秒後、俺の数m前でゴーレムたちとブルコッドの群れがぶつかった。
ブルコッドの立派な両角をガッチリと掴み、なんとか踏み止まらせてくれている。
その包囲を抜けたのはただ一匹、一際体が大きく角も立派な、3mはあろうかという超大型のブルコッドだ。
「ブルゴァァァァッッッッ!!!!!」
威厳ある咆哮を上げて、猛スピードでこちらへ突っ込んでくる。
「来やがれブルコッド、俺の炎魔法でこんがり美味しい丸焼き肉にしてやる……っ!」
「もふもふもふもふ~~っ!」
「めうめうーーっ」
「ちょっと今カッコいいムードだからじっとしとこうか!?」
未だに遊んでいたユニとめうを横目に、両手を前に出して構えをとる。
周りに影響を出さないよう範囲はせまく、一発で倒せる程には威力強目で、かつ焼きすぎないようこんがりと!
「いくぜブルコッドーー『バーン』ッッ!!!」
「ガゴゴゴオォォォォォ!!!!」
最大限の威力で放った炎魔法は、予想通り目標の一匹のみを捉えた。
力を失ったそのブルコッドが勢いのまま倒れると、地面を滑って俺の目の前で停止した。
前を向くと、未だにゴーレムが十数匹のブルコッドをその場に留めてくれている。
「よかった……。ひとまずはこれで安心……!?」
安心からか、ふと体が横に傾く。
それと共に、視界が歪んで頭がふらついてきた。
次第に目の前が暗くなっていき、足から力が抜ける。
「貧血、か……?ヤバ、倒れ……」
あ、ブルコッドから焼肉の良い匂いがらするな……。
そんなことを考えながら、俺はその場に倒れこんだ。
その数、ざっと数えただけでも百匹を超えている。
おそらく、この周辺全てのブルコッドを誘き寄せてしまったのだろう。
「どどどどうするあいつら!?このままじゃ家に突っ込んできちゃうぜ!」
「タ、タクヤさんの炎魔法でバーニング……」
「ばか、そんなことしたら百数匹の丸焦げ肉が出来ちまうだろ!んな可哀想なこと出来るか!」
「じゃあ臭気魔法はどうでしょう?遠くに向かって発動すれば進路をずらせるのでは……」
「あれはユニの魔法陣を基に発動したからあの匂いが出せたんだ。ただ発動するだけじゃあの匂いは再現できない!」
「ヤバイです、このままじゃ家が踏み潰されちゃいます……!」
そう、俺の発生させた煙はこの辺り一面に拡散してしまっている。当然家の後ろ側にも拡散しているので、奴らはそれを追うついでに家を滅茶苦茶にしていくだろう。
それどころか、ここにいる俺たちの身も危ない。
「でもあの数を殺すと生態系に悪影響が……!」
前の世界で生物選択だった俺としては、大量の大型動物を殺してしまうのは気が引ける。
……こうなったらユニに頼るしかない!
あの大群を上手くどこかへ移動させる魔法があるかもしれない。
「なあユニ、あのブルコッドたちを殺さずにここから遠ざける魔法とか、あったり……」
「えへへ、めうは可愛いですね~~」
「めう~~っ!」
「なにやってるんだユニーーっ!!どう見てもめうを可愛がる状況じゃないだろーー!?」
この状況を諦めたらしいユニは、めうを顔に押しつけてぐりぐりしながら遊んでいた。
くっ、こんなときに年相応な振る舞いが……っ!
もうユニは頼れないーーこうなったら俺一人の力でどうにかしてやる。
「とりあえずあいつらの突進を止めればいいんだろ……?ならこいつを使ってやるぜ、『クリム』ッッ!!」
渾身の力を込めて発動した浄化魔法。
眩い光とつんざくような音と共に、辺り一帯が浄化され、漂っていた煙が消滅した。
それと同時に、今まで追っていた対象が急に無くなったブルコッドたちが困惑し始めた。その殆どがバラバラに散るか、後ろへと引き返していくのが見える。
だが残り数十頭は、そのままの勢いでこちらへと向かってきていた。
家まで残り50m程度。ここが正念場だ。
「『リアニ』ッ!!頼むゴーレム、あのブルコッドを出来るだけ足止めしてくれ!」
「「「ゴレッッ!!」」
召喚魔法によって生み出したゴーレムたちに、奴らの足止めをお願いする。
その数秒後、俺の数m前でゴーレムたちとブルコッドの群れがぶつかった。
ブルコッドの立派な両角をガッチリと掴み、なんとか踏み止まらせてくれている。
その包囲を抜けたのはただ一匹、一際体が大きく角も立派な、3mはあろうかという超大型のブルコッドだ。
「ブルゴァァァァッッッッ!!!!!」
威厳ある咆哮を上げて、猛スピードでこちらへ突っ込んでくる。
「来やがれブルコッド、俺の炎魔法でこんがり美味しい丸焼き肉にしてやる……っ!」
「もふもふもふもふ~~っ!」
「めうめうーーっ」
「ちょっと今カッコいいムードだからじっとしとこうか!?」
未だに遊んでいたユニとめうを横目に、両手を前に出して構えをとる。
周りに影響を出さないよう範囲はせまく、一発で倒せる程には威力強目で、かつ焼きすぎないようこんがりと!
「いくぜブルコッドーー『バーン』ッッ!!!」
「ガゴゴゴオォォォォォ!!!!」
最大限の威力で放った炎魔法は、予想通り目標の一匹のみを捉えた。
力を失ったそのブルコッドが勢いのまま倒れると、地面を滑って俺の目の前で停止した。
前を向くと、未だにゴーレムが十数匹のブルコッドをその場に留めてくれている。
「よかった……。ひとまずはこれで安心……!?」
安心からか、ふと体が横に傾く。
それと共に、視界が歪んで頭がふらついてきた。
次第に目の前が暗くなっていき、足から力が抜ける。
「貧血、か……?ヤバ、倒れ……」
あ、ブルコッドから焼肉の良い匂いがらするな……。
そんなことを考えながら、俺はその場に倒れこんだ。
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