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8 : 鑑定魔法
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「鑑定魔法『グリック』と治癒魔法『キュアー』……」
魔導書を開くと、女神が言ったように新しい魔法が追加されていた。
「えーーとなになに、『鑑定魔法グリックは手で触れたありとあらゆる物体を調べることができるわ。これでそこら辺の何かしらを調べて食材にするのがおすすめね。治癒魔法キュアーはその名前の通り何かを治癒する魔法だから、探索や戦闘で怪我とかしたら使えるわね』…………か」
相変わらずの適当さ。
確かにお腹は空きはじめていたし魔法をくれるのはありがたいが、それにしてはその後の扱いが雑すぎる気がする。
まあとりあえず、俺は。
「晩飯を採りにいくか!」
ご飯のことだけを考えた。
✳︎
女神から貰った鑑定魔法グリック。
これを使えば、この世界の物質について知ることができる。食毒や調理法はもちろん、その利用方法も。
それらが知れれば、その情報を活かして開拓や開発を楽にすることもできるだろう。
とりあえず外に出て、地面の赤茶色い岩を触ってみる。
「『グリック』!!」
『ーー褐色岩。主に大陸の果てに分布している岩で、硬く加工に不向きなことからあまり利用されていない。水の吸収性が悪いことから、これが地面を占める地域では地下水が多い』
すると、頭の中に機械音のような声が流れ込んできた。
なるほど。予想通りといった感じだが、教えてくれるのが名前だけで無くて良かった。
この調子なら、動植物では食毒なども教えてくれるだろう。
「さて、じゃああの植物を鑑定しに行きたいんだが……」
この褐色岩だらけの場所において、健気にも生えている枯れたような植物。
植物が成長できるような環境ではないため成長後に枯れただけ……だと思っていたが、それではまず発生すらできていないはずだ。
それにわざわざ、周りの何かしらを調べてみろ、と魔導書に書いてあったのも気になる。
「俺の見立てでは、あれは枯れながら成長する的なヤツだとおもうんだが……」
だが生憎、生えている場所が高い。
1番低いところの個体でも、地面から5mは上に生えている。
ロッククライミングでもするか……?いや、治癒魔法があるとはいえ頭から落ちれば即ゲームオーバーだ。
どうしたものか、と悩んだ末。
「まあいけるだろ!」
という短絡的な結論に至った。
幸い、この岩肌には亀裂が多い。これを上手く伝っていけば辿り着けるはずだ。
上の方にある大きな亀裂に手をかけようと軽くジャンプした、その瞬間。
俺の体は、目的の植物の目の前にあった。
「え、あ、は!?」
ーーなぜ俺の体がこんなところに!?
というかこの高さから落ちたら足折れる!!
混乱しつつも急いで岩肌に手をかける。
ドゴォォォォンッッ!!!
「……」
つい、口がぽかんと開いてしまう。
必死に伸ばした俺の手は岩肌を破壊し、岩壁にめり込んでいた。
「これは……女神のヤツ、身体能力もチート級にしやがったな……!」
確かに俺がもらったのは『万能』『チート』。
万能であるならば、運動も出来て当たり前だ。
ーーそれもチート級の。
「ったく、扱いが雑なのか最高なのか分かんねぇな!」
チート級の身体能力。
男なら誰でも憧れるものに違いない。
この力がどれくらい凄いものなか気になるが、優先すべきは植物の鑑定だ。
めり込んだ左手で体を支えながら、右手でそっと植物を触り、鑑定魔法グリックを発動する。
『ーー枯死草。地中や大気の魔力を使い、枯れながら成長する植物。薬草の一種で、その保有魔力の高さと味の美味しさから八大薬草の一つに数えられる』
八大薬草の一つ……!
八大薬草というのがどれほど凄いものなのか分からないが、説明を聞く限りなんか凄そうだ。
こういった気になる単語を調べられないのが鑑定魔法の玉にキズだが、それを補って余りある便利さだ。
「とりあえず美味しく食える、っと。しかも魔力を豊富に含むときた。枯死草……あと数本は採って帰るか。今日の晩飯は枯死草スープだな!」
魔導書を開くと、女神が言ったように新しい魔法が追加されていた。
「えーーとなになに、『鑑定魔法グリックは手で触れたありとあらゆる物体を調べることができるわ。これでそこら辺の何かしらを調べて食材にするのがおすすめね。治癒魔法キュアーはその名前の通り何かを治癒する魔法だから、探索や戦闘で怪我とかしたら使えるわね』…………か」
相変わらずの適当さ。
確かにお腹は空きはじめていたし魔法をくれるのはありがたいが、それにしてはその後の扱いが雑すぎる気がする。
まあとりあえず、俺は。
「晩飯を採りにいくか!」
ご飯のことだけを考えた。
✳︎
女神から貰った鑑定魔法グリック。
これを使えば、この世界の物質について知ることができる。食毒や調理法はもちろん、その利用方法も。
それらが知れれば、その情報を活かして開拓や開発を楽にすることもできるだろう。
とりあえず外に出て、地面の赤茶色い岩を触ってみる。
「『グリック』!!」
『ーー褐色岩。主に大陸の果てに分布している岩で、硬く加工に不向きなことからあまり利用されていない。水の吸収性が悪いことから、これが地面を占める地域では地下水が多い』
すると、頭の中に機械音のような声が流れ込んできた。
なるほど。予想通りといった感じだが、教えてくれるのが名前だけで無くて良かった。
この調子なら、動植物では食毒なども教えてくれるだろう。
「さて、じゃああの植物を鑑定しに行きたいんだが……」
この褐色岩だらけの場所において、健気にも生えている枯れたような植物。
植物が成長できるような環境ではないため成長後に枯れただけ……だと思っていたが、それではまず発生すらできていないはずだ。
それにわざわざ、周りの何かしらを調べてみろ、と魔導書に書いてあったのも気になる。
「俺の見立てでは、あれは枯れながら成長する的なヤツだとおもうんだが……」
だが生憎、生えている場所が高い。
1番低いところの個体でも、地面から5mは上に生えている。
ロッククライミングでもするか……?いや、治癒魔法があるとはいえ頭から落ちれば即ゲームオーバーだ。
どうしたものか、と悩んだ末。
「まあいけるだろ!」
という短絡的な結論に至った。
幸い、この岩肌には亀裂が多い。これを上手く伝っていけば辿り着けるはずだ。
上の方にある大きな亀裂に手をかけようと軽くジャンプした、その瞬間。
俺の体は、目的の植物の目の前にあった。
「え、あ、は!?」
ーーなぜ俺の体がこんなところに!?
というかこの高さから落ちたら足折れる!!
混乱しつつも急いで岩肌に手をかける。
ドゴォォォォンッッ!!!
「……」
つい、口がぽかんと開いてしまう。
必死に伸ばした俺の手は岩肌を破壊し、岩壁にめり込んでいた。
「これは……女神のヤツ、身体能力もチート級にしやがったな……!」
確かに俺がもらったのは『万能』『チート』。
万能であるならば、運動も出来て当たり前だ。
ーーそれもチート級の。
「ったく、扱いが雑なのか最高なのか分かんねぇな!」
チート級の身体能力。
男なら誰でも憧れるものに違いない。
この力がどれくらい凄いものなか気になるが、優先すべきは植物の鑑定だ。
めり込んだ左手で体を支えながら、右手でそっと植物を触り、鑑定魔法グリックを発動する。
『ーー枯死草。地中や大気の魔力を使い、枯れながら成長する植物。薬草の一種で、その保有魔力の高さと味の美味しさから八大薬草の一つに数えられる』
八大薬草の一つ……!
八大薬草というのがどれほど凄いものなのか分からないが、説明を聞く限りなんか凄そうだ。
こういった気になる単語を調べられないのが鑑定魔法の玉にキズだが、それを補って余りある便利さだ。
「とりあえず美味しく食える、っと。しかも魔力を豊富に含むときた。枯死草……あと数本は採って帰るか。今日の晩飯は枯死草スープだな!」
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