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7 : 神聖魔獣めう
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「めうめうめう」
「……」
水の湧いた穴の中にいた、羊のような動物。
とりあえず家に連れて帰ってきたのだが、先ほどから机の上でもふもふと跳ねている。
「動物……?見た目は羊っぽいけど」
「めう」
「……そのめうって喋ってるのか?それとも鳴いてるのか?」
「めうっ!」
「あっ、今相槌打っただろ!分かってるのか?俺の言葉理解してるのか!?」
「めうーー?」
あざと可愛くきょとんと首を傾げる。
くっ、どうしよう凄く癒されるんだが!!
「ももももも」
「!?」
もももと音を立てたかと思うと、なんと宙をふわふわと浮き始めた。
そのまま俺の頭の上に着地すると、そこですやすやと寝始める。
もふもふの感触が頭に伝わって気持ちいい。
「か、かわいい……けど!ごめんな!今はお前の正体が知りたいんだ!」
罪悪感を感じつつ羊(?)を掴み、机の上に戻す。
宙を飛べるということは、俺のいた世界のどの動物とも異なる存在なのだろう。
妖精とか魔物とかその類だろうか?
より詳しく観察しようと羊(?)を持ち上げた、その時。
<<ちょっと転移者くん!なにめうに手出してんのよ!>>
「うおっ!」
急に女神のうるさい声が家に響いた。
「な、なんだ、一体どこから」
<<ここよ、ここ!めうから聞こえてくるでしょ?>>
声のする方向を向くと、そこにはもふもふと跳ねている羊(?)がいた。
「このもふもふ……名前はめうって言うのか?」
<<そうよ。私の使い、神聖魔獣めう。もふもふしてて可愛いでしょ?>>
そういえば使いを送るって言ってたな。
このめうがそうだったのか。
どうせめうって鳴くからそういう名前にしたんだろうな……と、ちょっと哀れみの視線を向ける。
「というか神聖魔獣ってなんだ?このめう……だったか、そんな魔獣って見た目じゃないんだが」
<<はーー、これだから知識の無い人間は。いい?このめうはね、私が直々に召喚した魔獣と呼ばれる高位な存在なの。分からないでしょうけど、それはそれは凄い魔力を包容してるのよ>>
「高位ねぇ……」
女神はそう熱く語るが、この姿はどう見ても高位ではない。
ましてや魔獣でもない気がするんだが。
「じゃあめうからお前の声が聞こえるのもその魔力のおかげなのか?」
<<まーー平たく言えばそんな感じね。めうの魔力を糧に連絡魔法を使ってるの。これからはめうを通じてサポートしてあげるわ>>
「それは嬉しいんだけどさ。前から気になってたんだけど、そこまで手厚い援助をしてくれるのは何でだ?万能チートをくれたり魔法を教えてくれたり」
<<そ、それは豊穣の女神たる私の優しい慈悲の心で……>>
どうしようこの豊穣の女神、動揺が死ぬほど分かりやすい。
「どうせあれだろ。間違って転移させたことがバレると上に怒られるから、俺が文句を言わないように優しく……」
<<そそそそんなわけないでしょ!これだから人間の妄想は!あとそう思ってるんなら、そういうに振る舞ってよね!>>
「隠す気ないだろ」
<<……まあいいわ、これから私の力が必要な時はそのめうに呼びかけてちょうだい。ただ私が不在の時は出られないから。それとお腹空いたでしょうし新しい魔法を追加しといたし見といてね。じゃーー>>
女神はそう言い残すと連絡魔法を切った。
やっぱりこの女神……色々と抜けてるところが多すぎる。
「めうめうめう」
連絡魔法が切れてまたふわふわと浮き始めためうを優しく掴み、頭を撫でる。
「なー?めうもあんな変なご主人をもって大変だよなー?」
「めうー?」
めうは相変わらず、きょとんと首を傾げた。
「……」
水の湧いた穴の中にいた、羊のような動物。
とりあえず家に連れて帰ってきたのだが、先ほどから机の上でもふもふと跳ねている。
「動物……?見た目は羊っぽいけど」
「めう」
「……そのめうって喋ってるのか?それとも鳴いてるのか?」
「めうっ!」
「あっ、今相槌打っただろ!分かってるのか?俺の言葉理解してるのか!?」
「めうーー?」
あざと可愛くきょとんと首を傾げる。
くっ、どうしよう凄く癒されるんだが!!
「ももももも」
「!?」
もももと音を立てたかと思うと、なんと宙をふわふわと浮き始めた。
そのまま俺の頭の上に着地すると、そこですやすやと寝始める。
もふもふの感触が頭に伝わって気持ちいい。
「か、かわいい……けど!ごめんな!今はお前の正体が知りたいんだ!」
罪悪感を感じつつ羊(?)を掴み、机の上に戻す。
宙を飛べるということは、俺のいた世界のどの動物とも異なる存在なのだろう。
妖精とか魔物とかその類だろうか?
より詳しく観察しようと羊(?)を持ち上げた、その時。
<<ちょっと転移者くん!なにめうに手出してんのよ!>>
「うおっ!」
急に女神のうるさい声が家に響いた。
「な、なんだ、一体どこから」
<<ここよ、ここ!めうから聞こえてくるでしょ?>>
声のする方向を向くと、そこにはもふもふと跳ねている羊(?)がいた。
「このもふもふ……名前はめうって言うのか?」
<<そうよ。私の使い、神聖魔獣めう。もふもふしてて可愛いでしょ?>>
そういえば使いを送るって言ってたな。
このめうがそうだったのか。
どうせめうって鳴くからそういう名前にしたんだろうな……と、ちょっと哀れみの視線を向ける。
「というか神聖魔獣ってなんだ?このめう……だったか、そんな魔獣って見た目じゃないんだが」
<<はーー、これだから知識の無い人間は。いい?このめうはね、私が直々に召喚した魔獣と呼ばれる高位な存在なの。分からないでしょうけど、それはそれは凄い魔力を包容してるのよ>>
「高位ねぇ……」
女神はそう熱く語るが、この姿はどう見ても高位ではない。
ましてや魔獣でもない気がするんだが。
「じゃあめうからお前の声が聞こえるのもその魔力のおかげなのか?」
<<まーー平たく言えばそんな感じね。めうの魔力を糧に連絡魔法を使ってるの。これからはめうを通じてサポートしてあげるわ>>
「それは嬉しいんだけどさ。前から気になってたんだけど、そこまで手厚い援助をしてくれるのは何でだ?万能チートをくれたり魔法を教えてくれたり」
<<そ、それは豊穣の女神たる私の優しい慈悲の心で……>>
どうしようこの豊穣の女神、動揺が死ぬほど分かりやすい。
「どうせあれだろ。間違って転移させたことがバレると上に怒られるから、俺が文句を言わないように優しく……」
<<そそそそんなわけないでしょ!これだから人間の妄想は!あとそう思ってるんなら、そういうに振る舞ってよね!>>
「隠す気ないだろ」
<<……まあいいわ、これから私の力が必要な時はそのめうに呼びかけてちょうだい。ただ私が不在の時は出られないから。それとお腹空いたでしょうし新しい魔法を追加しといたし見といてね。じゃーー>>
女神はそう言い残すと連絡魔法を切った。
やっぱりこの女神……色々と抜けてるところが多すぎる。
「めうめうめう」
連絡魔法が切れてまたふわふわと浮き始めためうを優しく掴み、頭を撫でる。
「なー?めうもあんな変なご主人をもって大変だよなー?」
「めうー?」
めうは相変わらず、きょとんと首を傾げた。
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