孤狼に愛の花束を

柚子季杏

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孤狼に愛の花束を (47)

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 強張る身体を宥めるように項へと唇を寄せる。汗ばんで薄紅色に染まるその場所を数度啄み、やんわりと歯を立てれば、その度に痩身がふるりと震えを刻んだ。腰を支えていた手をずらして、先ほど小太郎が乱れた尾の付け根を擽るように刺激してやる。
「んっん、ぁあっ」
「そうだ……そのまま、力を抜いていろ」
 手の動きと同時に蕾の入口付近で立ち止まったままだった屹立を小刻みに揺らせば、キツく締め付けるだけだったその場所が綻び始めた。
 挿入時のショックにすっかり萎えていた小太郎の昂りも、締め付けが和らぐにつれて少しずつ形を成していく。
「――く…はぁ……分かるか、コタ? 全部、入った」
 尖端の最も張り出した個所を埋めれきれば、その後はスムーズだった。締め付けのキツい、それでいて柔らかな狭筒が、俺の滾ったモノを離すまいと絡み付いて来る感覚が、目眩にも似た感動を覚えた。

 時間を掛けて根元まで納め切った頃には、真冬だというのに、互いの肌には汗が浮かび上がっていた。
 熱く狭い小太郎の内側は、入口の狭さからは想像も付かないほど柔軟に、俺を包み込んでくれる。叢を尻たぶへと押し付けるようにしながら軽く腰を回し、そのままの姿勢で背中から想いを籠めて抱き締める。
「ぎ…さ……っ分か、いっぱい――嬉し……好き、だよ?」
「ッ、小太郎――あまり無自覚に煽るな」
 抱き締めた俺の腕にそっと自分の手を重ねた小太郎が、ふにゃりと微笑む。忙しない呼吸の合間に、本当に幸せそうにそんな言葉を口にするものだから、たまったもんじゃない。
 俺は必死になって、直ぐにも動き出したい衝動を、奥歯を噛み締めることで堪えているというのに。
「コタ、俺は言葉にすると、薄くなるような気がするから、今後も滅多に言わないだろう。覚えておけ、俺は、お前を愛してる……死ぬまでお前と共にいることを、誓う」
「銀さ……ぁ、あっ何、何か――」
「くっ、はは、さすがお前の身体だ、こっちも正直だな……動くぞ」
「え? え、あっ、ああっ」
 頬に唇を寄せ囁きを落とした途端に、締め付けばかりが強かった内側が急激に変化した。ぐにゃりと蠢いた内壁が俺の熱棒へと絡み付き、更なる刺激を求めて奥へと誘う動きをし始める。
 このままではあっという間に持っていかれてしまうと苦笑しつつ、自分の身体の変化に戸惑う小太郎の腰を抱え直した。

 細かな出し入れを繰り返しながら少しずつ揺り幅を大きくしていく。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音が部屋に響く中、小太郎の声にも明らかに快楽の色が滲み出す。艶めかしくも甘く俺を呼ぶ声が、鼓膜を揺らして伝わり俺の身の内を満たしていく。
「ひ、ぃぁ……あっ、銀さ……銀さんっ」
「ここだろ? ああ――コタ、小太郎ッ」
 浅い場所にある指で覚えた内側の膨らみを、屹立の先で掠めるように擦り上げれば、その度に小太郎の唇からは嬌声が上がる。
 引き抜こうとすれば縋るように食い締めてくる内襞の動きを振り切り、一気に奥を突くように熱棒を穿ち入れると、今度はそれじゃ足りないとばかりに襞が蠕動する。
 健気な内側の動きに逆らうこと無く、最奥を捏ねるように揺らしてやれば、小太郎の昂ぶりからは押し出されるようにたらたらと蜜が溢れてはシーツを染めていく。
「んあっ、あ、ああっ」
「は……コタ……ッ」
 過ぎる快楽に跳ねる痩身を逃がすまいと、抱える腕に力を籠めて、震えるその背に赤い花弁を散らす。
 白い肌に映えるその色が、想像以上に俺自身を煽り立てた。
「ああっ、あっ、銀さ……オレ、いきた、も…もうっ」
「小太郎……お前の中に出すぞ――」
「ぅ、ああぁ――熱、ぁ…あぁ」
 愛する相手が自分のものなのだと、世の中の全てに知らしめたい。
 雄としての真っ当な欲求だろう。自分だけの匂いを染み付かせて、俺以外の誰にも、決してコイツに手出しなどさせない。
 限界を訴える小太郎の、しとどに濡れた昂ぶりに指を絡ませ、射精を促す動きで擦り上げる。蜜を零し続ける鈴口を親指の腹で撫で擦れば、小太郎がヒクリ戦慄きその動きを止めた。
 小太郎の動きと同時に締め付けを増した狭い場所を抉じ開けて、ひと際激しく腰を打ち付ける。最奥へと到達したところで白濁を放ち、最後の一滴まで搾り出す。
 これ以上奥には入り込めないことは分かっているのに、それでも尚、もっと深い場所まで征服したいと、気付いた時には強張る小太郎の項へと歯を立てていた。
 内側を濡らされる感触と項への刺激に、小さな身体を震わせる小太郎の昂ぶりからも、サラサラとした絶頂の証が僅かに飛び散った。
 俺の匂いを塗り込めるように数度腰を動かし、小太郎の内側全体にマーキングを施せば、次第に腕の中の小太郎が弛緩していった。

「ぎ、さ……」
 力の抜けた身体からゆっくりと自身を抜き去れば、俺の形を覚えた後孔から、放ったばかりの白濁が溢れて来る。
 幼さを感じさせるだけでは無い、歳相応の色気とのアンバランス差に鳴りそうな喉の動きを堪えて、未だ萎え切らない自身に苦笑を浮かべた。
「……初めてなのに、無理をし過ぎたな……」
 くたりとしたまま動かなくなった小太郎の髪をかき上げ、上気した頬を優しく撫でる。
 意識も無いまま俺の手の動きに擦り寄るように頬を寄せて来る小太郎に、自覚して間もない愛おしさが止むこと無く湧き上って来るのを感じた。
「温かい……な」
 腕の中にある命の温かさ。生まれて初めて感じる幸せの余韻に、俺は暫らくの間小太郎を抱き締めたまま、動くことが出来なかった。


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