2 / 2
池田夏菜子の愛
輪廻転生
しおりを挟む
〈看護師〉「お母様!産まれましたよ!
よかったですね!体も健康です!」
初めての呼吸と同時に赤子が泣いている。
その赤子を喜びながら抱き抱える母親の
様子を僕は三人称視点で眺めていた。
母親はありがとうと繰り返しながら
彼女の額にキスをしていた。
人の誕生の瞬間を初めて見た気がする。
本来人の誕生は喜ばしいものなのだと
改めて認識する。
脳内でカシャッと音が鳴り映像が
切り替わる。彼女の何かの式だろうか、
友達と手を繋ぎ古臭い校舎の前で写真を
撮っていた。先程までの赤子の面影は
全て消えて、立派な少女に育っていた。
その後彼女は母親の手を取り
夕陽を背にどこかへ消えていった。
カシャッ。。。カシャッ。。
それから何度も何度も彼女の映像を
見続けた。どれも笑顔に溢れ、周りには
常に人がいた。友人、母親、そして何故か
僕もいた。彼女とはアルバイトで
何度か話した気がする。とてつもなく嫌いな
人柄であった。陽気に纏わり付き、
苦しい姿など見せはしない。何より
嫌だったのが、本来軽蔑されるべき僕にも
平等であったことだ。それがむしろ
見下されているのではないかと
いつも感じたからだ。
いくつかの映像が移り変わり、
彼女はあっという間に少女から女性へと切り替わった。短い間だったのだが
僕は彼女の全てを知ることができた気がする
時に騙され、涙する彼女だったのだが
誰からも愛されていた。それが少し
羨ましいとも感じた。僕が彼女ならば、
などと願っても叶わない妄想をしたのだが
彼女はじきに僕の好奇心と微量の妬みに
よって殺されてしまう。彼女にとっては
願ってもない死に方であろう。
それでも僕は少しの愛を知ることができて
満足していた。もっともっと見ていたいと
思っていたのだが、もう時間らしい。
段々と残りの時間が短くなっている。
残りの数十秒でカシャリと音が鳴った。
どうやら彼女は子供を授かり、
出産を控えていたようだ。汗を流し
奮闘する彼女。そんな多くの人が
覗き込むかのように集い、多くの声が
飛び交っていた。
次の瞬間彼女の目からは輝きがなくなり、
映像が途切れた。僕の頭は既に
混乱し、真っ暗になった。
気がつけば朝を迎えていた。
痛いくらいの朝日が僕の顔を照らしている
この朝日をあの赤子は見ているだろうか。
見れていないかもしれないと考えるほど
胸が痛くなった。やはり僕は寂しいようだ。
目からは涙がこぼれ落ち後悔した。
それでもどこか物足りなかった。
殺めてまでも、心の穴を埋めたかった。
いまだに穴が開いているままである。
それでも僕は止まらない。
後悔を重ねてまでも見てみたいものがある。
それをみるまでは終われない。
〈?〉「なぁ。なぁ。取引せぇへんか?...」
よかったですね!体も健康です!」
初めての呼吸と同時に赤子が泣いている。
その赤子を喜びながら抱き抱える母親の
様子を僕は三人称視点で眺めていた。
母親はありがとうと繰り返しながら
彼女の額にキスをしていた。
人の誕生の瞬間を初めて見た気がする。
本来人の誕生は喜ばしいものなのだと
改めて認識する。
脳内でカシャッと音が鳴り映像が
切り替わる。彼女の何かの式だろうか、
友達と手を繋ぎ古臭い校舎の前で写真を
撮っていた。先程までの赤子の面影は
全て消えて、立派な少女に育っていた。
その後彼女は母親の手を取り
夕陽を背にどこかへ消えていった。
カシャッ。。。カシャッ。。
それから何度も何度も彼女の映像を
見続けた。どれも笑顔に溢れ、周りには
常に人がいた。友人、母親、そして何故か
僕もいた。彼女とはアルバイトで
何度か話した気がする。とてつもなく嫌いな
人柄であった。陽気に纏わり付き、
苦しい姿など見せはしない。何より
嫌だったのが、本来軽蔑されるべき僕にも
平等であったことだ。それがむしろ
見下されているのではないかと
いつも感じたからだ。
いくつかの映像が移り変わり、
彼女はあっという間に少女から女性へと切り替わった。短い間だったのだが
僕は彼女の全てを知ることができた気がする
時に騙され、涙する彼女だったのだが
誰からも愛されていた。それが少し
羨ましいとも感じた。僕が彼女ならば、
などと願っても叶わない妄想をしたのだが
彼女はじきに僕の好奇心と微量の妬みに
よって殺されてしまう。彼女にとっては
願ってもない死に方であろう。
それでも僕は少しの愛を知ることができて
満足していた。もっともっと見ていたいと
思っていたのだが、もう時間らしい。
段々と残りの時間が短くなっている。
残りの数十秒でカシャリと音が鳴った。
どうやら彼女は子供を授かり、
出産を控えていたようだ。汗を流し
奮闘する彼女。そんな多くの人が
覗き込むかのように集い、多くの声が
飛び交っていた。
次の瞬間彼女の目からは輝きがなくなり、
映像が途切れた。僕の頭は既に
混乱し、真っ暗になった。
気がつけば朝を迎えていた。
痛いくらいの朝日が僕の顔を照らしている
この朝日をあの赤子は見ているだろうか。
見れていないかもしれないと考えるほど
胸が痛くなった。やはり僕は寂しいようだ。
目からは涙がこぼれ落ち後悔した。
それでもどこか物足りなかった。
殺めてまでも、心の穴を埋めたかった。
いまだに穴が開いているままである。
それでも僕は止まらない。
後悔を重ねてまでも見てみたいものがある。
それをみるまでは終われない。
〈?〉「なぁ。なぁ。取引せぇへんか?...」
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話
赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。
前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)
あの日、さようならと言って微笑んだ彼女を僕は一生忘れることはないだろう
まるまる⭐️
恋愛
僕に向かって微笑みながら「さようなら」と告げた彼女は、そのままゆっくりと自身の体重を後ろへと移動し、バルコニーから落ちていった‥
*****
僕と彼女は幼い頃からの婚約者だった。
僕は彼女がずっと、僕を支えるために努力してくれていたのを知っていたのに‥
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる