吸血鬼公爵に嫁いだ私は血を吸われることもなく、もふもふ堪能しながら溺愛されまくってます

リオール

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第一部

24、吸血鬼と妹(5)

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「というわけで、一応人として夜の森に妹を放り出すわけにはいかなくてね」
「はあ」
「すっごい嫌々だけど、不承不承で渋々だけど、仕方ないと言うかやむを得ないと言うか、心ならずも、もう本当に」
「嫌という気持ちって色々言い方あるんですねえ」
「そだね、調べたわ」

 辞書を片手にメイドのエミリーと会話してるのは、吸血鬼公爵の絶賛花嫁候補やってますフィーリアラでござーます。

 あの後。
 本人除く全員一致で、ウェンティにはお帰り頂きたかったわけですが。

 当然帰るわけがない!
 かと言って屋敷の前で居座られても困る。ほっときゃ窓割って入って来そうだし。

 ならば仕方ない、と一晩だけ泊めることにした。明日、申し訳ないがヨシュに町まで送ってもらおう。

 そうして、事情を知らないエミリーに説明と、部屋の用意を頼むのだった。ゴメンねえ!

 優秀なメイドは仕事も早い!用意された部屋の前に佇む私とエミリー。そして
「やほーエミリー、久し振りだねえ」
「どちら様でしたっけ?」
「ウェンティ様でごさいますよぉ」

 ウェンティってほんとメンタル強いな。公爵以上に冷ややかなエミリーの視線をものともせぬとは!

「ああ、そんな名前の方いましたね。確か物置で寝るのがお好きでしたっけ?部屋より物置をご用意すべきでしたね」
「やだ、それお姉さまのこと?ウケる~!」

 ……なんか怖いんですけど。火花バチバチなんですけど。
 あっつ!あっついわもう!

 怖がってランちゃん達はフワモフ部屋に帰ってしまった。寝る前のフワモフタイムが!

 何から何まで邪魔なウェンティには早く帰って欲しい。物置でもなんでもいいから早よ寝ろ。そして帰れ。

「お姉さまの部屋はどこですの?」
「この廊下の端よ」

 指さすと「へ~」とどうでも良さそうな返事が返ってきた。興味ないなら聞くな。

「公爵様のお部屋は?」
「聞いてどうする」

 聞いて何する気だこのやろう。夜這いとか言うなよ。

「嫌ですわ、さすがにそんなことしませんよ。レイオンならともかく」

 レイオンには夜這いしたのかよ!そんであんな関係になったわけ!?

「レイオンは見た目通りで、あんまりなんですよねえ。私はもっと激しい方が……」

 聞きたくない、妹と元婚約者の情事事情など……じょーじじじょーなど!聞きたくないわ!

「はいお休みー」

 棒読み残してパタンと扉を閉めてやった。これ外側から鍵締めらんないかな。一生閉じ込めたい。あ、一生この屋敷に居座られるのは嫌か。

「扉が開かなくなる魔法ってないかしら」
「鍵を開ける魔法はあるそうですけどねえ。アバ……何でしたっけ」

 エミリーと二人して呟きを残して。
 私達は部屋を後にした。

 まさか。

 まさかウェンティが根性で公爵の部屋を探し当てて。

 まさか本気で夜這いをかけるとは。




 ──そこまで阿呆だとは、私も思わなかった。

 夜中に屋敷中に響き渡る悲鳴を聞くまで。

 私は思わなかったのだ。









===作者の呟き============

短いですね。
次話はギャグ無しのシリアスなので、また夜にでもUPしたいと思います。
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