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第一部
6、吸血鬼とふわもふ(1)
しおりを挟む見渡す限りの物、物……ゴミ?物、ゴミ、犬、埃、物、塵、オウム、ゴミ、物………
いやちょっと待て!
目に映る物全てをチェックしてたら、何かおかしいし!
百歩譲って茶毛のフワフワワンコは目を瞑ろう!超絶可愛いけど!ちっちゃくてつぶらな瞳がこっち見てるけど!今すぐモフモフしたい、けど!!
でも待て、ほんと待って!
「何ですの、そのピンクの鳥わぁ!」
そう、ピンク。顔からお腹にかけてピンク。翼や背中は真っ白でピコピコ動く立派な冠毛は白赤黄色の美しいグラデーション。
真ん丸お目々がやっぱり私を見てる。キラキラお目々がこっち見てるぅ!
まあ可愛い!──じゃないわ!!
「普通吸血鬼と言えばコウモリか、せめてカラスでしょう!?なぜにこんな派手な鳥なんですか!」
「お、大きさはカラスくらいだろう!」
問題はそこちゃうわあ!
吸血鬼のイメージ壊すなあ!
なに「だって可愛いんだもん」とか言って背中撫でてんの!
あ、でも、黒髪赤目のイケメンがピンクのオウムを愛でる様はいいな。映像記録魔道具持ってくれば良かった。いやお金無いから持ってないんだった。くそう。
そして同じピンクでも全然違うなあ。
何だかもう遠い昔のように感じる実家の……ふざけたピンク頭を思い出す。
あれはあんなにイライラさせられたのに、目の前の光景は超絶癒し!ピンクって本当はいい色だったのね。知らなかった、教えてくれてありがとう鳥さん!
「なんだ、モフモフしたいのか」
「違います、いや違わないけど違います」
トンチンカンな事を言って、鳥の脇に手を突っ込んでモフモフ堪能してるこの目の前のイケメンは本当に吸血鬼なんだろうか。
とんでもなく天然な空気を感じるんだけど、まさか騙されてるんじゃないだろうか。
そして私も天然羽毛100%を堪能したいわ!
理性と欲望が葛藤していたら、足元にすり寄る気配に「うひゃあ!」とか叫んでしまった。
あ、ワンちゃんだ。
何々、撫で撫でさせてくれるの?モフモフ堪能させてくれるの!?
相も変わらず愛らしいつぶらな瞳で見上げてくるワンコに戸惑っていたら
「ラン、ご挨拶は?」
「わふ!」
公爵がワンコに話しかけた。それに応えるように、ワンコは一吠えして、チョコンとお座りした。
ぐはあ!
なんだこの破壊級の可愛さは!
もう我慢できない!
私はそっと手を伸ばした。
「ラン君か~、いい子ですね~、可愛いね~」
はーフワフワ最高!
「ランは女の子だ」
「すみません、ランちゃん」
こまけーな。
「その子は何と言うのですか?」
と、鳥さんの名前も聞いてみる。
「リンだ」
捻り無いな!言わないけど!まあ可愛いから許すけど!公爵のネームセンスが見えたけど!
「リンちゃん、宜しくね」
「リンは男の子だ」
「宜しくね!リン君!」
どっちでもいいわ!
心の中で突っ込んでそっと手を差し出したら。
スッと腕に乗ってきてくれた!そして頭を下げる。
何この可愛い生き物は!
立派な冠毛を撫でてあげるとウットリしだした。
うはああぁ!
何ここ、吸血鬼のお屋敷じゃなくて動物王国か!?
===作者の呟き=================
ワンコはふわっふわの茶系ポメラニアンをご想像ください。作者が飼えるなら飼いたい子です
(*^.^*)
ピンクの鳥は……まあマニアックなので鳥好きさんには分かるかな、と。モデル居るんですが、書くことをちゃんと飼い主さんの許可貰ってます(笑
ふわもふサイコー!(o´∀`)b
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