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4、※ハリシア視点

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「え、バルが出て行った?」

 めでたい日なので、高いワインを開けてお父様とデッシュと乾杯していたら。
 メイドから告げられる妹の出立。

 今日言って今日出て行くとか早いわね。まあせいせいするけど!

 私は実にめでたいと、更にワインを煽るのだった。

「く~!この一杯の為に生きてるぅ!!」
「ハリシア、いい飲みっぷりだね!」
「デッシュも飲みなさい、最高級ワインよ!」
「ああ、ありがたく頂くよ!父たちにも飲ませたいな」
「いっぱいあるから数本持って帰ってもいいわよ。どうせまた買えばいいんだから!」

 そう。
 ケチでお金を全く出さなかった妹。邪魔な妹はもう居ないのだ。
 服を買うだけでも眉根を寄せ、ドレスなど持ってる物で十分だと言い放っていた、ケチで守銭奴の妹、バルバラ。

 父に似て可愛げのない顔のまま、性格も実に可愛くなかった。
 が、仕事はまあまあ出来た。お陰で父の代で傾いた侯爵家はようやく立ち直った。

 お金もウハウハ。ならば使わずにどうするというのか!お金の持ち腐れではないか!

 だというのにあの妹は!妹は!!

 思い返すも腹立たしい!
 あの生意気な顔をいつか苦痛と屈辱で歪めてやりたいと常々思ってたのよね。

 だからデッシュに手を出した。
 お堅いバルバラとの婚約なんて絶対不満があると思ったから。

 だからちょっと色仕掛けしたら、まあ簡単になびくなびく。なんて罪な私の美貌!

 この美貌だけで男には事欠かなかった。
 ちょっと流し目をして、胸の谷間を見せれば……落ちない男など居なかった。
 そしてそんな男達の耳元で、そっと囁くのだ。

『実はこの侯爵家を支えてるのは私なの』
『妹が執務をこなしてるって噂、あれは真っ赤な嘘なの。引きこもりの穀潰しだなんて言われては可哀そうだと、妹の名前を使って私が動いてるの』
『お父様と二人、あくせく汗を流して働いて……そうやって得た税金を妹が使い込んでて困ってる』

 それだけで、まことしやかな噂は流れる。

 侯爵家の優秀な姉と無能な妹の話が。

 そうして色仕掛けで様々な男を虜にして、最終的にデッシュをゲット。
 でも不思議ねえ。他の連中ならともかく、実際にバルバラが動いてるのを目の当たりにしてるはずのデッシュまで信じるなんて。

 まあこれも私の美貌による魅了の力ってやつね!

 侯爵家の基盤は立ち直った。
 そして次期当主として私がその座についた暁には。
 この美貌で様々な貴族、商人を手玉にとってやっていこう。男なんてみんなチョロいんだから。

 そう考えて私はほくそ笑み。
 またも高級ワインを飲み干すのだった。

 ああ、これからが楽しみだわ。
 そして妹の行く末も……路頭に彷徨う様を考えるだけで最高だわ!!




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