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しおりを挟む「ふえ?」
「待て、ラミ!」
振り返れば、息も髪も乱した王太子が立って居た。
「え、なんで居るの?聖女様と新たに婚約して、ハッピーエンドじゃないの?」
「何だそれは」
本来ゲームではそうなったはずなのだ。悪役令嬢ラミが去るのを見送ってから、王太子が聖女にプロポーズする。そしてゲームはハッピーエンド突入。
のはずなのに。
「俺は聖女と結婚なんてしないぞ?」
ものすっごく当然のように言われました。え、なんで!?
「え、なんで!?」
声に出ちゃいましたよ。いやだって、それじゃあゲームはどうなるの?確かにノーマルエンドってあったよ。誰とも結ばれずに、神殿に入って聖女のお仕事を全うするってのがありましたけどね。
あなた方、どう見てもラブラブじゃなかったでしたっけ?
よく学園内で一緒に居るの見かけたし、当然そうだと思ったんですけど!?
「聖女はルフタと婚約が内定してる」
「ルフタ様ぁ!?」
ルフタ様とは第二王子である。確かに彼も攻略対象ではある。
「じゃ、じゃあ、いつもアラン様と聖女様が一緒に居たのは……」
「来年入学してくるルフタの話を聞かせてやってたのだ。互いに忙しくてあまり会えないからな。離れていてもラブラブなのは良い事だ」
王太子がラブラブとか言ってんなよ。言葉遣いそれでいいの?
聖女様は年下好みでしたか~。
予想外な展開に思考が停止しかけるわ。いかん、気を遠くしてる場合ではない!
「ええっと、それじゃあですね……王太子はどうするのですか?」
「ラミと結婚するに決まってるだろう」
「いやいやまてまて、ほんと待って」
「待ってるだろ」
「いやその待ってじゃなくて。いや待てホント」
「何を言ってるのだお前は」
なんかこの下り、さっき似たようなのやったような。デジャブか。
ごめん、ちょっと整理させて。ほんと何言ってるのか分かんないから。
「私と婚約破棄するんですよね?」
「しない」
確認しようと聞いたら即答で否定された。うおい!
「さっき破棄するって言ったよね!?」
「ああ言えばラミは反省するかと思ったのだ。反省したら、破棄は無かったことにするつもりだった」
「何その勝手な話!」
私の気持ちは無視ですかい!
破棄と言われて私が傷つかないとでも思ってんの!?傷ついてないけどさ!
おま、ふざけんなよ!
「軽い感じではあったが、先ほど聖女に謝罪しただろう?だからもう良いのだ、戻ってこい」
「勝手すぎる!」
本気で勝手すぎるわい!何それ、女心なめてんの!?
もともと王太子への恋慕は無かったけれど、今ではむしろ嫌悪感が芽生えてきましたよ。何この身勝手男。
私は呆れて肩に乗ってる手を掴むのだった。
「ラミ?」
「──お断りします」
ギギギ……そんな音が聞こえそうな力加減で。
私は王太子の手を退けて、そしてニッコリと黒い笑みを浮かべるのだった。
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