婚約破棄だと言われたので、王太子の浮気を暴露したいと思います

リオール

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「そこの娘、リアリアとか言ったか」
「は、はい!!」

 金髪碧眼の王太子は美形だが。

 赤髪に琥珀の瞳のアンドリューもまた美丈夫。リアリアは思わずポッと頬を赤らめた。が、王太子がその様を見て「リアリア!?」と慌てるのを見た瞬間、スンッと顔が無表情になるとことか流石だと思います。表情のコントロールうまいな。

 そんなリアリアを冷めた目で見ながら、アンドリューは言う。

「貴女もよく見ておいた方がいいですよ」
「な、何をでしょう?」
「王太子の本性ですよ」

 その言葉の直後。

 水晶が光を放ち、周囲を照らし出したかと思うと。
 不意に、空中に大きな映像が現れるのだった。

 それは王城内の映像だった。誰もが見覚えのある廊下が映し出され。

 そしてとある部屋の前で一度止まる。

 それは、その扉は──

「あれ、これって……」

 リアリアが気付く声がする。

「え、ちょっと待て、おいこれは一体……」

 焦る王太子の声がする。

 だが映像は待てと言われて待つわけ無く、移動し始めた。

 どうやら扉の向こうに入ったようだ。
 そして映像は部屋の住人が居る場所を──豪華な寝台を映し出した。

 次の瞬間──

『あ……王太子……ああ……』

 あられもない声、聞こえてきた~~~~!!

「うわああああああ!!」

 リアル王太子の声も聞こえてきた~~~!!

「止めろ!映像を止めろ!アンドリュー、貴様何を……!!」

 そう言って再び真っ赤な顔して王太子が飛び掛かって来たのだが。

 私はひょいと足を出して阻む。見事にそれに引っかかって王太子は転んだ。豪快な転びっぷりは流石ですね、王太子!

 女の嬌声が会場に響き渡る。誰も言葉を発しなかった。耳を塞いでる令嬢、ごめんなさいね。聞かせたくないんだけどさ、ちょっと我慢してね。

 と、ようやく事が終わったようで影が動いた。

『ふう……』

 ハイッ出たよ裸の王太子!そこのお嬢様がた、キャ~!じゃないですよ!きゃ~とか言って手で顔を覆いながら、指の隙間から見るとかしてないで堂々と見なさい!

 そんな真っ赤になった令嬢たちとは真逆に、リアリアの顔は青くなっている。彼女の覚えがない映像なのだろう。そりゃそうだ、相手は彼女じゃないのだから。

『良かったよ』

 とか言ってますよ王太子。あ~あ~、リアルタイムの王太子は頭抱えて蹲ってらあ。恥ずかしいよねえ、自分のこんな姿晒されて。

 でも映像の中の王太子は、言葉を止めることは無かった。

『きみほどに魅力ある女性は初めてだ。ああ、これが真実の愛と言うのだな……初めて知ったよ』

 はい出たー!真実の愛!一つ目ゲット!!

 そこで映像は消えた。プライバシーに考慮して女性の顔は出しておりません。アンドリュージェントルマン。

「名前と続けて言われると変な感じになるな」
「アンドリュー紳士」
「次からそう言ってくれ」

 妙な事にこだわるな、きみは。
 まあいいや。

「次は?」
「そうだな、面倒なので連続再生いくか」
「え!まだあるのか!?」

 有るのかじゃねえわ。あなた一体どれだけの女と関係もったと思ってるんだ。

 そうして出るわ出るわ。王太子の羞恥プレイがてんこ盛り!

 これ全部貴族令嬢なのかなあ?となるとこの会場にも何人か居るんじゃないの?ってくらいの数の女を抱きまくる王太子。

 そして最後には必ず。

『きみと出会えて俺は真実の愛を知ったよ』

 などとほざくのだ。アホか!お前アホだろ!そうかアホだね!

「アホか」

 思わず出ました心の声。

「アホだ」

 でも他からも上がる声。そうだよね、みんな思ってるよね!


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