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しおりを挟む堂々と男と寝まくってます発言しちゃって、周りの目がどんどん生温くなってるのに……それに未だ気付かない馬鹿が一人。
余裕しゃくしゃくといった感じでふざけたことを言い続けるレイシアだったが。
マルセイが信じられない面持ちで叫んだ。
「レイシア、なんて酷いんだ!君がそんなに軽い女だと思わなかったよ!」
「え、ちょっと太ったかなと心配してたんだけど、軽く見える?そう見える?うっれし~!」
「レイシア、軽いの意味違う」
馬鹿がダダ漏れですよ!要注意要注意!姉としてちょっと恥ずいやめて。
「違う?私は軽そうでカーラは重そうって?」
「言ってねえわ、そんなこと!」
重くねえわ!幽閉拷問受けて処刑まっしぐらになった私がまともな物を食べてたと思うなよ!減ったわ、すんごい減ったわ、なけなしの胸部が悲しみに暮れたわ!
「あら違った?カーラは太っても胸は脂肪が付くのをスルーして絶壁維持だから分かんないのよ」
「よし、その喧嘩買ったらあ!」
もう既にバトる気満々でしたけどね!
更に闘志増したわ!増し増しだわ!オマケで殺意付けたるわあ!
と言うか、姉を名前で呼び捨てたあいい度胸じゃねえか。あと胸ネタもうやめて。私のためにやめたげて。泣くから。泣いちゃうから!
「レイシア……聞くのも恐いんだが、一体何人の男と寝たんだ?」
「そんなの知らないわよ!」
「分からないくらいの人数と関係もったと」
「そうそう……って、ちょっとカーラ!ふざけた茶々入れんじゃないわよ!」
「チャチャチャッチャチャチャッとな♪」
「ふざけんな!殺す!絶対殺す!」
「殺せるものなら~」
私がふざけてるって言うんならお前の人生もうギャグじゃないか。
あ~あ、真面目に大人しく生きてきた自分がバカみたいだ。
ブチギレてかなりの解放感を感じる私は、ひょいっとそばに落ちてる剣を持ってみた。先ほど飛んでった王太子の遺物だ。
「な……!殺す気!?私を殺す気!?この純粋無垢な天使を殺す気!?」
「言ってて恥ずかしくない?」
「恥ずかしいわよ!違う恥ずかしくない!天使ちゃんは恥ずかしくない!」
ゴメン聞いてる私が恥ずかしい。周りも恥ずかしい。不思議ちゃんはもう流行らないよ、やめてホントやめて。
妹の恥ずかしい言動に意識飛びそうになったが、すんでの所で踏ん張った。飛ぶな私の魂!
魂抜けそうになってたらレイシアが蒼白になりながら周囲に助けを求めていた。
「助けて!誰か助けてよ!助けてくれたら私その人と結婚するから、したげるから!」
うわ、きっついこと言ってるわあ。したげるとかどんだけ上から目線なんだろう。
王太子吹っ飛ばしちゃうくらいにヤバイ私から、尻軽レイシアを助ける者など居るわけ無かろう。そう思ってたらザッと複数の男共が立ちはだかるのだった!え、マジで?
先頭のマルセイが口を開く。
「カーラ嬢、すまなかった、俺たちは完全にレイシアに騙されていたんだ!許して欲しい!レイシアの処分は俺たちに任せてくれ!」
思ってたのとは違った。てっきりレイシアを庇うのかと思ったけど。意外な発言内容に目を大きく見開いた私。
何だいきなり。
豹変しすぎで呆気にとられてしまう。
「ちょっとマルセイ、何言ってんの!?」
「レイシア、キミがふしだらで嘘つきな女だと言うことは分かった。となるとこれまでの話も真偽が怪しくなってきた」
お、ようやくレイシアの本性を理解したかな?
他の貴族令息は黙って見ている。王太子が飛んで退場になっちゃったもんだから、この場で一番権力持ってんのは大魔道士のマルセイって事になるのか。
別に持ってみただけで使おうと思ってなかった剣を、私は下ろした。結構重い。肩こる。
「私は普段から肩こってるけどね。知ってる?胸が大きいと肩こるのよ。あ、そうか、カーラには分からないか、ごめ~ん!」
下ろした剣をもう一度持ち上げてみました。途端に黙るレイシア。お前随分余裕だな!そのまま永遠に黙ってろ、もう胸ネタいいっつーの!
「つーか、レイシアってひょっとしなくても、胸しか私に勝てるとこ無いんでしょ?」
「胸は負けてるの認めるんだな」
「うんそこの大魔道士、後で覚えてろよ?」
震え上がってももう遅いわ!ギンッと黒い笑みをマルセイに向けたら縮こまった。
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