妹に陥れられ処刑決定したのでブチギレることにします

リオール

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 縮み上がったマルセイ、これでも国一番の大魔導士。

 私、ただの公爵令嬢。
 違った、実は妹殺し未遂の汚名で拘束された時に、親に勘当されてた。のでただの小娘でした。

 勘当された時は嬉しくて心の雨を流しましたよ!やっとこいつらから解放されるってね!

 勘当に感動!

「やだオヤジがいる、そりゃ絶壁なわけだ」
「オヤジなめんな!」

 オヤジ=禿げててお腹出てて体臭が酷いとか思ってんでしょ!?違うわ!ナイスミドルだっているわ!

「ナイスミドルでも絶壁は絶壁じゃない」

 うぐ……!レイシアのくせに!その返しは言い返せない!

「いやまて、私はオヤジじゃないから。オヤジで話進めんな」
「もうオヤジでいいじゃない」

 良くないわ!まだピチピチなのにオヤジとかやめて!そもそも性別違うから!

「じゃあオバン」
「死にたいやつはどいつだ?」
「え、どこどこ?カーラお姉様、なんのことかレイシア分かんなーい!」

 とぼけるクソ妹に剣を投げてやりたい!

「ところでマルセイ、レイシアの処分ってどうするつもりなの?」
「え、そ、そうだな……俺の管轄である魔塔にでも閉じ込めて……」
「却下だアホか」

 どうせ隙見てアハンウフンするつもりだろうが!レイシアにとって何の罰にもならんわい!

「てかさ、あんたら随分都合いい事言ってるよねえ」
「つ、都合いいとは?」
「分かってんだろ、下半身無節操男ども」
「かは!?むせ!?だ、誰がだ!」

 略すな、全部ちゃんと言えよ。

「お前たちがレイシアと関係もってアレコレやらかしてくれたことは分かってんのよ。私の悪い嘘の噂広めてくれたことも知ってる。おかげで貴族からも民衆からも散々な言われようだし」

 処刑されるってなった時も、味方してくれた者など一人も居なかった。
 私が弱かったら、今頃とっくに首と胴体は泣き別れだ。

「婚約者が居ながらレイシアと関係もって……婚約者の令嬢たちや私に対して散々酷い事しときながら……まさか罰が無いとか思ってんの?」
「い、いやしかし……こうやって反省してるわけだし」
「反省は猿でも出来るわボケえええ!」

 叫ぶや否や。
 スパアアアーーーーン!!

「いいやああぁぁ……!!」

 どこぞの貴族令息が叫びながら飛んで行った。お、またキランてなったよキランて。

「うえええ!?い、今どうやった!?何やった!?」

 マルセイ筆頭に男共の顔が青くなる。
 ふ、つまらぬ物を打ってしまったわ。

 私は剣の平たい部分をペタペタするのだった。

 そう、王太子の剣。
 切ればいい切れ味出しそうな剣身だけど。幅広な剣だからね、切っ先じゃない平たい部分で叩けば。

「お尻を叩けばいい感じぃぃー!!」
「うぎゃあああぁぁぁぁ……!!」

 スパアアアーーーーン!!

 またもいい音出して飛んでった!キランと光って飛んで行きましたよ!

「さて……あと何人かしら?」

 ユラリと殺気という陽炎を立ち上らせて。

 私は青ざめる男共に向かって、ニヤリとどす黒い笑みを向けるのだった。





「あわわわわ……」

 スパン、スッパーン!と男共のお尻を叩きまくった結果。
 飛んで行って星となった数はもう分からない。

 だがついにそれも終わりとなる。
 最後に残るは大魔導士マルセイただ一人となるのだった。

「そう言えばマルセイ様」
「なななな何だ!?」

 今更『様』付けすることに余計恐怖が上乗せされたのだろう。大魔導士とは思えないうろたえぶりが笑える、ププー。

「貴方が証人になったんですよね、私がレイシアを殺そうとしたってやつ。貴方が見たんですよね、私がレイシア殺そうとしたっての」
「そ、それはその……」
「私、どんな風にレイシアを殺そうとしたんですか?」
「ええっと……か、階段から突き落として……」
「へえ、それはなかなか恐ろしいですね。で、突き落としてどうなったんですか?」
「わ、私が魔法で受け止めて……」
「ほうほう、魔法ですか、なるほどなるほど。ちなみにそれはいつの事ですか?」
「え、ええっと……あれは学園の試験の日で」
「私、試験出てないんですよね」
「へ?」
「前日にレイシアに水ぶっかけられて熱出しちゃったんですよ。おかげで試験出れませんでした。当然学園行ってません」
「い、いやしかし誰かに命じれば」
「私、あなた方のおかげで人望ゼロになっちゃいましてね。私の命令なんてだ~れも聞かないんですよ、だあれも!」

 ほんとビックリするくらい無視されてたし!
 公爵令嬢なのに!
 お付きのメイドも執事も居ないし、誰も私の世話してくんなかったし!
 寒い冬の日に自分で服洗濯とかきっついよ!?

「いつでも嫁行けるくらいに料理上達したわ!」
「そりゃ良かったな、今度肉じゃが作ってくれ!」
「誰が作るかドアホオオぉぉぉ!!!!」

 スパアアアーーーーン!!

 渾身の一撃のもと。
 私はマルセイのお尻を思い切り引っぱたいた!

「ふぎゃあああぁぁ……!!」

 そうして。
 マルセイも星となったのだった。

 大魔導士なのになあ……


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