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しおりを挟む「たのもおぉぉぉっ!」
「どうしたラリーラ、きみの頼みなら何でも聞くぞ!ほら望みを言ってみろ願いを口にしてみろ、俺に出来る事は何でもしよう出来ない場合は腹踊りでもしよう!」
「キモイのでやり直し!お話があります!」
たのもおってのはね、何かを頼みにきたわけじゃないんだよ。メッサル様って成績いいけど馬鹿なのかな。でもって腹踊りって何だよ見てみたいよ。
「腹踊りってなんだよ見てみてえよ」
本日は休日なり。なのでメッサル様が住まう侯爵邸に押し掛けたのだが、私と同じことを思った人間が現れた。ドルンだ。
「なんでドルンがいるの」
「遊びに来たというか剣の相手しろっつー汗臭いお誘いをもらったんだよ」
「デートか」
「ちげえよっ!剣の稽古だっつってんだろ!聞けよ俺の話!」
「リリアにドルンが浮気してるって言っておくわ」
「おいそこの未来の姉、お前妹の未来を壊すんじゃねえよ、鬼か」
「お前に妹はやらーん!私がリリアと結婚する!」
「もうお前黙れ!」
ちょっと飲み会の席の鬱陶しいオジサンぽいこと言ってみただけなのに、ドルンが切れて頭に手刀をくらった。痛いがな、手加減してるのか痛くないけど痛いふりしとくがな。
「おい」
ぎゃいのぎゃいのやってたら、物凄く低い声がしたのでドルンと二人してビクリと体を震わせた。低いしなんか剣呑なものを宿した声だったんだよ。
「ドルン、今日の約束は無しだ。今すぐ帰れ」
「あ、じゃあ帰ります」
「待て、二人きりにすな」
背後から真っ黒なオーラがダダ漏れなメッサル様に言われて、ドルンは青ざめながらアッサリと帰る宣言した。だが帰さん。メッサル様と話しに来たが、ちょっと今の彼と二人きりにしないで。
私は帰ろうとするドルンの服をムンズと掴むのだった。
「おい離せよ」
「仲介人として居てよ」
「やだよ」
「今度リリアと二人きりにしたげるから」
「よし早く終わらせろよ」
チョロいな。真面目なリリアとなかなか二人きりになれなくて涙流す日々なドルン。目の前に人参ならぬリリアをぶらさげたら簡単に釣れた。釣ったはいいがリリアに怒られる未来しか見えない。そして人参は嫌いだ。
「だから人参はちゃんと食べろ」
声出てたか。最近心の声がダダ漏れだな、気を付けねば。
なんだか物凄く不機嫌そうなメッサル様に人参に関する注意を受けた後、通された部屋で三人仲良く腰掛けた。
目の前にドルンが一人掛けソファに。
そして私とメッサル様が二人掛けのソファに並んで。
「いやちょっと待ってください、私がドルンの席に座りたい」
「却下だ」
「なんで俺がメッサルと並んで座らなきゃいけないんだよ」
私の提案に、メッサル様とドルン共に却下されてしまった。
「ドルンは居ないものとして考えるんだ。で、話があるんだろう?」
「俺居る必要ある?」
ドルンの声は聞こえない事にして。
私は少し逡巡した後……勇気を出して聞いてみた。
「メッサル様は私のことが好きですか?」
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