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6、悪役令嬢に意外な敵が現れました

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 簡単にいかないとは思ってた。ぶりっ子ヒロインが簡単に大人しくなるわけも無く、引き下がるわけも無い。

 分かっては居たんだけどね~。

 
 
 その人もまたヒロインの攻略対象だった。
 ゲームの登場キャラの中では人気は微妙だったけれど。

 だって第一人気の王太子ベルシュに比べて凡庸な容姿だったんだもの。金髪碧眼は同じなのに、こうも雰囲気が変わるのかって。

 よく言えば優しそう。
 悪く言えば平凡。

 そんな第二王子テリス。

 その人が、目の前に立っていた。私より一学年下の彼は、つまるところ今年の新入生だ。

 私は今日も今日とてヒロインを説教中だった。
 だって毎日こりずに男にベタベタ、ベルシュ様にロルス……塩対応のゾルゼンスにもめげずに特攻していく様にキレるのは当然だと思うの!

 そして中庭で説教してたら。

 第二王子テリスがやってきたわけですよ。
 彼はツカツカと歩み寄り。
 グイとヒロインの肩を抱き寄せた。

 ん?どゆこと?

 キョトンとしていたら、テリス様がキッと厳しい目を向けてきた。

「アンナシェリ嬢、ミサキは確かに貴女より下の伯爵令嬢だが、彼女は紛れもない聖女。そのような態度をとるものではないだろう?」

 え?え?え?

 ポカンとしていたら、おもむろにヒロインの頬に手を近づける。

「可哀そうに、泣いてるじゃないか」

 同じくポカンとしていたヒロイン(おい!)だけど、どうやら自分の味方が来たー!と思ったようで。
 一気に目に涙をためだした。

 いや今一瞬、ぱああって感じで顔を輝かせただろ!
 その涙、絶対嘘だろ!
 その演技力凄いわ!

 と心の中の突っ込みは奴には届かない。

「テリス様あぁぁん!アンナ様がいぢめる~!」

 い「ぢ」めるにイラっとすんなあ!
 こめかみにピキッと青筋通ってんの気付いてる?あ、気付いてない?そうかそうか、覚悟しろよお前。

「テリス様、ミサキさんはまだ聖女と認定されたわけではありません。まだ検証中ですよ。それに聖女であっても礼儀は必要だと思うのです」
「それはそうかもしれないが」

 一瞬口よどんだ王子にヒロインは焦ったのか。
 ポロポロと一気に涙をこぼし始め、その腕にすがりつく。

「テリス様あん!私いっつもアンナ様にいぢめられてるんですぅ!アンナ様怖いんですぅ!ひどいんですぅ!」

 も、その語尾酷いなお前!
 殴ってもいいかな!いいよね!?

「アンナシェリ嬢、あまりミサキをいじめるんじゃない。これは命令だ。まだ確定ではないが、彼女が聖女なのは間違いない。そんな彼女を虐げることを僕は許さない」

 え~~~~~。
 まさかのヒロインの味方が現れたよ!
 確かにテリスには素の私を見せたことは無かったけどねえ。
 人気低かった彼は完全にノーマークだったけどねえ!

 まさかヒロインをかばうとは!

 ポカンとなってる私を尻目に、二人は去ろうとしたんだけど。

 去り際、私に背を向けたテリスに腕を絡ませたヒロインが私を振り返り。

 思いっきりアッカンベーしてきたので。

 思いっきり飛び蹴りくらわしてやったわあ!

 なめんなよ、お前!!!!






 影が薄くてすっかり忘れてた存在。
 婚約者のベルシュ王太子の実の弟テリス。

 まさか彼がぶりっ子ヒロインの味方になるなんて想定外だわ!

 さてさて、これからどうしようかな?




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