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しおりを挟む「公爵令嬢リアラ様、貴女は王太子の婚約者に相応しくありませんわ!」
「はあ──だから?」
貴族が通う高等学園の卒業パーティで。
突如、会場中心部で声高々に宣言するのは、先日聖女認定されたばかりの令嬢だ。
たしかどっかの男爵令嬢だったかな。
そんな聖女にビッと指をさされたるは、私──公爵令嬢リアナ=ローリングだ。
ポリポリと頬をかいて気のない返事をすれば、聖女の顔が一気に赤くなる。
「だ、だからですって!?だからとは何ですか、だからとは!!」
「いやだから?なんなんですか、いきなり?」
話が通じないなあ。折角の楽しいパーティが台無しじゃ無いか。いいからとっとと話、進めてくんないかなあ。
明らかに面倒くさい、と顔に書いてる私を見て一瞬ポカンとなる聖女だったけど。
ハッと我に返り、強気の笑顔を浮かべる。
「ふ、ふん、強がってられるのも今のうちですわ!貴女はもうすぐただの令嬢──いえ、令嬢ですらなくなるんですから!」
「だから?」
「だから、じゃないわよ、ムキー!!」
うわ、ムキーとか素で言う人初めて見た!居るんだ、こんな人!
ちょっと引くわあ……そう思ってそのまま、少し体を引けば。
「逃げるの!?この卑怯者!」
と、意味不明な罵りを受けてしまった。
「はあ……もう、だから?だから何なんでしょうか貴女は?いきなり失礼ではなくて?」
いくら聖女認定されたからって、公爵令嬢である私にその態度は流石に無礼だと思うんですけど。
そもそも私は彼女とまともに話をした事が無い。
貴族が通う高等学園。学園内では全ての者が平等となっている。
が、表面上はそうであっても内情は違うのが常なのが世の中だ。
特に交友関係ともなると複雑になるもので。
公爵令嬢である私は、幼い頃から仲の良かった同じ公爵令嬢や侯爵令嬢との付き合いばかりだった。
申し訳ないが……男爵令嬢とは授業以外でお話しなどした事は無い。
ましてや、クラスも違うとなれば……。
「ふん、失礼ですって?私が聖女に選ばれたのは周知の事実!聖女である私の方が貴女より上の位ですわ!」
「それは初耳です」
本当に初耳だ。なのでそう言ったら、小馬鹿にしたような笑みを浮かべて見下してきた。うわあ、醜い……。
「は!所詮は箱入りのお嬢ちゃんね、こんな有名な話も知らないなんて!」
そして口に手の甲を当て、彼女は高らかに宣言する。
「覚えておきなさい!わたくし、ローディアは先日神殿にて聖女の認定を受けたのです!わたくしこそが聖女!この国を幸せに導く者。神の代弁者と心得なさい!」
「はあ……だから?」
そこまで言っても未だ私の反応が薄い事に業を煮やしたのか、ダンッと力強く床を足で蹴り、彼女はビッと私に指をつきつけてきたのだった。
「だから!私こそが王太子の婚約者に、つまりは後の王妃──国母に相応しいという事よ!」
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