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しおりを挟む「よし、決めた。一度リセットしよう」
二択にしようとするから良くないんだ。
ここは一つ、全て無かった事にするのが最良だと思うの。
「セブールとは婚約解消」
「いやだから俺は……」
「黙って聞く!」
横やり入れようとしたセブールを一喝。瞬時に黙り込むのを確認して私は言葉を続けた。
「もちろんラディ様との婚約も致しません」
「えええ……」
「黙って?」
「……」
黙れと言えば、無言でコクコク頷くラディ。二人とも非常に素直でよろしいね。
「私はこれから婚活に勤しむ事に致します!同年代が居ないなら層を広げるまで!年齢幅は下は10歳から上は15歳まで!」
「お~30代も範囲内にしてきたわね」
「大人の魅力で私を包んで!!」
バッと手を広げて空を仰ぎ見たら暗雲立ち込めててすっごい凹んだ。未来に暗雲てか、やめて青空どこ行った。
「はい、俺が包みたいと思います!」すかさずラディが挙手してきた。
「あなたまだ22歳でしょうが、どこが大人なんですか「いや十分大人……」帰れ、そして地面に穴掘ってそこに向かって叫んでろ」発言はさせん!
「ナディア、リフィが反抗期だ!」
「お兄様、あれがリフィの通常運転ですよ。というか、妹の私でもお兄様は少々ウザイです」
「妹も反抗期!」
私とナディアに冷めた目で見られて、よよよと泣き崩れるラディ。だからあれは絶対嘘泣きだっつの。
「とりあえずミランダのお兄さんに誰か居ないか聞いてみよう」
「そういえばそんなこと言ってたわね」
「ミランダのお兄さんとは、つまり俺の親友のメディスか。じゃあ俺を押すよう言っておく」ラディの立ち直りが早くてウザイです。
「ミランダのお兄さんによる口利きは無しで」
「なぜに!」
いい加減鬱陶しくなってきたラディ。そして未だ黙り続けるセブール。あれ、セブールの方が素直じゃないか。
「見つからなかったらどうするの?」なんでそんな悲観的なこと言うのよナディア。
「私が当主となって養子でもとるわ」
「あなたのお父様、それで許すかしら」
「大丈夫、最終奥義があるから」
「何それ」
秘技『お父様なんて大嫌い!』
これ発動したら、あの父も認めざるを得ないと思うんだなあ。もしか家出か。いやもういっそ家出るか。自由気ままなお気楽人生ってか?
「私、田舎で一人生きてけるかしら」
「どうした、思考がぶっ飛びすぎよ」
家出るとか考えた後の発言だったが、ナディアにはそんな私の思考を読めるはずもない。話の飛躍についてけない模様。
「農業って大変って聞くよね。……肉体美の若者、居ないかしら」
「いやいや、貴族じゃないし」
「私が当主なら大した問題じゃなくない?」
だんだん思考が弾けだしましたよー。
なんかもうね、貴族とか地位にこだわるから面倒なんじゃない?
稀にだけど、平民を養子にしたり、平民と結婚したりするパターンもあるのだから。
私が当主となるなら……それもありなんじゃないかと思えて来た。
というか、断然その方が良くね!?
「私は知った、たとえ身分が高かろうと。たとえいいとこの生まれだとしても」
「り、リフィ……?」
だんだん熱を帯びてきた私に恐る恐るラディが声をかけてきた。
その鼻先にビッと指を突きつけて「阿呆はどこにでも居るということを!私は知ったのよ!」と叫んだのだった。
「よし、そうと決まれば善は急げだわ」
「え、リフィ、どうするの?」
いそいそとその場を後にしようと歩き出した私に、ナディアが慌てて声をかけてきた。
立ち止まって振り返り「ごめんねナディア」と私は親友に片手を上げる。
「ナディアと義理姉妹になるという意味ではラディ様は魅力的なんだけど。人間的にあまりに魅力が無いので遠慮しとくわ」
私は私の力で。
いい男を見つけてやるわ!
叫んで私は前を見て、また止まる。
そうだ、忘れ物があったなと思ったのだ。
「ねえセブール」
私は振り返り、項垂れてるセブールを見た。名前を呼ばれたのが嬉しかったのか、パッと顔を上げてパアア……と輝かせてる。そんな表情してるとこ悪いんだけどね。
私はスタスタとセブールの前へと歩みよった。何を言われるか分からずドキドキしてるその顔を覗き込む。
「リフィ?」
「散々私を悩み苦しませてくれたわよね、くっだらない理由で」
「へ?」
「怒りは収まらないけど、お願い聞いてくれたら水に流してあげるわ」
そう言った瞬間のセブールの顔。まあそんな笑顔出来たのね、ってなくらいの満面の笑みだった。
それに対して私もニーッコリと微笑んで。
「一発殴っていい?」と言ったのだった。
──よし、タイトル回収!!
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