上 下
7 / 16

7、

しおりを挟む
 
 
 結局女子会のような作戦会議のようなお茶会は、実のある結果が残ったのかよく分からないまま終わった。とりあえず私以外の三人の中ではラディ押しで行くのが一番の作戦らしい。

 皆が帰るのを見送ってから、「ラディか……」と知らず呟きが漏れたのを聞いた者は居ない。



* * *



 さて。
 父に婚約解消を進言し、親友改め悪友たちに相談してから一ヶ月近くが過ぎようとしていた。
 その間──悲しいくらいに進展が無い。
 とにかく新しい婚約者が見つからない!全く見つからない!候補くらい居ないかと思うのだけど、気持ちいいくらいに見つからないのだ!そんなことある!?

 こうなってくると、いよいよもってセブールと結婚という最悪の未来への一本道しか見えなくなってくる。

 いやまて、別に無理に結婚することないのでは?いっそ私は未婚で、後継者は養子でも良いんじゃなかろうか?むしろその方が良くない?
 と思って両親にそう言ったこともあった。
 言ったら、それはそれでいいけど、一応努力してよと言われた。

 努力してますがな!必死で新しい婚約者探してますが!?

 そうこうしてるうちに、今度はナディアが「お兄様と一度デートしてみる?」とか言われるし。

 でもデートはまずいんじゃないかな。一応まだセブールとは婚約関係継続中だから。デートなんてしようものなら、私もセブールと同じ穴のムジナになってしまうじゃあないか。

 なのでそれは丁重にお断りさせていただきました。けしてラディと二人きりになりたくないというわけではないが。ちょっとばかしそれが理由でもあるけど。

 そんなこんなで一ヶ月。
 またもやってきましたよ、例の日が。

 そう。
 セブールとのお茶会の日が!

 私としては、もうこれ必要無いと思うんだけどね。ただなぜかこれだけは私からの提案ではなく、向こうから言って来るのだ。

 向こう。
 つまりはセブールの方からだ。

 これが不思議なとこで。私とのお茶会の日程を勝手に決めるでもなく、いつが空いてるかとかちゃんと聞いてくるんだよ。

 でもおかしくない?私とのお茶会提案しときながら、毎回……毎っ回!女性連れて来るんだよ!?でもって二人でいちゃついて最後には二人で去って行く。私との会話は全然なし。

 おかしいでしょそれ!

 そんな意味不明なお茶会。今回も日程を聞かれ、空いてる日を答えて開催日が決定されて招待状が届いたのだった。まあ私も忙しくて無理とか言えばいいんだけどね~。

 今までは仕方なく。一応婚約者だからと付き合っていたが、今回は違います。
 今回は仕方なくじゃなくて。
 私の中で、婚約解消の意思が強くなったのだから、ちょっと強く出てやろうという算段があってのこと。

 さて、今日のお茶会。
 またきっと絶対に、あの男は女性を見知らぬ女性を同伴させてるはずだ。

 それに対してどうしてやろうか?

 私はある意味ワクワクしながら、セブールが住まう屋敷へと向かうのだった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。

ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」  人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。 「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」 「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」  一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。 「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」 「……そんな、ひどい」  しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。 「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」 「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」  パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。  昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。 「……そんなにぼくのこと、好きなの?」  予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。 「好き! 大好き!」  リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。 「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」  パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、 「……少し、考える時間がほしい」  だった。

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

貴方の愛人を屋敷に連れて来られても困ります。それより大事なお話がありますわ。

もふっとしたクリームパン
恋愛
「早速だけど、カレンに子供が出来たんだ」 隣に居る座ったままの栗色の髪と青い眼の女性を示し、ジャンは笑顔で勝手に話しだす。 「離れには子供部屋がないから、こっちの屋敷に移りたいんだ。部屋はたくさん空いてるんだろ? どうせだから、僕もカレンもこれからこの屋敷で暮らすよ」 三年間通った学園を無事に卒業して、辺境に帰ってきたディアナ・モンド。モンド辺境伯の娘である彼女の元に辺境伯の敷地内にある離れに住んでいたジャン・ボクスがやって来る。 ドレスは淑女の鎧、扇子は盾、言葉を剣にして。正々堂々と迎え入れて差し上げましょう。 妊娠した愛人を連れて私に会いに来た、無法者をね。 本編九話+オマケで完結します。*2021/06/30一部内容変更あり。カクヨム様でも投稿しています。 随時、誤字修正と読みやすさを求めて試行錯誤してますので行間など変更する場合があります。 拙い作品ですが、どうぞよろしくお願いします。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

処理中です...