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しおりを挟むた~まや~と叫びたいような煌びやかな爆発。そして遠ざかる悲鳴。
愉快痛快ですな!
その場に残ったのは、かつて建物であったものの残骸。
そしてかつて壁紙となっていたボルドランとオネエの屍。
「ちょっと勝手に殺さないでよ!生きてるわよ!」
地面に突っ伏してお亡くなり……と思っていたら、勢いよくガバリと起き上がった。さすがオネエ!しぶとい!
「私も生きてるからな!」
同じくガバリと起き上がって……叫んだ瞬間に血の気が引いたようにその場に倒れ込んだボルドラン。何やってんだ。
「ちゃんと手加減したのね、偉いわベルヒト」
「もっと褒めて」
偉い偉い、と頭を撫で撫でしてあげたら満足そうな顔をされてしまった。うん、お前本当に精霊王か?
「で、ポリアナはいずこへ?」
「あそこ」
遠ざかる叫び声でどこかへ飛ばされてしまったのは分かったのだけど。
爆音と爆風のせいで目を閉じてたので、行方を見てないのですよ。ベルヒトが結界張ってくれたから私自身は全くの無傷なんだけどね。
どこへ行ったかと問うたらば、あっちだとベルヒトが答えてくれた。
どこだ?
と指し示す方を見て。
「ぶっ!」
思わず吹いてしまったよ!
「ねえベルヒト」
「なんだ」
「木に人って生えたっけ?」
「生えないな」
「生えないよねえ」
恐い会話しないでって?
まあ冗談ですが。
爆発と共に飛んでいったポリアナは見事に木に刺さって……ないね。そう見えたけど、よく見たら引っかかってるだけでした。良かった、ホラーにならなかった!流石にスプラッタとかは勘弁な!
う~ん、あれどうするかな。
放置するという選択肢もあれど、そこまで冷たく出来ないのが私のなけなしの天使。悪魔九割なんですがね、あとの一割くらいに天使が存在してるようです。
「ミライッサは100%天使だと思う」
「さすがに寒いのでそれはやめて」
精霊王の欲目は恥ずかしいのでやめてください。
キョロキョロと視線を巡らせて。
私はその人を手招きするのだった。
「ちょっとそこのオネエ」
「何よ気安く呼ぶんじゃないわよ」
「じゃあオネエさま」
「なあに~!?かわいこちゃん!」
非常にちょろいオネエがここに!
ウキウキルンルンで駆け寄って来たオネエ。ちなみに内股小走りだった……。
「ミライッサ危険!」
「ふおおお、イケメン!あたしを受けとめてイケメン!」
なんかオネエの勢いが恐かったのだろう。私へと駆け寄ってくるオネエと私の間に、バッとベルヒトが入ってきたわけだが。オネエは狂喜乱舞してベルヒトに突進してったよ!ベルヒトはサッと避けてオネエは地面に突っ伏していたが!
……何やってんだ。
突っ伏して動かないオネエを指でツンツンする。生きてるのかこれ。
「オネエ、オネエさま。お手数ですが、そこに木とイチャラブしてるポリアナを回収していただけませんかね?」
ツンツン。
しばらく指でつっついてみたら。
ガバッ!
いきなり起き上がるからビックリしましたよ!生きてた!
「うんがー!いいわよ、お姉様がやったげる!今度からオネエお姉様って呼んでくれる!?」
えええ、今度があるの?それはちょっと……
「呼んでくれるわよね!?」
「ああ、はいはい。いいですよ、今度があれば……」
「ぃよっしゃあああ!」
多分「お姉様」という存在はそんな叫びを上げない。だが規格外の存在であるオネエお姉様はそう叫んでガッツポーズをしたのち。
ドドドッと駆けてって、ふんぬっと軽々とポリアナを肩に担いで戻ってくるのだった。
のだが。
「……ふ、ぶ……」
「ふぶ?」
「ぶ、ふ……つ、連れて来たわよっほっほう……ぶふぅっ」
「よっほっほう?何言ってんですか?」
どうしてだろう。オネエ相手だと、なぜか敬語になってしまう自分が居たりします。
そして怪しい言葉を発するオネエ。
私の訝し気な視線に気付いたのだろう。
ゴホンっと咳払いしてから、ポリアナを地面に下ろすのだった。
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