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しおりを挟む「あれぞ深窓の令嬢って感じだよな~」
王立学園にて、クラスメートのポルス君がそう言って話しかけてきました。侯爵家の彼とは幼馴染です。
「そうねえ。なんというか気品があるわよねえ」
そう言って話しかけてきたのは、幼馴染その2のアイラル侯爵令嬢です。
二人の視線の先には──なぜか同じクラスになってしまったミルザ王女。気さくに皆に話しかける方なので、あっさりとクラスに馴染んだ。むしろ馴染みすぎなくらいに。
異国の王女というのが、皆の興味を引くのかもしれない。
優しく微笑みながら、時に口に手を当てて笑い、ニコニコと皆の話を聞いている。出しゃばる事もなく、聞き役に徹してる大人しい女性。それが皆の印象なのだろう。
そんな彼女を見ていた幼馴染その1と2は、次いで私を見て。
「「は~~~~~」」
とでっかい溜め息をついてくださったのだ。失礼だな!!!!
まあ言いたいことは分かりますよ。二人からは常に口酸っぱく「もっと令嬢らしくしろ!」と言われてますからね。
──令嬢らしく、ってどうすればいいの?
真剣にそう問い返した時の二人のあの顔と言ったら……。可哀そうなもの、残念なものを見る視線を受けた私の方が悲しくなったわ。
「王女と公爵令嬢……こんなに差があっていいのかしらね、ポルス?」
「そうだねえアイラル。外見の美しさだけで言えば、十分ディアナも負けてないんだけど……内面がなあ~……」
「ディアナ、もっとおしとやかにならないと、危ないわよ?」
何がですか、何が危ないのですか教えて下さい、そしておしとやかって何ぞや。そんな言葉、この世界に存在するのか?
なんて言おうものなら、また盛大な溜め息をつかれることが分かってるので、心の中だけにしておきます。
それに、とチラリと王女を見て思う。
少なくとも、あんな風に大人しいのが彼女の本性だとは思えない。
あの日……夜会の時に王太子に見せたあの表情。二階からだったし暗くてよくは見えなかったけど……それでも鋭い光が見て取れたのだ、あの瞳に。
カルシス様がカルシス様だけに。
王族というものは、二面性を持ってるのが普通なのかもしれない。
そういう意味では……何を考えてるのか分からないので危険、となるのかもしれない。
「おしとやか、ねえ……」
呟いて頬杖をつく。正直、私も公爵家の者として、もっとしたたかに成るべきなのだと分かってる。分かってはいるのだが……。
「自分、不器用ですから」
そう言ったらアイラルにポカリと殴られました。やめてよ馬鹿になるでしょ!?
「安心しなさい、それ以上馬鹿になりようがないわよ」
とか言われたんですけど!酷くない!?
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