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「エリス、俺はキミを愛している、キミしか見えない、キミ無しでは居られない、一生キミを愛すると自信をもって断言できる。だからどうか俺と結婚してはくれないだろうか。幸せにすると誓うよ」

 侯爵令息テリーはそう言って薔薇の花束を恋人エリスに渡した。それを受け取りウットリした顔でテリーを見るのは、伯爵令嬢エリス。

「テリー様、嬉しいです……。私で良ければ……宜しくお願いします」

 そうして若い恋人たちは永遠の愛を誓い合った。

 二人は信じて疑わない。
 この愛は永遠だと信じて疑わない。

 だが若い二人は知らなかった。

 愛とはとても脆いものだと。
 誓いなど簡単に破れるものだと。

 この時の二人には想像すらも出来ないのだった。



【愛人宅に入り浸る夫が帰ってきたと思ったら、とんでもないこと始めたんだけど】



──時は流れ 三年後──

「ユーシア、旦那様は?」
「……旦那様はお出かけにございます」
「そう。どちらに行かれたか知ってる?」
「……」
「答えなさい、ユーシア」

 私──侯爵夫人である私、エリスの命を拒絶する事は老齢執事のユーシアには出来なかったようだ。

 重たい口を開いて、汗を拭きながらユーシアは答えるのだった。

「旦那様は……テリー様はマリアン様のところでございます」
「そう、またなのね」

 旦那様が愛人に会っていると聞いて。

 私の口に浮かぶのは諦めにも似た笑みだけだった──



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