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恥知らずのピリオド
好きなこと>スクールカースト
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それから僕は文化祭の準備期間中、ひたすら美術室と家の往復を繰り返した。
三日に一回は野沢先生許可のもと、泊りがけで作業した。見返してやりたい思いは確かにずっと残っていたが、作業を始めてから三日もしないうちにアイツらのことは半分ほどどうでも良くなっていた。
とにかくスゴイ絵を完成させたい。そんな思いでいっぱいだった。絵を描いていく工程がただひたすらに楽しかった。
そしてついに発表日の六月十五日がやってきたのだった。
「全校生徒のみんなー。盛り上がってるかーい。実に楽しい発表会だったな」
野沢先生(女)によるやる気の無いマイクパフォーマンスが体育館に響き渡った。
「誰だあれ!」
「え、あの人めっちゃ可愛くない!?」
「女神!」
先生の美貌に男女のどちらからも黄色い声が上がる。
「あ、やべ」
しばしの沈黙の後、先生が改めて口を開く。
「私は野沢先生の妹だ。いつも兄がお世話になってます」
再び体育館がどっと沸く。
「あの野沢の妹かよ! ありえねー!」
「養子かなんかだろー!」
「つかなんで妹がいるんだよー!」
先生は片手を大きく上げる。
「静かに。次は最後のオオトリ。実はな。全校生徒中、たった一人だけ個人で研究を行った勇者がいたんだ」
くすくすと笑う一年B組だったが、彼らの意に反して、会場はおおー!っと沸き起こった。
「良いリアクションをありがとう」
先生は面白くなさそうな表情を浮かべた一年B組へと向き直り、一言述べる。
「おーい。一年B組。もとい神村。自分の未熟さを思い知るが良い」
先生がマイクを降ろすと同時に、彼(彼女)の背後にある垂れ幕がゆっくりと開く。
全校生徒の声は「おおー」という声から次第に「おおお!」という驚きと称賛の声に変わっていった。
――そこには、壇上のすべてを覆いつくさんばかりの、長方形の一枚の巨大な絵。それは深海から天界までが丁寧に描かれた秀作。
気付けば会場は溢れんばかりの大きな拍手に包まれていた。
三日に一回は野沢先生許可のもと、泊りがけで作業した。見返してやりたい思いは確かにずっと残っていたが、作業を始めてから三日もしないうちにアイツらのことは半分ほどどうでも良くなっていた。
とにかくスゴイ絵を完成させたい。そんな思いでいっぱいだった。絵を描いていく工程がただひたすらに楽しかった。
そしてついに発表日の六月十五日がやってきたのだった。
「全校生徒のみんなー。盛り上がってるかーい。実に楽しい発表会だったな」
野沢先生(女)によるやる気の無いマイクパフォーマンスが体育館に響き渡った。
「誰だあれ!」
「え、あの人めっちゃ可愛くない!?」
「女神!」
先生の美貌に男女のどちらからも黄色い声が上がる。
「あ、やべ」
しばしの沈黙の後、先生が改めて口を開く。
「私は野沢先生の妹だ。いつも兄がお世話になってます」
再び体育館がどっと沸く。
「あの野沢の妹かよ! ありえねー!」
「養子かなんかだろー!」
「つかなんで妹がいるんだよー!」
先生は片手を大きく上げる。
「静かに。次は最後のオオトリ。実はな。全校生徒中、たった一人だけ個人で研究を行った勇者がいたんだ」
くすくすと笑う一年B組だったが、彼らの意に反して、会場はおおー!っと沸き起こった。
「良いリアクションをありがとう」
先生は面白くなさそうな表情を浮かべた一年B組へと向き直り、一言述べる。
「おーい。一年B組。もとい神村。自分の未熟さを思い知るが良い」
先生がマイクを降ろすと同時に、彼(彼女)の背後にある垂れ幕がゆっくりと開く。
全校生徒の声は「おおー」という声から次第に「おおお!」という驚きと称賛の声に変わっていった。
――そこには、壇上のすべてを覆いつくさんばかりの、長方形の一枚の巨大な絵。それは深海から天界までが丁寧に描かれた秀作。
気付けば会場は溢れんばかりの大きな拍手に包まれていた。
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